雇用形態とは?人を雇うときに知っておくべきこと、考えるべきこと

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労働者を雇うときに考えるのが、どのような雇用形態があるのか、それぞれの雇用形態にはどのような違いがあるのかということではないでしょうか。

本記事では雇用形態の種類や違いについて、各雇用形態ごとに考えておくべき点をご紹介します。
また雇用形態にかかわらず、人を雇うときに知っておくべき点もあわせて解説します。

雇用形態にはどんなものがあるのか

正社員やパートなど、いろいろな雇用形態について耳にしたことはあっても、その詳しい違いについて分からない方も多いのではないでしょうか。

様々な雇用形態について、何がどのように違うのか、その区分について解説します。

雇用形態の種類

正社員

正社員は働く期間に定めがなく、会社で決められた所定労働時間に沿って働くフルタイムの雇用形態です。

契約社員/嘱託社員

契約社員や嘱託社員は働く期間にこそ定めはあるものの、勤務時間は正社員と同じです。このうち、定年退職をした後に再雇用された労働者のことを、嘱託社員と呼ぶことが多いようです。

パートタイマー

パートタイマーは、正社員と比べて短い時間の勤務になっています。さらにその中でも、日中、子どもが学校などに行っている間だけ働きたい人に向けた勤務形態を、一般にパートタイマーとよんでいます。

アルバイト

アルバイトは、パートタイマーと同じく勤務時間は正社員より短くなっています。パートタイマーとの違いとしては、平日の夕方以降や土日祝に働きたい、学生に向けた勤務形態だということです。

派遣社員

派遣社員は、実際に勤務する会社とは別の派遣会社から派遣される労働者のことをいいます。同じ派遣社員として同じ業務を担当していても、派遣元の派遣会社が違えば、勤務時間などが異なることもありえます。

直接雇用と間接雇用

雇用の形を分類するにあたって、直接雇用と間接雇用という分け方もあります。

直接雇用とは、会社に直接採用されて雇用される場合をさし、間接雇用とは実際に勤務する会社と給与を支給する会社が異なる、派遣社員のような雇用形態のことをさします。

正規社員と非正規社員

直接雇用と間接雇用のような分け方として、正規社員と非正規社員という分け方もあります。一般的に正規社員とは正社員のことをさしていて、次の3つの条件すべてにあてはまる場合をいいます。

【正社員の条件】
①働く期間に定めがない
②会社で定められた所定労働時間がフルタイムである
③派遣会社からの派遣ではなく、直接会社に雇用されている

大体の場合、この正社員以外の契約社員やパートタイマーなどを非正規社員としています。

各種保険の加入条件

給与から差し引く雇用保険料など、労働者が加入すべき保険はいろいろとありますが、これら保険の加入は、働く時間や期間などによって加入条件があります。

これら各種保険の加入条件について、保険の種類ごとにみていきます。

労働災害保険

労働災害保険に加入要件はなく、すべての労働者が加入対象です。

雇用保険

雇用保険は雇用形態にかかわらず、次の両方にあてはまる場合に加入が必要ですが、学生は加入対象とはなりません。

【雇用保険の加入要件】
・週20時間以上の勤務
・継続して31日以上雇用する見込みがある

当初は31日以上雇用する見込みがなかった場合でも、雇用期間の延長などで31日以上の雇用見込みとなった場合は、加入の対象となります。

健康保険・介護保険・厚生年金保険

健康保険と厚生年金保険の加入要件は同じで、どちらか一方に加入するということはなく、加入要件を満たした場合は2つ同時に加入します。

まずこれらに加入する必要があるのは、法人の代表者や役員等と正社員です。また個人事業所でも、常時雇用している従業員が5人以上いる場合には、正社員をこれらに加入させる必要があります。さらにパートタイマー等でも、1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の場合は加入対象となります。

なお、正社員の4分の3未満であっても、次の5つの要件すべてにあてはまる場合には、社会保険の加入対象となります。

【パートタイマー等が社会保険の加入対象となる5つの要件】
①週の労働時間が20時間以上
②1年以上の勤務期間が見込まれる
③月額給与が8万8,000円以上
④学生以外
⑤従業員501人以上の企業

