オフィス移転の流れと進め方

経営お役立ち情報

オフィス移転は個人の引っ越しとは異なり、長期間を要し作業や手続きも多岐に渡ります。適切な方法でなければコストを抑えられず、オフィス移転の効果も得られません。

本記事では、オフィス移転の流れと進め方に加え、移転を成功させる方法についても解説します。

移転前の準備

オフィス移転前の準備では、新オフィスや引っ越し業者の選定などを行います。移転前の準備は作業の大部分を占め、オフィス移転の成功を左右する重要なポイントです。

一般的にオフィス移転は約6カ月の期間を要し、大規模になれば1年間になる場合もあります。スムーズなオフィス移転を実現させるには、移転日を基点にしながらスケジュール管理して作業を進めなければなりません。

新オフィスの選定・移転計画の立案

オフィス移転が決定したら、移転計画を立案し、新オフィスの選定作業をはじめます。オフィス移転は住宅のようにシンプルな引っ越しではなく、煩雑な作業が多いため管理が簡単ではありません。

そのため、移転計画についてはプロジェクトリーダーを任命し、スケジュールをしっかり管理して進める必要があります。

新オフィスの選定の主なチェックポイント

・新オフィスの広さ
・立地
・オフィスのスタイル(形態)

新オフィスの選定では主に、広さ、立地、オフィスのスタイル(形態)といった点に注目して候補を検討します。現オフィスに対する問題点や不満点を洗い出し、課題を克服できる候補が新オフィスに相応しいでしょう。

オフィス移転にかかるコストの計算

・現オフィスの退去費用
・新オフィスの入居費用
・引っ越し費用

オフィス移転にかかるコストは大きく3つに分けて、現オフィスの退去費用、新オフィスの入居費用、そして引っ越し費用です。

現オフィスの退去に際しては、原状回復工事が必要となり費用が発生します。新オフィスの入居にあたっては、敷金や不動産会社への仲介手数料などに加え、レイアウトや内装を変更する場合は工事費用がかかります。

レイアウトの変更や内装工事の費用を抑えるには、居抜きオフィスを検討されるのがおすすめです。コワーキングスペースとシェアオフィスなども、オフィス移転にかかるコストを削減できる選択肢です。

新オフィスのレイアウト作成と工事依頼

新オフィスのレイアウトや内装工事が必要な場合は、スケジュールに余裕を持たせて事前に工事依頼をする必要があります。そのため、新オフィスのレイアウト作成と工事依頼は少なくても移転日の4カ月前に行うのがおすすめです。

現オフィスの解約通知・原状回復工事の打ち合わせ

移転にあたって、現オフィスのビル管理会社やオーナーに退去と解約通知を行います。この作業は移転日の6カ月前が一般的ですが、小規模オフィスの場合は3カ月前でも可能な場合もあります。

解約通知と共に、ビル管理会社やオーナーと現オフィスの原状回復工事の打ち合わせを行います。この時点で原状回復工事が必要な箇所や範囲、スケジュールを明確にします。加えて、移転時にトラブルがないよう、賃貸契約書の内容を確認しておくのも重要なポイントです。

引っ越し業者の選定

適切な引っ越し業者を選定するのは、難しい作業です。そのため、事前に複数の引っ越し業者から見積もりを取り、コストと信頼性を比較して選定するのがおすすめです。

そして、時間に余裕を持たせて引っ越し業者に予約しておきましょう。引っ越し業者の繁忙期と移転時期が重なると、移転日に引っ越し業者が見つからないリスクがあるからです。

オフィス移転をパッケージ化したサービスもある

オフィス移転については、煩雑な作業が多いため、プロジェクトチームなど専門の人員を割く必要があります。しかし、リソースの限られた企業ではそれが困難な場合もあるしょう。

オフィス移転にリソースを割く余裕がないケースでは、オフィス移転の作業を全てパッケージ化したサービスを利用するのもひとつの選択肢になります。オフィス移転の目的や要望を明確にし、外注すればメイン業務に支障をきたすこともありません。

電話・インターネット回線の手続き

オフィス移転では、電話・インターネット回線の手続きも必要になります。現在契約している業者に事前連絡し、新オフィスでも引き続きサービスが利用できるようにしておきましょう。

[コスト削減]ビジネスフォンやインターネット回線の見直し

オフィス移転は、現オフィスの問題点やコストを見つめ直すいい機会でもあり、これは通信サービスやその費用にも当てはまります。

新オフィスへの移転時に、ビジネスフォンやインターネット回線を今一度見直し、コスト削減できないか検討されてみてはいかがでしょうか。

固定電話をひかり電話にすると、インターネット回線とセットで費用が安くなるサービスがあります。また、ビジネスフォンについては従来型からクラウドタイプにすると、現在の通信費を大幅に削減できます。

