リファラル採用とは?成功させるための方法

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採用にかかるコストを抑えながら、質の高い人材に出会うことができると話題の「リファラル採用」。国内企業の6割が導入しているとも言われていますが、そのうち、うまく機能していないという企業が3割近いということで運用の難しさもあるようです。

この記事では、人材不足に悩む企業経営者向けに、リファラル採用が注目される背景やメリット・デメリットを紹介し、有効に活用するための導入プロセスや注意事項について探っていきたいと思います。ぜひ最後までお読みいただき、今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。

リファラル採用とは

「リファラル採用」という言葉は聞いたことがあるけど、内容はよくわからない、昔からある縁故採用とどこが違うのか、とお思いの方もいるかもしれません。

ここでは、リファラル採用とはどういったものか、また縁故採用との違いは何かということについてご紹介していきます。

リファラル採用とは

「リファラル(referral)」とは「紹介、推薦」という意味です。

従業員に知人や友人等を自社に紹介してもらい、選考過程を経て採用につなげるといった手法のことを言います。欧米諸国では、一般的な採用手法として定着しておりますが、日本では数年前から広まってきています。

縁故採用との違い

リファラル採用とよく似た形式として、昔からある縁故採用がありますが、どこに違いがあるのでしょうか。

一般的に縁故採用では、採用することが前提となって紹介を受け、特段の選考はされませんが、リファラル採用では、他の応募者と同様の選考プロセスを経由して合否を判定します。

リファラル採用が注目される背景

リファラル採用は有効な採用手法として注目されることが増えてきています。この背景にはどういったことあると考えられるでしょうか。

従来の採用手法では不十分

少子化の影響もあって、従来の手法ではなかなか十分な採用ができていない企業が増えています。採用の現場では、これまでとは違ったルートからも人材を集めたいという想いがあります。また、これまでの手法で採用しても、定着しきれない人材が多いことも悩みの種になっています。こうした問題の解決策としてリファラル採用が注目されています。

即戦力になる採用がしたい

新卒採用であれば、実際に戦力になるまでには数年の時間がかかります。中途採用であっても、即戦力になるような人材を確保するというのは、なかなか難しいものです。従業員の知人・友人ということであれば、どういったスキルや能力が求められているか、その人がこちらの会社が求めている条件に合うかどうか、がある程度わかることから、即戦力としてすぐに現場に入れる人材が採用できる可能性が高いといえます。

リファラル採用のメリット・デメリット

実際に自社でリファラル採用を取り入れるとなった場合、どういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。具体的にみていきましょう。

メリット

コストを抑えられる

ナビサイト等の求人サイトにかかるコストを考えた場合、1名を採用するのに50万円~100万円の予算をみておく必要があります。採用エージェントを使って採用した場合には、エージェントに支払う報酬は、採用した人の年収の30%~40%が相場であることから、1人の採用で100万円以上かかることも珍しくありません。

それに対してリファラル採用の場合は、従業員からの紹介ですのでほぼ無料で採用できます。紹介した社員にインセンティブを支払ったとしても、大きくコストを下げることができます。

アプローチする層を広げられる

従来の採用手法でアプローチできるのは、就職先を探している新卒者や転職希望者に限られていて、他社と競合しながら取り合うことになります。

リファラル採用の場合には、転職することをまだ考えていない層の人材にもアプローチすることができ、他社と競合せずに採用することが可能になります。

定着しやすい

せっかく費用をかけて採用しても、数年で離職してしまうことが人事担当者の大きな悩みとなっています。

リファラル採用では、自社の従業員を通じて、ある程度こちらの仕事内容や必要スキル、会社の雰囲気や働き方などが伝わっています。紹介してくれた従業員が職場にいることもあって職場になじみやすいといえます。また、紹介で入社したということで、紹介者の顔もあり簡単に辞めないケースが多いというのもメリットになります。

デメリット

時間がかかる

リファラル採用を導入してから実際に紹介されてくるまでには時間がかかります。会社によってどのぐらいの時間がかかるかは変わってきますが、すぐに採用したいという場合には向かない手法といえるでしょう。

不採用にしにくい

リファラル採用は縁故採用と異なり、紹介したからといって採用が前提ということではありませんが、紹介者との人間関係のこともあって不採用にはしにくいものです。明確な理由がなければ、人情としてどうしても採用の方向に進みがちです。

