2023年度税制改正~マンションの相続税評価額の評価方法が変わります~

税務お役立ち情報

2023年度の税制改正により、2024年1月1日以降に相続、贈与、遺贈で取得するマンションについて、相続税評価額の評価方法が変わり、新しい評価方法が適用されます。

今回は、このマンションの相続税評価額の新たな評価方法の概要についてご説明します。

改正の背景

相続税では、所有している資産の価値を「時価」に基づいて評価し、その評価額をもとに相続税の価額を計算します。

マンションを所有している場合の評価額は、現行の算定方法では、通常、建物は固定資産税評価額、土地は路線価に基づいて計算します。地方自治体が算定する固定資産税評価額と、公示地価の8割を基準とする路線価に基づいて計算するため、この評価額は、足元の取引動向を反映しにくく、市場価格を下回る傾向にあります。そのため、相続税評価額が市場価格の7~8割となるケースが多く、この乖離を利用して相続税額を低く抑える「マンション節税」という手法が一般的に広く使われてきました。
中でも、都心部のタワーマンションは、高価格の高層階ほど市場価格と相続税評価額との差が大きくなり、節税効果が得やすいことから、「タワマン節税」とも呼ばれます。

国税庁の調査によると、2018年中に取引された全国の分譲マンションの相続税評価額と市場価格は、平均で2.34倍の乖離があり、約65%の事例で、2倍以上乖離していました。

現状の算定方法のままでは、富裕層によるこの評価額の差を利用した節税がさらに広がりかねないため、2023年度税制改正において、公平性を確保するために算定方法の見直しが図られました。

マンションの相続税評価額の新たな評価方法

新たな算定方法では、相続税評価額に市場価格を反映する指標として「区分所有補正率」が導入されます。

具体的には、築年数や階数などに基づいて現行の相続税評価額と市場価格の乖離の割合である「評価乖離率」を算出し、「評価乖離率」に基づく「評価水準」に応じて、現行の相続税評価額に「区分所有補正率」を掛けることで相続税評価額を算定します。
新たな算定方法によると、現行の相続税評価額が市場価格を大きく下回る場合には、相続税評価額が市場価格の6割相当額まで引き上げられることになります。
逆に、現行の相続税評価額が市場価格を上回る場合には、相続税評価額が市場価格まで引き下げられます。

いずれにおいても、新たな算定方法では、マンションの相続税評価額が市場価格に近づくことになります。

<新たな評価方法>
マンション一室の評価額=
  建物部分(区分所有権)の価額【現行の相続税評価額】
    
  土地部分(敷地利用権)の価額【現行の相続税評価額×区分所有補正率

※1 評価水準=1÷評価乖離率
※2 評価乖離率=A+B+C+D+3.220
A:1棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B:1棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨て)
C:1室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
D:1室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げ)

新たな評価方法の適用対象とならないもの

新たな評価方法は、評価水準が0.6未満、または、1超のいずれかの場合にのみ適用となり、評価水準が0.6以上1以下のマンションは適用対象となりません。
また、それ以外にも、新たな評価方法の適用対象とならないものがあります。

<新たな評価方法の対象にならない物件>
・2階建て以下の低層マンション
・区分所有されている各部屋が3部屋以下の場合で、そのすべての部屋に区分所有者やその親族が居住するマンション(いわゆる二世帯住宅等)
・区分建物の登記がされていないもの
・1棟を所有している賃貸マンション(単独所有または共有)
・居住用でない商業ビルや事業用のテナント物件(原則、登記簿上で「居宅」とされているものが適用対象)

おわりに

新たな評価方法は、2024年1月1日以降、相続、贈与、遺贈により取得するマンションに適用されます。
新たな評価方法の対象となる場合には、想定していた相続税額よりも相続税が増えるなど、相続人等への影響も大きくなるため、事前に試算を行うなどの準備を行っておくことをお勧めします。

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