介護保険については、健康保険や厚生年金保険に加入している人のうち、40歳以上の人に加入義務があります。

社会保険の適用は令和4年10月、令和6年10月に法改正あり

先で書いた社会保険の加入要件ですが、令和4年10月と令和6年10月に法改正が決まっています。

まず令和4年10月に変わるのは、先の【パートタイマー等が社会保険の加入対象となる5つの要件】のうち、以下の2点です。

【令和4年10月〜の改正点】
②1年以上の勤務期間が見込まれる(改正前)
⇒2ヶ月以上の勤務期間が見込まれる(改正後)
⑤従業員501人以上の企業(改正前)
⇒従業員101人以上の企業(改正後)

その後、令和4年10月に変わった「⑤従業員101人以上の企業」がさらに以下のように変わります。

【令和6年10月〜の改正点】
⑤従業員101人以上の企業(改正前)
⇒従業員51人以上の企業(改正後)

扶養内で働きたい労働者について考えておくべき2つのこと

パートタイマーなどの短時間勤務の労働者を雇うときによく希望されるのが、扶養範囲内で働きたいということです。

この扶養範囲内で勤務させるときに、必ず考えておくべき点を2つ解説します。

年収130万円を超えないようにする

会社勤めの方の社会保険の扶養に入るには、年収130万円以下である必要があり、この年収を超えてしまうと扶養をぬけなければならなくなります。またこの130万円は手取り額ではなく、各種控除前の総支給額のことで、さらに通勤費や残業代、賞与なども含むので注意が必要です。

さらに扶養に入っている協会や組合によって、1年間で130万円を超えなければ良いという場合もあれば、3ヶ月平均が130万円を12ヶ月で割った10万8,333円以内でなければならないという場合もあります。

扶養内ギリギリで働く場合には、扶養に入っている協会や組合へ、事前に確認しておくようにしましょう。

社会保険の加入対象とならないよう労働時間をおさえる

健康保険と厚生年金保険の加入要件で説明した加入要件にあてはまり、加入対象になってしまうと、必然的に扶養をぬけることになってしまいます。

また年収130万円以内であっても、労働時間が正社員の4分の3以上となる場合もあるので、注意しておきましょう。

人を雇うときに知っておくべき2つのこと

最後に、人を雇うときに後々のトラブルを避けるためにも、必ずしておくべき2つのことをご紹介します。

就業規則の作成と届出

常時10人以上の従業員を雇っている場合には、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届出なければなりません。(労働基準法第89条)また就業規則を変更する場合も、同じく所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。

さらに、見やすい場所へ掲示したり、書面で交付したりするなど、労働者にも周知する必要もあります。(労働基準法第106条)

常時10人以上の従業員を雇っていない場合でも、就業規則を作成しておくことで会社のルールが明確になり、働きやすい環境を整えることができます。

労働条件通知書の交付

労働者を雇用するときには、正社員やパートタイマーといった雇用形態にかかわらず、すべての労働者に対して労働条件を記載した通知書を交付する義務があります。(労働基準法第15条第1項、労働基準法施⾏規則第5条)

なお、これは必ず書面である必要はなく、労働者が希望した場合には、FAXやメール等の方法で交付することも可能です。(ただし、書面として出力できる方法に限る)

また、この通知書に必ず記載が必要なのは次の7項目です。

【労働条件通知書へ必ず記載が必要な項目】
①契約期間
②契約期間に定めがある場合の更新基準
③就業場所や業務内容
④始業時刻と終業時刻、休憩時間、休日
⑤賃⾦の決定⽅法と支払い時期
⑥退職について(解雇事由も記載)
⑦昇給について

まとめ

いかがでしたでしょうか。

雇用形態には正社員やパートタイマーなどいろいろな種類がありますが、一番大切なのは実際の労働時間や日数などです。その他、会社の規模などによっても保険の加入や就業規則などの届出の要否が変わってきます。労働者を雇用するときには、雇用形態の名称にとらわれず、実際の勤務状況などを把握して、各種対応をするようにしましょう。

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