中小企業は株主総会を開催するべき?株主が少ない場合の書面決議について

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中小企業において、株主が少ない場合などでも株主総会を開催するべきなのでしょうか。

中小企業が株主総会を開かないリスクについて説明するとともに、最近の新型コロナウイルスの影響により増えている書面決議について説明していきます。

また株主総会を開催するにあたって、開催日や開催場所、招集通知の発送方法などについて詳しく解説していきます。中小企業における株主総会について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

中小企業は、株主総会を開くべき?

結論は中小企業の場合であっても、株主総会は開く必要があります。

しかし、総議決権数のうち3分の2以上の議決権が社長1人に集中しているような中小企業の場合、株主総会を開いていない会社もあるかもしれません。また株主総会を開催したことにして、議事録だけ作成しているような場合もあります。しかし、株主総会を開催しない場合にリスクがあることも理解しておく必要があります。

一方で、株主が1人の中小企業の場合などは、株主総会の招集を省略し、株主総会自体も書面決議できることがあります。

まず、そもそも株主総会とはどのようなものなのか説明していきます。

株主総会とは

株主総会とは、株式会社において株主の総意に基づき会社の意思決定をする機関のことです。そのため合同会社の場合には、株主総会はありません。

取締役会を設置している中小企業の場合には、通常の経営については取締役会が決定していきますが、定款の変更などの重要事項については株主総会で決定していきます。

株主総会における決議事項は、以下のようなものがあります

・定款変更
・解散や合併などの会社組織変更について
・取締役など役員の選任や解任
・役員報酬の決定
・決算の報告承認

次に、中小企業における定時株主総会について説明していきます。

定時株主総会

定時株主総会は、1年に1回必ず開催する必要のある株主総会のことです。通常は、決算日から3ヶ月以内に実施し、決算の報告承認や、役員の再任決議がされます。株主総会では、決算書の内容を経営者が株主に対して説明し、承認を得る手続きをします。そして確実に手続きがされたことを議事録に記載していきます。

役員については、2年の任期があるため、2年ごとに再任決議していく必要があります。ただし、非公開会社の場合は定款に定めることで、役員の任期を10年以内に伸ばすことが可能です。そして、株主総会により役員の再任決議をした場合は、2週間以内に法務局で登記申請します。

臨時株主総会

臨時株主総会とは、文字通り臨時に開かれる株主総会のことをいいます。臨時株主総会は、役員報酬の金額を変更したいときや、会社の本店所在地を変更したいとき、別の会社と合併したいときなどに開かれます。

役員報酬の変更については、事業年度が開始してから3ヶ月以内にする必要があります。例えば、事業年度が4月1日から3月31までの場合には、6月30日までに役員報酬の変更が必要です。役員報酬という税金と大きく関係してくる大切なことに関しては、株主総会で決める必要があります。

中小企業が株主総会を開かないリスク

中小企業において株主が少ないため、株主総会を開いてないということがあるかもしれません。しかし株主総会を開かない場合にはリスクが生じます。

株主総会を開いているかのように議事録を書くことは、株主総会決議不存在確認の訴えを受ける可能性があります。不存在確認の認容判決がされてしまうと、株主総会の決議が無かった事にされてしまうのです。つまり、役員報酬の変更の決議が無かったことになり、決議前の役員報酬に戻されてしまうということがあります。その他にも役員の選任決議がなかったものとされ、会社の中で混乱が起きてしまう可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響により増えている書面決議

新型コロナウイルス感染症の影響により、上場企業においてもオンラインによる株主総会が開かれるようになっています。

さらには、株主が少ない中小企業においては、株主総会における議決権を持つ株主全員が、株主総会の目的事項に対して書面または電磁的方法で同意を得た場合においては、株主総会の開催を省略できます。

株主が1人の場合などは書面決議により株主総会を簡略化できます。しかし書面決議の場合にも議事録の作成は必要です。

会社法において株主全員の同意を得られれば、株主総会の招集手続は、省略できることになりました。

株主総会を開催するにあたって

株主が経営者以外にいる場合など、株主総会を開催した方が良い場合があります。中小企業において株主総会を開催するためには、どうすればいいか説明していきます。

株主総会の開催日や開催場所、招集通知の発送や、議事録について解説していきます。

株主総会の開催日

中小企業における株主総会の開催日は、会社法において特に決まりはなく、都合のよい日に開催することができます。

しかし一般的には、6月下旬の株主総会の開催が多くなっています。なぜなら、株主総会における権利を行使する基準日を設定するのが一般的で、決算日から3ヶ月以内という日付が関係しているからです。3月末を決算日としている会社が多いためです。

株主総会の開催場所

株主総会の開催場所は自由に決められます。特に、法律で本店所在地と決まっているわけではありません。新型コロナ感染症の影響により、感染の少ない地域での開催場所も可能です。

尚、オンラインでの株主総会を開催する場合にも、開催場所の確保は必要です。

招集通知の発送について

取締役会が株主総会の招集を決定した場合には、代表取締役が株主に招集通知を発送します。

その際に、以下のことを通知します。

・株主総会の日時と場所
・株主総会の報告事項と決議事項
・株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法により議決権を行使できるか記載

招集通知は、株主総会の開催日の1週間前までに送付する必要があります。この場合、招集通知の発送日と株主総会の当日は含まない1週間です。

株主総会の議事録について

株主総会の議事録は、中小企業であっても法律で作成するように定められています。

株主総会議事録の記載事項は、以下の通りです

・開催日時と場所
・議事の経過と結果
・株主総会で出た意見や発言の内容
・議長の氏名
・出席した取締役等の氏名
など

議事録を会計事務所に依頼することがあるかもしれませんが、中小企業であっても作成自体は、企業自らする必要があります。

株主総会で決議された事項について登記が必要なものは、2週間以内にする必要があります。

まとめ

中小企業においても株主が経営者と別に存在する場合には、基本的に株主総会を開く必要があります。最近の状況からオンラインでの開催も可能になっています。ぜひ、これを機に株主総会の理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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