4月から給与のデジタル払いが解禁!必要な手続きやメリットを紹介

労務お役立ち情報

2023年4月から、給与を○○payなどの電子マネーで支払う「デジタル払い」が可能になります。導入した場合のメリットや、注意するべき点を解説します。

賃金のデジタル払いとは

賃金の電子マネー払い解禁の前提として、そもそも賃金の支払い方法は労働基準法24条で以下のように定められています。
(1) 通貨(現金)で
(2) 直接労働者に
(3) 全額を
(4) 毎月1回以上
(5) 一定の期日を定めて支払う
つまり、原則として賃金は、現金を手渡しで行うことと定められています。
出典:2023年2月20日 厚生労働省 「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案の概要」

ですが、最近はほとんどの場合において銀行口座への振り込みによって賃金をお支払いしていることと思います。この口座振り込みという方法は、労働者の同意を得た場合に限り認められた例外的な支払い方という位置づけです。

手渡し、口座振り込みに加えて第三の方法としてデジタルマネー(○○payなど)による給与の支払いが、2023年4月から可能になる、というのが今回の労働基準法の省令改正の内容です。あくまでも例外的な支払い方ですので、企業は従業員から求められても、必ずしもデジタル払いを導入する義務はありません。従業員のニーズや、今後の社会の動向を探りながら導入していくといいかもしれません。

企業側のメリット

振込手数料の削減

従業員の電子マネーアカウントへの入金(給与の支払い)は、企業側の支払い用アカウントからの送金で行うことが想定されます。一般的に、電子決済サービスのアカウント間での送金は、銀行口座間での送金よりも手数料が安い、もしくは無料であることが多いです。

そのため、従来よりもコストを抑えることができるようになると期待されています。

外国人労働者などを雇用するハードルが下がる

外国人労働者を雇用するうえで障害となることの一つが、銀行口座開設のハードルの高さです。

現状、滞在期間が6か月未満の外国人は基本的には銀行口座の開設ができないと決められています。条件を満たしても在留カードや、住所を証明できる書類の提出、さらには日本人同様に印鑑を持参する必要があります。また、本人の日本語の習熟度と銀行窓口の対応など、多くのハードルがあることが現状です。

一方、電子マネーのアカウントは携帯電話番号とパスワードを設定するだけで利用できるものもあり、短期滞在の外国人にとっては使い勝手が良いです。

デジタル払いを取り入れることで、給与の支払いを柔軟に対応できるようになれば、企業側にとっても、メリットになるでしょう。

導入する際の注意点

給与のデジタル払いを導入する際には、主に以下のような点に気を付ける必要があります。

就業規則の改定

多くの会社は就業規則(賃金規定)で賃金の支払い方法を規定していることと思います。デジタル払いを導入するには就業規則の改定と、新しい就業規則を労働基準監督署へ届け出る必要があります。

従業員の同意を得る

就業規則の追加と合わせて、デジタル払いを導入する旨を従業員に十分に周知し、同意を得なければなりません。同意の形としては、労使協定を結ぶことや、雇用契約書で明示することなどがあります。

なお、企業側は電子決済サービス(資金移動業者)のみを選択肢として提示するだけでは不十分です。銀行口座や証券総合口座なども選択肢として提示したうえで、デジタル払いについての同意を取る必要があります。

従業員のアカウントの残高に上限が設けられている

現在、従業員の電子マネーのアカウント残高が100万円以上である場合には、電子マネー以外の方法で賃金を支払わなければならないとされています。そのため、一部の従業員にはそもそもデジタル払いを適用することができないパターンが出てくることもあるかもしれません。

上に挙げたもの以外にも、現金化することができないポイントや仮想通貨での支払いは不可、利用できる資金移動業者は厚生労働大臣が指定してものだけである、などの制限があります。

まとめ

今回はついに解禁される賃金のデジタル払いについて解説をしました。

導入されたあとの具体的なイメージを持ちにくいという方も多いかと思います。しかし、キャッシュレス決済をはじめとするデジタル化の波は今後も一層、大きくなっていくでしょう。そうした流れに乗るためにも、着実にデジタル払いへの対応を進めていくことが重要になります。ぜひ一度、前向きに考えてみてはいかがでしょうか。