消費税とは<消費税講座第1回>

税務お役立ち情報

2019年10月1日に予定されている消費税率10%への引き上げまで約1年となりました。政府は、税率引上げ前後において様々な問題が懸念されていますが、駆け込み需要・反動減が抑制されるよう、その方策について具体的に検討する予定です。また、税率引上げ後の自動車や住宅などの購入支援についても、税制・予算による十分な対策を具体的に検討するとしています。

消費税率10%への引き上げとともに、現行の制度と大きく変わる点が、「軽減税率制度」の導入です。飲食料品等に係る消費税率を8%に据え置く制度ですが、その対象となる品目を扱う事業者においては、システムの大幅な改修など、導入に備えた事前準備が要されます。そこで、青山通信では、消費税増税に備え、消費税の基本知識から軽減税率まで、数回にわたり網羅的に取り上げます。

消費税とは

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税です。生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られており、商品などの価格に上乗せされた消費税は、最終的に消費者が負担します。

出典:全国間税会総連合会HP

世界の消費税

日本で消費税が導入されたのは、1989年(平成元年)のことでした。当時の税率は3%、財政再建を目的として導入されました。その後税率は、1997年に5%、2014年には8%へと、これまでに2回引上げられています。2019年10月からは10%になりますが、国際的にみて日本の消費税は高いのでしょうか。現在、消費税(または付加価値税)が導入されている国は、152か国です。

出典:全国間税会総連合会HP

最も税率が高い国は、ハンガリーで27%、最も低い国はカナダで5%です。比較してみると、日本の消費税はかなり低いことがわかります。グラフにはアメリカがありませんが、アメリカには消費税はありません。消費税とは形態の異なる「小売売上税」や「使用税」が設けられています。
特に税率の高い欧州諸国ですが、EU加盟国ではEC指令により、税率15%以上と軽減税率の適用が定められています。税率と軽減税率の対象品目については、各国に委ねられています。日本で導入される予定の軽減税率制度では、飲食料品と定期購読契約の新聞のみですが、欧州諸国では幅広い品目・サービスが対象とされています。

ハンガリー 18% 穀物や小麦などを使用した製品、宿泊施設の利用等
5% 上記以外の食料品、外食サービス、衣料品、書籍、セントラル・ヒーティング等
イタリア 10% 家畜、建物、肥料、観葉植物、食肉、鮮魚、穀物、果物、玉子、砂糖、医薬品、映画等
4% 医療補助器具、紅茶、野菜、乳製品、オリーブ油、パン、パスタ、書籍、新聞
フランス 10% 旅客輸送、肥料、宿泊施設の利用、外食サービス等
5.5% 書籍、食料品、水道水、スポーツ観戦、映画等
2.1% 新聞、雑誌、医薬品等

出典:財務省HP

納得のものから意外なものまで、対象品目にはお国柄が表れていますね。フランスでは、一般的な食料品は5.5%ですが、ぜいたくな食料品については標準税率の20%が課税されます。たとえば、世界三大珍味のキャビアは20%、一方、国産のフォアグラとトリュフは国内産業保護のため5.5%とされています。ちなみに、2番目に税率の高いデンマークはEUに加盟しておらず、軽減税率も一切設けられていません。