売掛金管理のノウハウ

経理お役立ち情報

売掛金とは?

例えば御社が顧客への商品の販売(すなわち商品の引渡し)やサービスの提供を完了したけど、まだ代金をいただいていない状態だとすると、御社は顧客から代金を回収する権利を持っていることになります。この権利のことを”売掛金”と言います。

ですから、スーパーやコンビニなどで電子マネーを含む現金での商売を行うのであれば売掛金は発生しません。しかし、多くの企業では代金の決済は取引の翌月末などの条件となっており、売掛金が発生しています。そして、この売掛金の管理が企業の経営にとって極めて重要となります。

この記事では、売掛金管理がなぜ重要なのか、そして売掛金管理を成功させるためには何が必要なのか、という点を解説していきます。

資金繰りと売掛金管理の重要性

企業の経営管理において最も重要なのが資金繰りではないでしょうか?
なぜなら、企業は資金が足りなくなると存続できないからです。企業を経営されている読者のみなさまは、日々の資金繰りに頭を悩まされていることとお察しします。昨今のような将来が不透明な時代においては、なおさらのことでしょう。

そして、この資金繰りを困難にしている原因の一つが売掛金の存在ではないでしょうか。
企業が資金繰り表を作成する際、売上代金の入金のタイミングとして売掛金の回収予定日を基にしているのではないでしょうか。しかしながら売掛金の回収は予定通りにいかないことがしばしばあります。このため、資金繰り表の”入金”のタイミングにはズレが生じてしまいます。

一方で、従業員への給与の支払い、仕入先への代金の支払い、家賃の支払いなどは期日通りに行っているものと思います。

そうすると、予定通りにお金が入ってこないのに、支払は予定通り実行しなければならなくなり、どうしても資金不足となります。そして経営者は資金調達に奔走することになってしまいます。

このような事態に陥らないようにするためには、売掛金の管理が重要です。不確実な売掛金ではありますが、いつ回収できるのかが事前にわかっていれば、少なくとも期日までに入金されない分がいくらあるのかがわかっていれば、あるいは回収遅れを未然に防ぐことができれば、企業の資金繰りは飛躍的に精度が向上し、資金調達の苦労は激減するはずです。

次章では、このような売掛金管理を成功させるための秘訣を紹介していきます。

売掛金管理の方法

未収管理

売掛金管理の第一歩は現状把握です。このためには、売掛金の未収管理をきちんと行うことが重要です。

御社では、得意先ごとに毎月の売上高の計上金額と代金の回収金額を把握し、その結果として月末売掛金の残高を把握されているかもしれません。以下のような算式です。

前月末売掛金残高+当月売上金額-当月代金回収額=当月売掛金残高

しかし、これだけでは不十分です。この方法による管理でも、顧客ごとに代金の回収が遅れていることは把握できます。例えば前月と比べて当月の売上高が同じなのに売掛金残高が増えているのであれば、代金の回収に何らかの問題があることがわかります。
しかし、何が問題なのか、なぜ代金の回収が遅れているのかという一歩踏み込んだ分析を行うためには、もっと詳細な情報が必要になります。

このためには、顧客ごとの売上高と代金の回収を更に請求書単位で把握し、どの請求書に対していつ代金が回収されたのか、あるいは回収されていないのか、ということを把握する必要があります。これにより、期日までに代金が回収できていない請求書がどれなのかが明確となります。これが”未収管理”です。

たとえばある顧客について、先月の請求書に関しては期日通り入金されているのに、3か月前の請求書に対する入金がなかったとすると、その3か月前の取引において商品に不備があったなど何らかの問題があった可能性があります。もしかすると、顧客において3ヶ月前の請求書に対する経理処理が漏れているなど、事務的なミスにより支払が遅れているのかもしれません。いずれにしても、期限通りに回収できていないものについては、その理由を把握することが重要です。

商品の不備や、顧客での事務処理ミスが原因だとしたら、いち早くその状況を把握し、個別に対応することが売掛金の早期回収に繋がります。特別な要因が無く売掛金の回収が遅れているのだとしたら、顧客の資金繰りが悪化している可能性があり、要注意顧客となります。

このように、未収管理を徹底して行うことで、売掛金に関する一歩踏み込んだ調査が可能となります。

そして、このような未収管理を徹底して行うためには、顧客からの代金の回収の都度、どの請求書に対する入金なのかをきちんと把握する入金引当という地道な作業が必要となります。

売掛金の回収期間の管理

売掛金の回収期間は顧客との間で予め決められているはずです。

例えば月末締、翌月末支払の条件であれば、10月1日の販売に対する代金の回収は11月30日となり、回収期間は2ヶ月となります。同様に、10月31日の販売に対する代金の回収も11月30日となり、この場合の回収期間は1ヶ月です。なので、月末締、翌月末払の条件における回収期間は平均1.5ヶ月ということができます。

しかしながら、実際の回収期間は1.5ヶ月になっているとは限りません。色々な事情によって予定通りに代金が回収でていないのが実情ではないでしょうか?そして、そのような状態にもかかわらず、回収期間1.5ヶ月を前提に資金繰り表を作成すれば、資金繰りがくるってくるのは当然です。

