消費税率引上げに伴うキャッシュレス決済のポイント還元<消費税シリーズ第2回>

税務お役立ち情報

消費税率引上げに伴う需要変動の平準化や事業者・消費者双方におけるキャッシュレス化の推進を目的として、2019年10月1日以降に対象の店舗でキャッシュレス支払いをした消費者には、ポイント還元が実施されます。今回は、このキャッシュレス・ポイント還元事業の概要についてご説明します。

キャッシュレス・ポイント還元事業とは?

2019年10月1日以降、加盟店として登録を受けた中小・小規模事業者等の店舗(EC店舗を含む)において、消費者がキャッシュレス決済手段を用いて支払いをした場合には、消費者に国から5%または2%のポイントが還元されます。中小・小規模事業者等においては、①自己負担なしでキャッシュレス決済端末を導入できる、②期間中は決済代行業者に支払う決済手数料の1/3を国が補助するため、決裁手数料率が実質2.17%以下になる、③ポイント還元により集客力がアップする、というメリットがあります。

(出典:経済産業省資料より。以下、図表は同じ。)

実施期間は?

消費税率の引上げが予定されている2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間です。

登録の対象となる中小・小規模事業者等とは?

登録の対象となる中小・小規模事業者等の定義は、以下のとおりとなります。業種によって要件が異なるため、留意が必要です。

中小・小規模事業者等に該当しても登録の対象にならない場合がある?

中小・小規模事業者の定義に該当する場合であっても、登録申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える事業者については、登録の対象外となります。

また、以下の事業者については、そもそも登録の対象外となります。ただし、例外もあるため、以下の事業者に該当する場合には「加盟店登録要領」で登録の可否を確認しましょう。

【補助の対象外となる事業者)
●国、地方公共団体、公益法人
●金融商品取引業者、金融機関、信用協同組合、信用保証協会、信託会社、
保険会社、生命保険会社、損害保険会社、仮想通貨交換業者
●風営法上の風俗営業(※一部例外(注)を除く)等
(注)①旅館業法上の許可を受け旅館業を営む事業者、②食品衛生法上の許可
を受け、生活衛生同業組合の組合員であり、料金の明示、明細の交付など
会計処理を的確に行うことについて組合の指導を受けた旨の確認を得て飲食店
を営む事業者●保険医療機関、保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業、
更生保護事業を行う事業者
●学校、専修学校等
●暴対法上の暴力団等に関係する事業者
●宗教法人
●保税売店
●法人格のない任意団体
●その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断する者

ポイント還元の対象となる取引は?

加盟店における取引が対象となりますが、以下の取引については対象外となります。
・有価証券等、郵便切手衣類、印紙、証紙、物品切手等(商品券、プリペイドカード等)
・自動車(新車・中古車)の販売
・新築住宅の販売
・当せん金付証票(宝くじ)等の公営ギャンブル
・収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
・給与、賃金、寄付金等
・その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断するもの

ポイントの還元率は?

一般の中小・小規模事業者等は5%です。フランチャイズチェーン等については、中小・小規模事業者等に該当する加盟店についてのみ、還元率は2%となります。

対象となるキャッシュレス決済の手段は?

電子的に繰り返し利用できる以下の決済手段が対象となります。

加盟店の登録方法は?

加盟店の登録は、登録を受けた決済事業者を通して行います。専用HPに、登録を受けた決済事業者のリストが公表されていますので、自分の店舗が本制度の対象となるかを確認した上で、以下のステップで登録を進めてください。

開始までのスケジュールは?

加盟店の登録は、5月中旬より既に開始しています。加盟店登録受付期間は2020年4月下旬までの予定です。

自社の店舗に合ったキャッシュレス決済がわからない場合は?

専用のHP以外にも、コールセンターや説明会が開催されていますので、活用しましょう。

ポイント還元等のメリット以外にも、キャッシュレス化によって、店舗運営におけるレジ締め・現金取扱いにかかるコストが減少するなど、業務の効率化が進むという効果も期待できます。対象となる店舗をお持ちの事業者様は、この機会にキャッシュレス決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。導入する場合には、メリットを最大限に享受するために、2019年10月1日の制度開始に間に合うよう、早めの加盟店登録をお勧めします。

消費税シリーズ第3回はこちらです。