マーケティングにおける重要なキーワードとして、よく耳にする「ペルソナ」。
しかし、ペルソナがどのような意味を持っているのか。なぜマーケティングにおいてペルソナが必要なのか。実はあまりわかっていないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ペルソナに関する基礎知識を細かく解説します。ペルソナのメリット・デメリットはもちろん、作成方法もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ペルソナとはなにか?
ペルソナとは心理学の用語で、「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」という意味を持ちます。これをマーケティングの世界では、「架空のユーザー・人物像」という意味で使われています。
架空とはいえ、実際に存在するかのような人物像にする必要があります。細部まで細かく設定することで顧客のニーズを把握でき、マーケティングで効果を発揮するのです。
ペルソナの具体例
実際に、ペルソナを設定した具体例を紹介します。前述したように、ペルソナは特定の人物像を細部まで作り込まなければ意味がありません。ここでは、ダイエットサプリの購入ユーザーをペルソナとして考えてみます。
氏名:田中一郎
年齢:35歳
性別:男性
居住地:大阪府堺市の一戸建て
職業:ゲームエンジニア
役職:係長
世帯収入:1,100万円
家族構成:妻、小学生の娘が1人
悩み:20代からエンジニアとして忙しい毎日を送ってきたが、デスクワークのせいか最近お腹がぽっこりと目立つようになってきた。職場の仲間や娘からの視線が気になり、どうにかしたいと思っているが、仕事が忙しく運動の時間は確保できそうにない。そんな時、インターネットで話題のダイエットサプリが目に留まった。手軽に痩せたいという気持ちから、サプリの購入を検討している。
以上が、ざっくりとしたペルソナの構成例です。この他にも、趣味やライフスタイルなど追記すべき情報はたくさんあります。少々手間に感じるかもしれませんが、設定することで顧客のニーズをより深く把握できるようになるのです。
ペルソナとターゲットの違い
では商品のユーザーを想定する意味で、似たマーケティング用語である「ターゲット」はペルソナとなにが違うのでしょうか。
その違いは、「想定する人物像の設定を、どのくらい詳細にするか」です。ターゲットよりも、ペルソナの方が細かく設定を作り込む傾向があり、ターゲットは「50代主婦」のように広い範囲で設定します。
ペルソナを設定するメリット
ここからは、ペルソナを設定するメリットについて紹介していきます。
担当者間の認識のズレを防ぐ
ひとつ目のメリットは、マーケティング担当者間の認識のズレを防ぐことです。ペルソナを設定することで目標となる人物像がひとつに定まるため、複数の担当者がいる場合に共通の認識を持つことができます。
そのため無駄な工程を挟むことがなく、効率的に作業を進めることができるのです。
顧客ニーズをより深く把握できる
ペルソナを設定することで、ユーザーがなにを求めているのか、具体的なプロフィールをもとに考えることができます。ニーズを把握できるということは、次に紹介するメリットにもつながります。
ユーザーに刺さるアプローチができる
ペルソナは、いわば1つの人格です。そのペルソナのニーズを満たすことができれば、サービスを開発する際にも活用できます。開発中のサービスは本当にユーザーが求めているものなのかどうか、確かめながらプロジェクトを進めていくことができるのです。
また、ペルソナを詳細に作り込むほどユーザーの悩みが浮き彫りになり、効果的なマーケティングを行うことが可能です。
プロジェクト全体の作業時間、コストを削減できる
目標とするユーザー像を定めることで、本当に行うべき作業にのみ集中することができ、プロジェクト全体の作業時間やコストの削減につながります。
ペルソナを設定するデメリット
ペルソナには多くのメリットがあるものの、デメリットも存在します。
特定のターゲット以外には刺さりにくい
ペルソナは特定の人物像に絞った設定のため、そのユーザー以外には訴求できないというデメリットがあります。
広く浅いPRがしたい場合には不向きであるといえますね。
時間とコストがかかる
ペルソナの設定には、徹底したリサーチが必要になります。入念に作り込んだペルソナだからこそ、ユーザーのニーズを把握することができるのです。
作成に時間やコストがかかることは考慮しておかなければいけません。
常にブラッシュアップが必要になる
ペルソナは、実在するユーザーに模した人物を作り出します。そのため、ペルソナで設定した人物像も、リアルタイムで更新し続ける必要があります。
時の経過や環境の変化とともに、ユーザーのニーズも変わっていきます。ペルソナは作成後も、定期的に見直していくことが重要なのです。
設定を誤るとその後の進捗に大きく影響する
先ほどペルソナを設定することで、担当者間のズレを防げるとお話ししました。しかし、万が一その設定が誤っていたらどうでしょうか。担当者全員の作業が無駄になり、プロジェクトが滞る事態になりかねません。
そのためペルソナは入念なリサーチのもと、慎重に作成を行いましょう。次の章からは、作成手順について解説します。
ペルソナの作成手順
ペルソナの作成手順は、大きく分けて4つです。
データ収集
まずは、ペルソナのもととなるデータを集めましょう。データ収集には、既存顧客の情報やアンケート・インタビューを活用します。
表面的な情報だけでなく、家族構成や年収といった詳細な情報もできるだけ集めることが大切です。
データから共通項を見つける
データ収集が完了したら、次はそれぞれに共通する特徴を見つけましょう。ライフスタイルや抱えている悩みなどをピックアップし、まとめてきます。
ストーリーに落とし込む
共通項を見つけ出したら、情報をもとにストーリー仕立てにします。記事前半で紹介した例のように、ペルソナが抱えている悩みなどを理由とともにまとめあげていきます。
上手くストーリーに落とし込むコツは、行動の動機や理由に着目することです。どのような行動を取ったかではなく、「どうしてその行動を取ったのか」に焦点を当てて考えることで、リアルな人物像を作成できるようになります。
効果検証
ペルソナが完成したら、実際のマーケティングに活用しましょう。その後どのくらい効果があったのか、結果を分析します。
ペルソナは常にブラッシュアップしていくものです。定期的に見直すことで、良い成果が期待できます。
ペルソナ作成時の注意点
ペルソナ作成時には、注意すべきポイントがいくつか存在します。
理想や主観で判断しない
ペルソナは、入念なリサーチをもとに作成するもの。理想の顧客像にとらわれ、思い込みで作成してはいけません。
正確な作成のために、実際のユーザーから意見や口コミを収集することが大切です。
データは必要十分な情報に絞って収集する
ペルソナの作成手順を解説した際、できるだけ多くの情報を集めるべきとお話しました。しかし、あらゆる情報を集める必要はありません。
たとえばダイエットサプリ購入ユーザーのペルソナに、「好きな音楽」の情報は不要です。目的のユーザー像の把握に必要な情報のみを集めるようにしましょう。
定期的に見直す
繰り返しお伝えしていますが、ペルソナは定期的な見直しが重要です。作成して終わりではなく、常に分析し続けることを意識しましょう。
まとめ
以上、ペルソナの基礎知識と作成手順について解説しました。