中小企業にBCPは必要か

経営お役立ち情報

毎年のように起きる災害、そしてここ最近の新型コロナウイルスの蔓延など、事業を継続していくのが厳しい場面が増えてきています。
実際に多くの企業で事業の継続に支障が生じ、行き詰ってしまった会社も少なくありません。新型コロナウイルス関連だけでも、倒産した法人および個人事業主は、全国で2807件(2022年2月4日現在)といわれています。
そうした状況で注目されているのがBCPです。
しかしながら、多くの人が関係し社会的にも影響が大きい大企業では導入が進んでいますが、中小企業では大きく遅れているのが現状です。
この記事では、中小企業にBCPは必要なのか、ということをテーマに考えながら、BCPの策定についてご紹介していきたいと思います。
気候変動や新型ウイルスに加えて地震大国である日本では、これからも社会的に困難な状況が発生することは十分考えられます。ぜひこの記事をきっかけに、自社の事業継続について考えてみてください。

BCPとは

中小企業にBCPが必要かを考える前に、BCPとは何か、なぜ最近注目されるようになったのか、その背景について見ていくことにしましょう。

BCPとは

BCPとは、災害時や緊急事態など危機的な状況においても損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し、素早く復旧させるための事業継続計画(Business Continuity Plan)のことをいいます。
これまでも防災対策ということは言われていましたが、さらに事業の継続に重点を置いて策定されているところがポイントになります。

BCPが注目される背景

BCPが日本で注目されるきっかけとなったのは、2011年に起きた東日本大震災でした。この未曽有の混乱状態を経験したことで、単なる防災対策にとどまらずその先にある「事業の継続」ということに重点を置くべきという考え方が広まりました。
日本は地震大国ともいわれており、将来的には首都圏直下型地震発生が予測されています。また気候変動の影響によって、毎年のように大雨や土砂崩れが発生しています。そして、2020年からの新型コロナウイルスは、未だかつてないほどの影響を世界中に与えることになりました。
そうした厳しい状況が続く中でも、事業を継続させ、もし途切れてしまっても早急に復旧させるために、BCPを導入し行動基準を明確にすることが有効だと考える企業が増えています。

中小企業のBCPの現状

BCPが注目されているというはわかりましたが、どれほどの企業で策定されているのでしょうか。特に中小企業での導入状況について見ていくことにしましょう。

中小企業ではBCPの策定率が低い現状

2021年に帝国データバンクが行った調査によると、大企業におけるBCPの策定率が32.0%であったのに対して、中小企業では、14.7%にとどまっているという結果が出ました。小規模企業では10%に満たない数字となっています。

なぜ中小企業ではBCPの策定率が低いのか

BCPを策定していない理由としては、策定に必要なスキル・ノウハウがない、人材が確保できない、策定する時間が確保できない、必要性を感じない、といった理由が挙げられています。
中小企業では「必要性を感じない」という理由が、大企業よりもとりわけ高くなっていました。策定の難しさに加えて、必要性に疑問を持っていることや、費用面での難しさが中小企業の策定率の低さにつながっているようです。

中小企業にBCPは必要か

このように中小企業ではBCPについて、あまり必要性が感じられていないようです。しかしながら、事業を継続させることで、取引先に安心感を与え、従業員を守る、というのは企業の社会的な責任とも言えます。
また、資金的に余裕がない中小企業では、事業が中断することが、すぐに企業存続の危機につながることが指摘されています。中小企業こそBCPを策定すべきと考える意見も多く見られます。
本格的なBCP策定が難しい中小企業のために、BCPの簡易版という位置づけで2019年に中小企業庁によって新設された「事業継続強化計画」から取り組んでみるのもいいかもしれません。

BCP策定のメリットと運用の課題

BCPを策定することによって、事業継続のための行動指針が明確になることをご紹介しました。では策定することで、その他にどのようなメリットがあるのでしょうか。また、策定や運用にはどのような課題があるのでしょうか。それぞれ具体的にチェックしていくことにしましょう。

BCP策定のメリット

1.緊急事態が発生した際の対応力が高まる
想定されるリスクを洗い出し、優先すべき事柄をリスト化してそれぞれの対応をあらかじめ設定しておくことで、万が一の場面が発生したとしてもすぐに対応することができます。想定外のことが起きたとしても、事前に定めたものをあてはめて、考えることができます。

2.取引先や投資家からの信用度が高まる
BCPを策定することで、緊急時においても事業を継続が見込めるということは、取引先の安心感につながります。
また投資家にとって、事業がストップしたり、事業そのものがなくなってしまったりしては大きな損害になります。BCPがあることで信頼して投資できるということに繋がります。

3.業務改善や効率化に貢献
BCP策定のプロセスにおいて、事業ごとに工程を洗い出し、優先順位をつけていきます。その作業において事業そのものを見直すので、不要なプロセスも見えてくることになります。BCPを策定することによって、業務改善や効率化につながります。

