生産性向上のためのITツール導入に使える!IT導入補助金の基礎知識

経営お役立ち情報

「ITツールを使って経営の可視化を図りたい」
「定例事務を効率化して収益部門に時間をかけたい」
このような経営課題の解決に利用できる、「サービス等生産性向上IT導入支援事業(以下、「IT導入補助金」)」をご存知でしょうか?

IT導入補助金とは、中小企業が生産性向上を実現するためのITツール導入費用を補助する制度です。令和3年度補正予算では、インボイス制度への対応を見据えたITツールの導入枠が新設される予定です。

本記事では、IT導入補助金の基礎知識と、2022年の変更点(令和3年度補正予算)について解説します。

IT導入補助金はこんなときに使える~代表的な事例

IT導入補助金は、どのようなときに利用が検討できるのでしょうか。代表的な事例をご紹介します。

会計事務の効率化

企業の経理事務に会計ソフトを導入されている企業は多いと思われますが、業務の拡大等により、今使っている会計ソフトが事業規模に合わなくなることがあります。

より事務を効率化できる会計ソフトを導入することで、経理・決算事務にかかる時間を短縮することが可能です。また、昨今の会計ソフトはクラウド化されたものも多く、金融機関のデータを自動で取り込めたり、税理士とデータ連携ができたりするものもあります。クラウド化された会計ソフトは利用料が発生しますが、その利用料の一部も補助対象経費になります。

勤怠管理事務の効率化

中小企業の場合、勤怠管理にタイムカードを利用したり、手書きの出勤簿を利用したりしている会社はまだ多く見受けられます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、テレワークを導入した企業では、この出退勤管理をどのようにすればよいのか、課題となったのではないでしょうか。

勤怠管理システムを導入することで、社員が会社に出社しない場合でも出勤申請が可能となるとともに、ペーパーレス化も実現できます。また、ITツールによっては勤怠管理と給与計算を連動できるものもあり、給与計算の効率化につながった事例もあります。

顧客管理の効率化

顧客管理も経営課題としてあがることが多いものです。社内で統一された顧客管理システムがなく、営業担当者個々人で顧客管理をしている場合、担当者の異動や退職、不在時に顧客からの問い合わせに対応できないことが発生します。また、営業ノウハウの共有化もできません。

顧客管理システム(CRM)を導入することで、顧客カルテを誰でもみることができるようになるほか、効率的な営業活動のために蓄積されたデータを活用するなど、効率的な営業施策の実現につながる場合があります。

ITツールを検討する場合、「ITツールを入れる」ことがゴールになりがちです。自社の経営課題を見極め、その課題解決のためのITツールを入れることで、始めて経営改善につながります。ITツールをいれることがゴールとなってしまうと、多額の投資をしたにも関わらず経営改善につながらない結果となることもありますので、注意が必要です。

IT導入補助金の特徴

IT導入補助金は、他の補助金と異なる特徴があります。

まず、IT導入補助金には年に複数回締め切りがあります。2021年は5次まで締め切りが設けられましたので、申請しやすいタイミングで申請をすることが可能でした。

次に、IT導入補助金は「IT導入支援事業者」となっているITベンダーやサービス事業者と協力して申請等の手続きをする必要があります。補助金が採択され、ITツールの導入後に補助金を申請する「交付申請」時には、この「IT導入支援事業者」と共同で申請内容を作成します。ITツールには専門的な知識が必要な場合も多いため、ITベンダーやサービス事業者とよく連携して申請をしましょう。

最後に、導入するITツールは、前述の「IT導入支援事業者」が登録申請し、事務局に登録されたものでないと対象になりません。導入したいITツールが登録されたものであるか、事前に確認が必要です。また、ホームページと同様の仕組みのもの、ホームページ制作ツールやブログ作成システム等のCMSで制作した簡易アプリケーションも補助対象外です。

2022年の変更点(令和3年度補正予算)

2022年は、このIT導入補助金について大きな変更が予定されています。

令和3年度補正予算では、インボイス制度への対応を見据えたITツールの導入補助をする「デジタル化基盤導入枠」が新設される予定です。「インボイス」とは「適用税率や税額の記載を義務付けた請求書」のことを指します。インボイス制度は2023年10月1日から導入されますが、これまで個人事業主や免税事業者といった、消費税の納付が必要なかった事業者には大きな影響がある制度といわれています。

インボイス制度も見据えたデジタル化を一挙に推進するため、2022年(令和3年度補正予算)のIT導入補助金では、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用も補助対象となる予定です。

あわせて、「複数社連携IT導入類型」として、10社以上の事業者で連携して取り組む事業に対する枠が新設される予定です。

(注)本記事制作中において、令和3年度補正予算の内容については中小企業庁の制度設計中であり、今後変更となる場合があります。詳細は中小企業庁のHPをご確認ください。

IT導入補助金の申請ポイント

では、IT導入補助金を申請するときにはどのようなポイントがあるのでしょうか。

まず、自社の経営課題の抽出をしましょう。冒頭に申し上げたとおり、「ITツールを入れる」ことをゴールにするのではなく、自社が抱える経営課題はなにか、改善するとどのような効果があるのか整理します。自社の経営課題をうまく整理できない場合は、経営コンサルタントなどの経営の専門家に相談しましょう。

次に、経営課題に対応するITツールやIT導入支援事業者を選定します。何を選べばよいかわからないときは、お近くの経営コンサルタント、商工会・商工会議所、ITコーディネーター等にアドバイスを受けることができます。

IT導入補助金の申請は、オンライン上で行います。申請書の作成にあたっては、IT導入支援事業者とよく連携し、そのITツールに詳しくない審査員が読んでもわかるような説明を心がけましょう。

IT導入補助金の申請については、時折専門用語の羅列となっている申請書が見受けられます。しかし、専門用語の羅列となっている申請書では、そのITツールに詳しくない審査員には理解し難く、そのITツールを導入することでどのような経営改善を図りたいのかも伝わりません。

申請書では、今自社にどのような経営課題があり、なぜそのITツールによって改善できるのか、ITツールを導入することによる効果はどのようにでるのか、わかりやすく説明しましょう。

まとめ

IT導入補助金は、幅広いITツール導入に利用できる利便性が高い補助金です。一方で、ITベンダーやサービス事業者が、IT導入補助金を営業のドアノック材料として使うこともあります。経営課題に即したITツールを導入しないと無駄な投資となってしまうため、「補助金がでるから」と多大な投資をしないよう、気をつけましょう。

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