借入金の種類を解説!あなたは借入金の使い方を正しく理解していますか?

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借入金の種類と使い方

「借入金」とは、資金調達の手段のひとつです。主に銀行などの金融機関の融資をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。

通常、借入金は他の人や、他の会社、政府からお金の借入をする場合において、借用証書や手形を差し入れて、支払期限や利息について定めます。

資金調達の方法として、同じく他者からお金をもらう「株式の発行」によるお金の調達方法がありますが、こちらは自己資本になるため貸借対照表上は「資本金」として「資本の部」に表示されます。
資本金は、主に配当や株主優待、株式の売買による利益などが株主に還元されるため、基本的に企業はお金の返済の義務はありません。

対して、「借入金」は、必ず返す必要のある負債であるため、貸借対照表上では「負債の部」に表示されます。

金融機関からの借り入れの際には、事業計画の作成や、決算書の準備が必要となるため、作成の際にはある程度の知識やノウハウが必要となります。

まず、借入金の基本的な理解として、上記のことを理解しておきましょう。
さらに「借入金」の理解を深めたい方向けに

・短期借入金と長期借入金の違い
・借入金と利息の財務諸表上の表示
・借入金に必要な返済能力

について紹介させていただきます。

上場会社であれば、株を発行して証券市場から資金調達することも可能ですが、中小企業などまだ規模が大きくない会社は、金融機関で借入を行うことは一般的に広く行われている資金調達の方法です

中小企業者が事業拡大していくための資金の確保に必要となる知識ですので、今後資金調達を考えている方はぜひご覧ください。

短期借入金と長期借入金

短期借入金

短期借入金とは、返済期限が1年以内の借入金のことをいいます。
短期借入金は、売掛金回収までの運転資金として利用されることが一般的です。
短期の借入は主に「売掛金の回収」を返済原資として借入を行います。

例えば、仕入の支払いが1月サイト、売上の入金が2か月サイトの場合、仕入れのキャッシュアウトが先に来るため、資金が尽きるリスクがあります。

具体的な順番でいうと下記のようなイメージをもっていただくとわかりやすいでしょう。
例えば、9月末現在に100万円のお金が手元にあったとします。

①10月に仕入れ代金90万円支払い 残金10万円
②11月に売上の代金200万円入金 残金210万円

この場合、10月末現在の残金は10万円となるため不測の事態が起こると資金が枯渇する可能性があります。

そこで、短期借入を行うと、資金に余裕をつくることで先に仕入の支払いを行い、売上の入金があったら元本の返済を行うことができます。

具体的な順番でいうと下記のようなイメージをもっていただくとわかりやすいでしょう。
①9月銀行からの短期借入200万円 残金300万円
②10月に仕入れ代金90万円支払い 残金210万円
③11月に売上の代金200万円入金 残金410万円
④12月に短期借入金の返済200万円支払利息10万円 残金200万円

このように、短期借入を行うことで、残金に余裕を持った資金繰りを行うことができます。
短期借入金は、短期的な運転資金のために行う融資です。
長期の借り入れよりも低金利かつ、審査のハードルが低い傾向があるため、これを魅力と捉える事業者も少なくないでしょう。
返済期日が近づいたとしても、借り換えを行えば返済期限が長くなるため、資金がなくなって資金繰りに困ることはありません。

その反面、借り換えを断られるリスクはあったり、返済スパンが短い分だけ、銀行などの融資先との調整業務に時間をとられたりと、少なからずマイナス要素もあります。

「短期借入金」だけで資金調達を行わず、複数の資金調達の方法をもっておくことを検討しましょう。

長期借入金

長期借入金とは、返済期限が1年超の借入金のことをいいます。
長期借入金は、設備投資などの資金として利用されることが一般的です。

借入期間が5年、10年と長期かつ、金額の規模も大きいことが特徴です。

長期の借入は主に「減価償却と利益」を返済原資として借入を行います。

短期借入の返済原資が「売掛金の回収」であるため、短期借入は赤字であっても借り入れができる可能性があります。

しかし、長期借入は利益から回収する前提となるため、将来利益があがる見込みがない場合は、審査が通ることはありません。

また、短期借入が一括返済であるケースが多いため借り換えを行えば返済期日がただ延長されるのに対して、長期借入は毎月一定額を返済する「約定返済」であるため、約定返済分は常に資金を確保しておく必要があります。

融資のハードルは短期借入金よりも高くなるため、今後の事業の見通しについて丁寧に計画をたてていく必要があります。

借入金や利息返済はB/SやP/Lでどう表れる?

借入金は、返済義務のある借金であるため、貸借対照表上では「負債の部」に表示されます。

短期借入金は、1年以内に返済されるため「流動負債」に。長期借入金は一年を越えて返済されるため「固定負債」に表示されます。

また、長期借入金のうち、1年以内に返済される元本部分については、「一年以内返済長期借入金」として、流動負債に表示されます。

貸借対照表の基本的な考えとしては、流動、固定の判断は1年以内に返済・回収されれば「流動」となり、それ以外のものは「固定」になると覚えておきましょう。このルールは資産も負債も共通の考え方です。

具体的な例でいうと

・返済期限が12か月以内のA銀行の融資100万円は「短期借入金」

・返済期限が60ヵ月以内のB銀行の融資100万円は、1年以内に返済される元本が20万円だとすれば、20万が「一年以内返済長期借入金」、それ以外の80万円が「長期借入金」

として貸借対照表に表示されることになります。

利息の返済は損益計算書の営業外費用に「支払利息」として表示されます。

借入金に必要な返済能力

借入金に必要な返済能力は、上記で説明したように「短期借入金」と「長期借入金」とで異なります。

短期借入の場合は、売掛金の回収金額は返済期日までに、返済金額集められるかを検討しましょう。

長期借入の場合は、税引後当期純利益+減価償却計上額が返済金額より大きくなる見込みかどうかについて検討が必要です。

おおよその見込みがついて、融資を受けたら、そのあとが肝心です。
資金繰り表を作成し、売掛金の入金、経費や仕入れの支払い、給与の支払い、月末の総合振込、スポットの支払いや入金などわかっている項目、数字などをまずは把握しましょう。

どのキャッシュの動きもタイムリーに把握して資金繰り表に反映させることが重要です。

予期せぬ大きなコストがあると、それだけで返済の予定が大きく狂う可能性があります。

返済になにか不安要素がある場合は、直ちに返済をする相手に相談したり、自分の個人的な資金で補えるか検討したりと、できることややるべきことを整理しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は
・借入金の特徴
・短期借入金と長期借入金の違い
・借入金と利息の財務諸表上の表示
・借入金に必要な返済能力

についてご紹介させていただきました。

一口に「借入金」といっても、借入の名目や、借入の金額、返済期日、利息の金額、作るべき資料は「短期」か「長期」で大きく異なります。

借入金の種類に応じて借入金返済によるキャッシュの動きをタイムリーで把握し経営をおこなう必要があります。

とはいえ、資金繰りについて不安を感じている方もいるでしょう。見積もりや計画に穴があると取り返しのつかない状況になることもありえます。

キャシュモでは日次の資金繰り表の作成を始め、御社の経営管理のお手伝いをさせていただきます。
また、短期・中期計画、財務分析などの財務コンサルティングや、税務・労務相談、更には経理代行などのサービスをワンストップで提供します。
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