年次有給休暇の時季指定義務 Q&A

労務お役立ち情報

ご存知のとおり。2019年4月から年次有給休暇(以下、有休)の時季指定による取得が義務付けられました。施行から3ヶ月が経過し、管理方法や具体的なケースについてのご相談も多くなってきました。今月号では、よくあるご質問について、Q&A形式で解説します。

基準日に関するご質問

Q. 4月1日に入社した新入社員について、法定どおり入社日から6か月経過後の10月1日ではなく、入社日に10日以上の有休を付与し、以降は年度単位で管理しています。 このような場合、基準日はいつになりますか。

A. この場合、4月1日が基準日となり、翌年の3月31日までに5日を取得させる必要があります。

対象となる休暇に関するご質問

Q. パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者で、1年以内に付与される有休の日数が10日未満の者について、前年度から繰り越した日数を含めると10日以上となっている場合、年5日確実に取得させる義務の対象となるのでしょうか。

A. 対象とはなりません。当年度に付与される法定の有休の日数が10日以上である労働者が対象となります。

Q. 前年度からの繰り越し分の有休を取得した場合には、その日数分を使用者が時季を指定すべき年5日から控除することができますか。

A. 労働者が実際に取得した有休が前年度からの繰り越し分であるか当年度の基準日に付与された分であるかについては問いません。

Q. 法定の有休に加えて、会社独自に法定外の有給の特別休暇を設けている場合には、その取得日数を5日から控除することはできますか。

A. 法定の有休とは別に設けられた特別休暇を取得した日数分については、控除することはできません。また、この特別休暇を、今回の法改正を機に、有休に振り替えることは、労働者にとって不利益と認められる場合があります。

その他

Q. 休職している労働者についても、年5日を確実に取得させる必要がありますか。

A. 例えば、基準日からの1年間について、それ以前から休職しており、期間中に一度も復職しなかった場合など、使用者にとって義務の履行が不可能な場合には、法違反は問われません。

Q. 年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日の有休を確実に取得させる必要があるのでしょうか。

A. 年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日を確実に取得していただく必要があります。ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき有休の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではありません。

Q. 管理監督者にも年5日の年次有給休暇を確実に取得させる必要があるのでしょうか。

A. あります。管理監督者も義務の対象となります。

 

年次有給休暇の管理方法は会社によって様々です。年5日の取得義務化により、付与日を見直したり、管理方法を変更している会社もあります。どのような方法が自社にあっているのか確認し、運用しやすい方法を検討してください。ご不明な点は、北青山社会保険労務士までご相談ください。

出典:厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」

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