4.従業員の安心感が得られる
BCP策定にあたって、何より優先すべきは、従業員の安全安心です。緊急事態における従業員の安全確保の手段を明示することは、従業員の安心感につながるといえます。

BCP策定や運用の課題

BCP策定にあたって、企業側が下記のような事柄を課題として考えています。
1.専門的なノウハウや情報が不足している
2.人材の確保ができない
3.時間が取れない
4.費用的な余裕がない
これらの課題に対して、行政によって研修会を定期的に開催して、知識やノウハウを提供したり、補助金を設けたりすることで費用面の不安を解消できるようになってきています。

中小企業がBCP策定する際の注意点

自社にBCPを導入する際にはどういった点に注意していけばいいでしょうか。BCPを策定したとしても、作っただけでなく有効なものとなるポイントについてご紹介していきます。

自社に合ったBCPを策定する

企業によって事業の在り方、社員構成など、それぞれ状況は異なっており、守るべきものや、優先順位も違ったものとなります。
そのため、BCPのひな形を当てはめるだけでは、形ばかりのものとなってしまい、万が一の状況では役には立たないでしょう。
しっかりと自社の状況を分析し、自社に合ったBCPを策定する必要があります。

最初から完璧を目指さない

BCPは、いつ起きるかわからない緊急事態に備えて策定されるものです。全てを網羅した計画を最初から作るのは非常に難しいです。
最初から完璧を目指して取り組んでいると、いつまでたっても完成させることができません。もし完成したとしても実用性のないものになってしまうでしょう。
まずは自社でできる範囲で策定していくことをおすすめします。

定期的に点検・見直しをする

BCPは一度策定して終わりというものではありません。会社や事業の状況、社会環境、起こりうるリスク等は、策定後も変化し続けていきます。
また、BCPは策定しただけでは機能しないものです。定期的にブラッシュアップし、社内に浸透する教育の仕組みを回していきながら、状況に合わせた形にしていく必要があります。

BCP策定のプロセス

では、実際に自社でBCPを策定する場合にはどういったプロセスになるのか、具体的に見ていくことにしましょう。

BCP策定の目的設定

BCPを策定するにあたって、自社の理念や方針をベースにしてBCP作成の目的を設定します。従業員の安全安心、顧客からの信頼、といった経営者がかなえたい基本指針を確認しBCPの目標とします。

重要な業務とリスクの洗い出し

この次のステップとして、自社の事業において最も重要な業務を明らかにしていきます。自社の存在基盤となる事業、停止することで大きな損害が生じる事業、などがこれにあたります。
そして、リスクとなる事態を洗い出していきます。このあとどのリスクについて対策すべきかを考えるので、まずは全てのリスクを洗い出していきましょう。

リスクに優先順位をつける

想定されるリスクの優先順位をつけ、優先度の高いリスクに対して取るべき対策を検討します。
リスクの優先度を考えるには、発生する頻度と発生した際に想定される損害の度合いを見極める作業を行っていきます。

実現可能な具体策を決める

想定されるリスクに対して、対応する行動を具体的に定めていく工程が次のステップとなります。緊急事態が発生してから通常稼働に戻るまでの過程で、ヒト・モノ・カネ・情報といったリソースと、社内の組織体制をどのように動かすかを定めていきます。

BCPの社内教育と見直し

BCPは策定しただけでは意味がありません。実際の緊急時に従業員が有効に活用できるよう社内教育によって定着させる必要があります。定期的に研修を実施するなどして、BCPを社内に浸透させていきます。
また、一度策定したBCPも社会変化や会社の成長などに合わせて改定していく必要があります。定期的な見直しするよう、あらかじめ定めておくといいでしょう。

行政が行っているBCP策定支援

中小企業では、知見、ノウハウ、資金などが不十分であることから、BCPの策定が進んでいません。そこで東京都をはじめとする自治体では中小企業のためにBCP策定の支援策を用意しています。

東京都のBCP策定支援

東京都の外郭団体である東京都中小企業振興公社では、BCP策定を支援するためにさまざまな支援を行っています。定期的なセミナー開催の他、専門家の派遣やBCP導入に要する経費の一部を助成する助成金を用意し、中小企業のBCP策定をサポートする事業を行っています。

都道府県の研修会、補助金など

東京都以外にも、中小企業のBCP策定を支援する活動は広まっています。多くは東京都と同様に、セミナー開催、専門家の派遣、補助金支給といった事業を通じて中小企業がBCPを導入するよう進めています。興味がある方は、お近くの自治体の中小企業振興の部署にお問い合わせください。

まとめ

企業にとって、事業を継続していくことで顧客と従業員を守ることは何よりも大切なことです。万が一、緊急事態が発生した場面では、BCPは有効な指針になります。
中小企業では、どうしても目先の売上を追いかけることになって、BCPのような長期的な展望にたった施策までなかなか手が回らないかもしれません。
しかしながら、どんな時でも事業を継続させるということが、企業の果たすべき責任です。この機会にBCPの策定について、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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