なので、顧客ごとに実際の売掛金の滞留期間(年齢)がどうなっているかを把握する売掛金の回収期間管理が必要となります。仮に過去の実績から、ある顧客の売掛金の回収期間が2.5ヶ月だと把握されるならば、資金繰り表を作成するうえで、その顧客の代金回収期間は2.5ヶ月とすれば、より正確な資金繰り表が作成できます。顧客ごとの回収期間を資金繰り表に反映させることが困難であれば、全社平均での回収期間をベースに資金繰り表を作成することでも、ある程度の精度は期待できます。
また、顧客ごとに売掛金回収期間を把握することで、要注意の顧客がリストアップされます。これにより、要注意顧客に対して重点的に売掛金の回収フォローを実施したり、場合によっては与信限度額を設けるなどの対応を行い、代金回収の遅れを未然に防ぐ対策を講じることも可能となります。

このような回収期間の管理を行ううえでも、やはり1.で説明した未収管理を徹底して行うことが基礎となります。

未収管理の効率化とクラウド会計システム

初歩的な未収管理の方法

効果的な売掛金管理を行ううえで、請求書単位での回収状況を把握する”未収管理”が重要だということがわかりました。では、どうすればこの”未収管理”を手間をかけずに効率的に行えるのでしょうか?

初歩的な方法としては、顧客に対して請求書を発行する都度、顧客・請求番号・請求日付・回収予定日・金額などの請求書情報をエクセルなどの表計算ソフトにプロットし、顧客から代金を回収する都度、その請求書情報に回収日付と回収金額を追記していくような方法が考えられます。手形で回収した場合には更に手形のサイト情報を入力して管理する必要があります。

この方法によれば、表計算ソフトの機能を使って、顧客ごと請求書ごとの回収状況や、売掛金の回収期間など売掛金管理に必要な情報を把握することが可能となります。

また、表計算ソフトを使わずに、会計ソフトの債権管理などの機能を使えばある程度効率的に作業を行うことができます。

しかしながら、表計算ソフトにしても会計ソフトにしても、請求書情報や入金の情報を手入力していく必要があり、手間がかかることは避けられません。

クラウド会計システムを使った未収管理の方法

クラウド会計システムを利用すれば、面倒な未収管理の作業も効率的に行うことができます。クラウド会計システムの利点の一つは、銀行などのオンラインと連携してシステムへ自動入力できることです。なので、銀行口座への入金の状況を確認し、その都度エクセルや会計システムに手入力する作業は不要となります。学習機能により、入金のデータと顧客とを自動的に紐付けることができるので、入金引当の作業が飛躍的に効率化できます。

また、クラウド会計システムの請求書発行機能を利用すれば、請求書の情報が自動的に会計システムに連携されるので、請求書情報をエクセルや会計システムに手入力する作業からも解放されます。

そのほかにも、クラウド会計システムはインターネット環境さえあればどこでも利用できるので、複数の担当者で情報共有することができます。例えば経理で入力した情報を営業担当者とリアルタイムに共有し、営業担当者が顧客の支払をフォローするといった業務もタイムリーに行うことが可能となります。

アウトソーシングのすすめ

クラウド会計システムを使えば、面倒な売掛金管理も効率的に行えることがわかりました。しかし、クラウド会計システムも万能の魔法の道具ではありません。クラウド会計システムを使うためにはシステムの初期設定などの導入作業が必須です。システムを使いこなすためには、それなりの習熟も必要となります。

また、クラウド会計システムを使いこなせるようになったとしても、売掛金管理の全てが自動化できるわけではありません。例えば顧客からの入金を、請求書ごとに引き当てていく際にはどうしても人による確認が必要となります。

このような話を聞くと、結局クラウドの導入はハードルが高いとギブアップしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?  そして、売掛金管理の大切さはわかったけど、面倒だし、人手も足りないし、先送りしてしまう方もいらっしゃると思います。

そのような方におすすめなのがアウトソーシングです。経理などのバックオフィスのアウトソーシングを利用すれば、面倒なシステムの導入作業なしで、最先端のクラウド型会計システムによる売掛金管理を実現することができます。

もちろんアウトソーシングを利用すると業務委託料が発生します。しかし、アウトソーシング先では熟練したオペレーターが最先端のシステムを最大限に活用して、究極的に効率化したプロセスで業務を行いますので、自社で担当者を抱えるよりも低コストとなるはずです。

ぜひ、売掛金管理のアウトソーシングを検討してみてはどうでしょうか?

最後に

キャシュモでは、最先端のクラウド型会計システムを使った未収管理サービスのアウトソーシングを提供します。具体的には、月末までの入金に基づく売掛金の未収状況のリストを1営業日で提供します。このほかにも、試算表の作成・給与計算・支払業務を含めた経理代行、資金繰り表の作成をはじめとする財務コンサルティング、更には税務顧問及び労務顧問までのバックオフィス業務をワンストップのトータルパッケージで提供します。

キャシュモとともに、御社の売掛金管理をはじめ、さまざまなバックオフィス業務の最適化を目指してみませんか?

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