社長が引っ越した時に必要な手続き

経営お役立ち情報

誰であっても、自宅の引越しをすると住所変更の手続きをいくつもやらなければなりません。しかし、社長が引っ越した場合は個人でする手続きとは別に、会社での住所変更の手続きが必要になります。

会社の代表者である社長の住所は、登記簿にも掲載されている公開情報です。住所が変更になると、登記簿に掲載されている代表取締役の住所をはじめとして、登録している数ヵ所に変更の手続きが必要になります。自宅の引越し前後の時期はやることが多く慌ただしいところですが、手続きをし忘れるとペナルティが発生する可能性もあるので注意が必要です。

この記事では、社長が自宅の引越しをした後に、会社がやらなければならない住所変更手続きについてご紹介していきます。

法務局での手続き

会社の登記簿には社長である代表取締役は名前の他に住所も掲載されています。登記簿は誰でも閲覧可能ですので、人によっては個人情報が公開されることに抵抗を感じるかもしれません。

なぜ社長は住所まで登記簿に載せて公開されるのでしょうか。登記簿に代表取締役の住所が掲載されているのには、下記のような理由があります。

①信用情報として
代表取締役の住所から、どのエリアに住んでいるかがわかります。さらにその住所の不動産登記簿を閲覧すれば、持ち家か賃貸住宅かも知ることができます。持ち家であれば、抵当権の設定状況も不動産登記簿でわかるので借り入れ状況も推測できます。そのエリアの土地の価格を調べれば、不動産登記簿に掲載されている社長名義の土地の広さなどから、大まかな資産状況を確認することができます。

②訴訟などが起きた場合の連絡先
相手先の会社と、訴訟などのトラブルが発生した場合に、会社と連絡が取れなくなる可能性があります。その際に代表取締役の自宅住所宛に手紙や通知を送付することができるようにしておくということです。ただし、社長個人の情報が公開されることについて、個人情報保護の観点から議論にもなっており、今後制度が変わる可能性もあります。

住所変更登記

住所が変わった場合は、変更があった日から2週間以内に住所変更の登記申請をしなければなりません。期限を過ぎても申請は受け付けてもらえますが、100万円以下の過料(罰金)の対象になることもありますので早めに手続きをしておいたほうがいいでしょう。

登記申請にかかる登録免許税は、資本金によって定められており、資本金1億円以下であれば1万円、1億円を超える場合は3万円となっています。登録免許税は、収入印紙で納付します。

申請用紙の書式は、法務局のホームページからダウンロードできるようになっていますので、記入例に従って作成し登録免許税を貼付けたA4サイズの台紙をホチキスで綴じ、契印をして会社の管轄エリアの法務局に提出します。住民票の添付は不要です。

登記申請は郵送でも対応してもらうことができます。登記が完了するまで1週間程度みておくといいでしょう。

住所変更の登記申請は自分でやることはできますが、いろいろ調べたり修正したりと面倒なことになるかもしれません。登記の専門家である司法書士に依頼すれば、1万円程度の手数料で登記申請一式をやってもらえます。

登記が完了したら、その後の手続きに必要になることがありますので、新しい履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得しておきましょう。

税務署での手続き

住所変更登記が完了し新しい履歴事項全部証明書が取得できたら、次に税金を扱っている税務署や自治体窓口で手続きをしましょう。

異動届出書

税務署に登録してある代表取締役の住所を変更した場合は、「異動届出書」の提出が必要になります。

書式は、管轄する国税庁のホームページからダウンロードできます。住民票や履歴事項全部証明書の添付は不要で、持参や郵送の他、e-Taxを利用してオンライン申請が可能です。提出期限は特にありませんが、「遅滞なく」とされていますので早めに提出しましょう。

所得税の納税地の異動に関する届出書

代表取締役が個人の確定申告をしている場合には、代表取締役の住所地を管轄する税務署に「所得税の納税地の異動に関する届出書」の提出が必要になります。

この届出も住民票の添付は不要で、持参や郵送の他、e-Taxを利用してオンライン申請が可能です。提出期限は特にありませんが、「遅滞なく」とされています。

都道府県税事務所での手続き

税務署では、所得税、法人税、消費税などの「国税」を扱っていますが、会社法人は「法人住民税」と「法人事業税」といった税金も納税対象となっています。管轄する都税事務所や道府県庁、市町村にも、税務署と同様の異動届出書の提出が必要です。

異動届出書

都道府県事務所に「異動届出書」を提出しますが、管轄する都道府県によって書式が異なります。

主な記載内容は、会社名、本店所在地、納税地、連絡先、代表者氏名、事業年度、変更事項、変更前の住所、変更後の住所、住所変更年月日です。申請の際に、履歴事項全部証明書が必要になる地域もあるので管轄の事務所で確認しておいたほうがいいでしょう。持参あるいは郵送によって申請します。

市区町村での手続き(法人)

異動届出書

東京23区であれば、都税事務所に提出するだけですが、その他の地域では区市町村の役所の税金の窓口に異動届出書を提出します。

書式は役所によって異なりますが、掲載する項目は、都道府県税事務所の場合とほぼ同じです。区市町村によっては、履歴事項全部証明書が必要になるところもあるので、管轄の役所で確認しておいたほうがいいでしょう。持参あるいは郵送によって申請します。

年金事務所での手続き

会社の管轄地にある年金事務所に、下記の届出が必要になります。

健康保険・厚生年金保険事業所関係変更届

健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届

日本年金機構のホームページに書式がありますので、記入して持参あるいは郵送での申請が可能です。添付書類は不要です。

代表取締役に扶養する配偶者がいる場合には、下記の届出も必要となります。

国民年金第3号被保険者住所変更届

まとめ

引越しの後は何かと手続きも多く煩わしいものですが、事前にやっておくべきことをリストアップし漏れがないようにしておきましょう。

実際に自分で手続きを全てやるとなると、いろいろと調べる必要があったり間違いの指摘があれば修正しなければならず、時間を取られる可能性があります。多少の費用はかかりますが、司法書士や税理士といった専門家に依頼する、というのも一つの選択肢です。

キャシュモは経理・財務・税務・労務のスペシャリストが、ワンストップで経営管理をお手伝いします。引越し後の手続きなどのバックオフィスの仕事は専門家に任せて、会社本来の仕事に集中したいと思われたら、是非キャシュモへご相談下さい。

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