従業員の同質化

現在いる従業員の紹介ということで、同年代で同じようなバックグラウンドを持った人材に偏ってしまいがちです。会社の人事ということを考えると、あまりに同じタイプの人材ばかりが増えていくとバランスが崩れてしまう可能性があります。

リファラル採用を促進する条件

リファラル採用を自社でも導入しようと考えている経営者も増えてきているようですが、実際にリファラル採用をうまく促進するには、いくつか条件があります。

社員の満足度が高いこと

従業員の会社に対する満足度が高くなければ、自分の知人や友人を会社に紹介したいとは思わないでしょう。もし紹介した人に嫌な思いをさせることになれば、自分の個人的な信用を失うことになります。社員の満足度が高いということが、リファラル採用の必要不可欠な条件となります。

全社的な協力体制

リファラル採用を成功させるためには、一部の従業員だけが参加しているようではうまくいきません。なるべく多く、できれば全社的な協力が必要になります。

従業員は、現在の仕事で忙しくしている中でさらに協力するということですから、制度設計や認知手法などの工夫が必要です。しかしそれ以前に、会社に協力したいと思う雰囲気があることが重要です。

リファラル採用の導入プロセス

実際にリファラル採用を自社で導入する際に、どういったプロセスで進めていけばいいのか、ステップごとに確認していきましょう。

制度設計

自社でリファラル採用を導入する前には、成功事例を集めるなどして情報収集し制度の設計をしていきます。完璧な制度を作ろうとするとスタートできなくなるので、やりながら改善していくというスタンスがいいでしょう。

プロジェクトメンバー設定

リファラル採用を導入するにあたって、まずはプロジェクトメンバーを選抜し、限られたメンバーで取り組みを開始します。意見交換のしやすさを考えると、人数は5~6名程度がいいかと思われます。

メンバーは、会社に対するロイヤリティが高く、採用したい人材の年齢、職種、学歴と近いと思われるような人を選ぶのがいいしょう。このメンバーで運用した結果を踏まえ、少しずつ制度を整えていきます。

制度の周知

プロジェクトメンバーである程度運用し、成果が出てきたところで全社的に広げていくよう制度を周知します。できるだけ多くの従業員が積極的に参加するよう、周知の方法も工夫していきます。一度ではなかなか認知されないので、何度も周知し社内にリファラル採用制を浸透させていきます。

運用

リファラル採用制度を本格的に運用していきます。運用にあたっては、制度の狙い、求める人材像、採用のプロセス、採用基準、採用に成功した際に受け取れるインセンティブ等を分かりやすい資料にまとめて従業員に配布しておくといいでしょう。

振り返りと改善を繰り返す

実際に運用していく中で成果を確認し、効果があった手法を共有します。また、不具合な点が見つかれば、改善を繰り返し、うまく回るようにしていきます。

リファラル採用導入の注意事項

リファラル採用は、コストがあまりかからずうまく回るようになればメリットが多い採用手法ですが、導入してもうまく稼働できていない企業も少なくありません。リファラル採用を成功させるためには、どのようなことを注意すべきでしょうか。

紹介のハードルを下げる

ターゲットに合いそうな知人・友人がいたとしても、紹介したくなる仕組みや雰囲気がなければ、自分の個人的なつながりをわざわざ紹介しないでしょう。紹介しても審査に進むのが厳しいようであれば、面倒なことはやめておこうと思われてしまいます。気軽に紹介してもらえるように仕組みを設けて、成功事例をどんどん周知していくなどの工夫が必要です。

採用基準を明確にしておく

せっかく自分の知人を紹介しても、採用に至らなかった場合は、紹介した方もがっかりするものです。なぜ不採用なのか納得できなければ、会社に対する信頼が変わってくるかもしれません。できれば、事前に採用基準を明確にしておき、不採用の場合でも充分納得できるようにしておくことが望ましいです。

まとめ

人手不足の傾向が続いていく中で、自社の採用にリファラル採用を取り入れようと考えている経営者の方もいるでしょう。リファラル採用は、うまく活用できればメリットが多い採用手法ですが、成果を出すには、積極的に紹介してくれる従業員を増やしていかなければなりません。ぜひしっかりと制度を組立て、成果が出るように運用していただきたいと思います。

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