傷病手当金の支給期間が変わります <令和4年1月1日から>

労務お役立ち情報

令和3年6月に「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。改正の趣旨は、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障制度の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するというもので、健康保険法を改正することが公表されました。

今回の改正により、令和4年1月1日から施行される傷病手当金の支給期間の通算化についてご紹介します。

傷病手当金について

病気やケガで会社を休んだ時は傷病手当金が受けられます。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

支給要件

傷病手当金は、下記の条件をすべて満たしたときに支給されます。

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。
また、自宅療養の期間についても支給対象となります。
ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気とみなされないもの(美容整形など)は支給対象外です。

仕事に就くことができないこと

仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払があったかどうかは関係ありません。
また、就労時間中に業務外の自由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。

参考:全国健康保険協会

休業した期間について給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。
ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。

改正後の支給期間

これまでの傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヶ月でした。これは、1年6ヶ月分支給されるということではなく、1年6ヶ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヶ月に算入されます。
しかし、がん治療のために入退院を繰り返すなど、長期間に渡って療養のため休暇を取りながら働くケースが存在し、休業期間中に十分な保障を受けられないケースがありました。

今回の改正で治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障を行うことが可能となるように、支給期間が通算化されることになりました。

まとめ

厚生労働省の「治療と職業生活の両立支援についての取り組み」によると、国内の労働人口の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いていると言われており、治療を継続しながら働くことへの支援は働き方改革の一環として注目されています。
すでに共済組合では傷病手当金の通算化が認められており、今回の改正で健康保険でも同様の考え方を採用することになり、被保険者にとってより安心して働くことができる内容です。
令和4年には今回ご紹介した傷病手当金の通算化の他、任意継続被保険者制度の見直しや、育児休業中の社会保険料免除要件の見直し等、健康保険法の改正が行われます。

改正のポイントや制度について詳しく知りたい場合は全国健康保険協会、社会保険労務士にご相談してみてはいかがでしょうか。