給与口座と経費口座を分けるメリット・デメリットを詳しく解説

経理お役立ち情報

会社によって給料や交通費の振込口座とは別に、諸経費等の振込口座を用意するケースがあります。

給与の支払いは、従業員が指定した口座に会社が振込む義務があります。
一方で諸経費等は、会社が銀行と支店を指定することが出来ます。

つまり給与の振込先の主導権は従業員にあり、諸経費等の振込先の主導権は会社にあります。

そこで今回は、給与口座と経費口座を分けることによる会社側と従業員側双方から見た場合のメリット・デメリットを解説します。

給与口座と経費口座を分けることによるメリット・デメリット

会社側:口座は1つに統一した方がメリットがある

結論から言えば、会社側は給与口座と経費口座を分けることなく1つに統一した方がメリットがあります。
なぜなら口座を分けることで経理担当の手間と振込手数料のコストがかかるようになるからです。
多くの企業では、従業員の雇用時に給与の振込み口座を指定する際、会社のメインバンクを利用しています。
メインバンクであることから社員への振込時に、手数料を安く、もしくは0円にしてもらうことが出来ます。

また給与口座と経費口座が1つであれば、経理担当が誤った口座に送金するリスクを減らせます。

その為、基本的に会社は、振り込み手数料の経費削減や業務効率を考えた場合、1つの口座に統一しておくことがオススメです。

従業員側:口座を分けることでお金の管理がしやすい

一方で従業員側は、給与口座と経費口座を分けることでお金の管理がしやすくなります。

給与口座(プライベート用)と経費口座(仕事用)に分けることで生活費の算出で大きな間違いをすることが無くなります。

給与に加えて高額の経費の支払いがまとめて振り込まれた場合、従業員の手持現金が一気に増えます。しかし、本来プライベートで利用できる金額は、あくまでも給与金額の範囲までです。

誤って無駄遣いをして後悔しないように従業員にとっては分けておくことをオススメします。

給与の振込口座は会社指定にできるのか?

冒頭でお話した通り、諸経費等は、会社が銀行と支店を指定することが出来ます。
しかし、給与の振込口座を指定できるのはあくまでも従業員なので、会社は給与の振込口座を指定することは出来ません。

多くの企業では、新たに社員を雇った際、給与振込み口座を会社のメインバンクで指定して開設すると思います。
しかし、従業員から自分が普段使用している銀行口座にして欲しいと申し出があった場合は、従業員の指定する口座を給与振込先として対応しなければいけません。

労基法第24条には、「賃金支払五原則」と呼ばれる、「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月一回以上の原則」「一定期日払いの原則」が定められています。

企業は、労働者に対して原則として通貨で賃金を支払わなければならないことになっていますが、この例外として、「労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する労働者の預貯金への振込みによる方法」(労基法施行規則第7条の2第1項第1号)があります。

この労基法により会社は、指定の口座に限定するように従業員に協力要請はできるが、強制力はない為、最終的には従業員の指定する口座を給与振込先として対応しなければいけません。

振込における手数料・手間を削減する3つの方法

ここまでお話した通り、会社は基本的に給与口座と経費口座を分けることなく1つの口座に振り込むのが最も手間がかからずコストを抑えることが出来ます。

しかし、従業員から給与の振込口座先に要望があった際には対応が必須です。
手間やコスト削減できる改善策を3つ紹介します。

ネットバンクを利用する

ネットバンクは、窓口での振込よりも手数料を格段に安くできる方法です。

ネットバンクは名前の通りインターネット上で銀行と取引が可能なサービスで、ネットバンクを活用すれば、店舗の窓口まで行かずに振込や振替などの取引が実施できます。

現段階でネットバンクを利用してなければ、オンラインバンクのメリット・デメリットについては、過去の記事をご覧頂き、検討してみてはいかがでしょうか。

ネットバンクはメガバンク・地銀のほかにも、実店舗を持たないオンライン専業の銀行もあります。オンライン専業銀行のネットバンク手数料はメガバンク・地銀のネットバンクよりも安価に設定されている点が特徴です。

また、ネットバンクはインターネットを利用して24時間365日取引可能な点もメリットです。

さらに、明細データを各会計ソフトと自動連携させることも可能です。これにより、経理担当者の明細入力作業を最小限にするほか、入力ミスを未然に防ぐことができます。

これらのことから手数料面でも手間の面でも大きなメリットを得られることが出来ます。

振込代行サービスを利用する

振込代行サービスは、振込データをもとに取引先への送金を代行するサービスです。

振込代行サービスの特徴は、振込手数料が安価になる点に加えて、一括振込で振込業務を効率化できる点です。

振込代行サービスを利用するためには、振込データと振込資金が必要です。振込データは全銀フォーマットやCSVファイルで作成し、振込代行サービスに送信します。

振込資金(振込金額と手数料の合計)は、一括で振込代行サービスが提携する金融機関の専用口座へと振り込みます。その後、振込データと一括振込を行った資金をもとに各振込先へ振込が実施されます。

振込代行サービスの1件当たりの振込手数料は、同一銀行・他銀行問わず一律で設定されています。一般的には他行への振込手数料と比較して数百円安くなる傾向です。

したがって、他行への取引数が多い場合には、振込代行サービスを利用すれば振込手数料を削減できる可能性があります。そして、同一銀行宛の振込にはネットバンクを併用すれば大幅に手数料が削減できるでしょう。

また、振込代行サービスへの振込依頼は一括振込データを送信するだけで完了します。
これにより、従来の振込業務で行われてきた銀行毎のデータを作成する必要はなくなります。
振込代行サービスを利用することで、請求管理業務にかかっていた時間と労務費の削減が実現可能です。

銀行との交渉によって手数料の減免措置を受ける

銀行の振込手数料は固定ではありません。
取引数などの条件をもとにした交渉によって、振込手数料は減免措置を受けることが可能です。

銀行には手数料単価を下げてでも取引件数をキープし続けたいとする考え方があります。
そのため、銀行に対して振込手数料の価格交渉を行うことは問題ありません。

つまり多くの従業員によるボリュームディスカウントを狙うことで大きなコストメリットを得ることが出来ます。

今回のまとめ

今回は、給与口座と経費口座を分けるメリット・デメリットを詳しく解説しました。

会社側は、会社側は給与口座と経費口座を分けることなく1つに統一する方がメリットがあります。

しかし、従業員から自分が普段使用している銀行口座にして欲しいと申し出があった場合は、従業員の指定する口座を給与振込先として対応しなければいけません。

給与口座と経費口座に分けて支払い管理をするのは、手間とコストがかかる為会社側にとっては非常にデメリットになります。

なので、現状で支払い手続きに関して改善できることがあれば取り組むようにしましょう。

例えば今回解説したネットバンクを利用したり、振込代行サービスを利用したり、銀行と交渉して手数料の減免措置を受けたりするといったことです。

従業員の要望にはちゃんと対応しつつも、なるべく手間やコストが減らせるようにできる限り業務効率化を目指せるように行動していきましょう。

キャシュモでは、単なる振込代行ではなく、給与計算から従業員への支払い、更には仕訳の入力や試算表の作成から決算・税務申告・労務顧問・財務コンサルタントなどバックオフィス業務を一括して提供します。給与や経費の支払に限らず、バックオフィス業務のアウトソーシングに少しでも興味がありましたら、ぜひ弊社までお問合せ下さい。

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