オフィス設備・家具の買い替えや整理

新オフィスへの引っ越し時には、設備や家具の買い替えや整理も行います。設備や家具を捨てる場合は、産業廃棄物扱いになるものもあるため処理コストが発生します。

オフィス設備・家具にかかるコストを抑えるには、現オフィスの設備・家具を新オフィスでも引き続き使うのが効果的です。しかし、買い替えが必要なケースでは、オフィス家具のサブスクリプションサービスやレンタルの方がコストを抑えられる場合があります。

移転後の手続きなど

新オフィスへの移転後の流れについて見ていきましょう。

新オフィスへの引っ越し・原状回復工事

新オフィスへの引っ越し作業が完了すると、前オフィスの原状回復工事がはじまります。事前にビル管理会社やオーナーと打ち合わせた内容と相違ないか十分に確認して、原状回復工事を進めましょう。

取引先への連絡・HPや名刺の更新

移転後は、取引先へ連絡し新オフィスの住所や連絡先の変更の有無について伝えます。そして、顧客が戸惑うようなトラブルを避けるため、HPや名刺の内容も新オフィスに更新します。

オフィス移転にともなう届出・各種手続き


オフィス移転にともなう届出・各種手続きを、上記の表にまとめました。都道府県税事務所への異動届出書(または事業開始等申告書)の手続きは移転直後が適当ですが、自治体により異なるため確認してください。

法務局への本店移転登記の申請は、法務省のホームページからオンラインで行うことも可能です。また、オンライン法人登記支援サービス「GVA法人登記」も時間とコストを節約できるのでおすすめです。

移転を成功させる方法

最後は、オフィス移転を成功させる方法についてご紹介したいと思います。

オフィス移転の目的を明確化する

オフィス移転の成功には、目的の明確化が不可欠です。コスト面ばかりを重視するのではなく、業務効率化の観点からも現オフィスの課題や問題点を洗い出す必要があります。

オフィス移転により働き方が改善して業務効率化が達成すれば、結果として業績の向上に繋がるのです。

現オフィスの問題点を共有する

現オフィスの問題点を共有するには、トップダウン型の移転計画では不十分な面があります。経営陣の思い描く形が社員の要望と異なれば、新オフィス移転によるメリットが得られないからです。

ボトムアップやプロジェクトメンバーを軸としたマネジメントを活用して、社員の声を移転計画に取り入れましょう。ワークショップを開くのもひとつのアイデアですが、必ずしも活発に意見が交わされるとは限らないのが問題点です。この場合、簡易アンケートサービスのオフィスサーベイを活用するのがおすすめです。

新オフィスでの働き方をイメージする

オフィス移転の目的が明確化できない場合は、新オフィスでの働き方をイメージするのがいいでしょう。新オフィスで働くイメージは、理想的な働き方を反映しています。それは裏返せば、現オフィスの問題点を克服した形なのです。

コワーキングスペース・シェアオフィスの検討

オフィス移転は、働き方に加えオフィススタイルを見直す大きなチャンスでもあります。会社が目指す働き方がフリーアドレス型なら、従来型のオフィスではフィットしません。

オフィスからバウンダリー(境界)を取り除き、社員の円滑な交流から生まれるイノベーションを求めるなら、コワーキングスペース・シェアオフィスを検討されるのをおすすめします。

オフィスにかかるコストの大幅な削減効果

コワーキングスペース・シェアオフィスは、カフェテリアや図書館のような環境で、他の企業と共有しながら利用します。オフィスに必要な設備や家具もあらかじめ用意されているので、オフィス移転だけでなく新オフィスのランニングコストも大幅に削減できるのです。

フリーアドレス型の働き方に最適なオフィス環境

コワーキングスペース・シェアオフィスはオープンスペースのコンセプトに基づいており、固定席はなく自由に人が出入りできる環境です。

そのため、自然と社員同士のコミュニケーションは活発になります。さらに、他の企業も同じ空間で仕事をしているため、交流と新しい刺激が同時に得られるメリットがあるのです。

フリーアドレス型の働き方やテレワークが多いケースでは、従来型のオフィスは不必要な上にコストも高くなります。コワーキングスペース・シェアオフィスはフリーアドレス型の働き方にフィットしており、コスト削減との両立が可能です。

オフィス移転後の効果検証と改善

新オフィスへの移転は、オフィス移転のゴールではありません。オフィス移転を成功させるには、常に利用のアップデートが必要になります。

オフィスへの移転後から一定期間が経過したら、オフィス移転の効果を検証しましょう。移転計画時点で期待していた効果が得られていないのであれば、検証を基に改善していきます。さらに検証を定期的に行いアップデートを繰り返せば、本来期待した移転効果が得られるだけでなく、次のオフィス移転の際に検証データを活用できるメリットがあります。

まとめ

オフィス移転の流れと進め方について解説しました。オフィス移転の作業には6カ月~1年間かかり、移転前の準備がその大部分を占めています。

キャシュモでは、オフィス移転に伴う届出や手続はもちろんのこと、財務・税務・労務・経理の専門家がワンストップで様々な経営課題へのアドバイスやアウトソーシングを提供します。オフィス移転をはじめ、御社の経営におけるお悩みは、是非キャシュモへご相談下さい。

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