経営者の財務諸表の読み方 ~貸借対照表で安全性を確認しよう~第1回

経営お役立ち情報

今回から財務諸表の読み方をご説明します。財務諸表を解釈して、会社がどのような状態にあるのか判断する能力は、経営者に不可欠です。一般的に財務諸表とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つ(いわゆる財務三表)を差しますが、それらを経営者としてどのように解釈していけばよいかを解説していきます。

財務諸表の役割

財務諸表を読む際に重要なのが「安全性」「収益性」「将来性」の3つの視点を持つことです。冒頭で紹介した財務三表にはそれぞれの役割があり、貸借対照表は安全性、損益計算書は収益性、キャッシュフロー計算書は将来性を確かめるのに役立ちます。

今回は貸借対照表にスポットを当てて、ご説明します。

貸借対照表の構造

貸借対照表からは主に安全性を確かめますが、そのためには基本的な構造を知ることが重要です。

貸借対照表は会社の「資産」「負債」「純資産」の状況を表したもので、表の左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」が載っています。左側が資産の運用状況、右側が調達方法を表している、というイメージを持つことが重要です。

さらに、資産と負債はそれぞれ「流動資産(流動負債)」と「固定資産(固定負債)」に分けられます。細かい定義があるのですが、まずは「すぐに現金化できる(返済しなくてはならない)」のが「流動」、「長期間にわたって使用(返済)する」のが「固定」であるという認識で問題ありません。

「手元流動性」で目先の安全性を確かめる

「手元流動性」の定義は様々ありますが、実務的には、
(現預金+すぐに売れる資産+すぐに調達できる資金)÷月々の売上
というものを活用すれば十分です。これは「月々の売り上げに対して、すぐにお金にできるものをどれだけ持っているか」を表しています。

中小企業の基準としては、上の式で計算した数値が「1.7」(月々の売上の1.7倍の現預金、ないしはすぐに現金化できるものを持っている状態)くらいあると安心できる水準です。

「流動比率」で短期的な安全性を確かめる

「流動比率」は「流動資産÷流動負債」で計算します。すぐに現金化できる資産と、すぐに返済しなくてはならない負債のバランスを確かめる指標です。一般的は120%(流動資産が流動負債の1.2倍)あれば安全だとされていますが、業界や会社の状況によって大きく異なります。

小売店や飲食店のように、「売上は現金回収が基本で、仕入れは掛仕入」という業種であれば、この指標は低くとも経営できます。一方で売掛金の回収サイトが長い企業では、120%でも心もとないです。自社の貸借対照表を過去3年分ほど見て、適正値を知ることが重要です。

「自己資本比率」で中長期的な安全性を確かめる

比較的よく耳にする指標でもある「自己資本比率」は「純資産÷資産」で計算します。資産をまかなっている調達源のうち、返済しなくても良いものの比率です。この指標が小さいほど倒産のリスクが高くなります。

製造業など固定資産を多く使う企業は20%、卸売業など流動資産を多く使う業種は15%が安全性の目安です。どのような業種でも10%を切っている場合は過小資本とみなされてしまいますので、一定水準以上に保つ必要があります。

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会社が倒産するのは、赤字だからではなく、負債を返済できなくなるからです。会社が安全な位置にいるのか、危険な状態なのかを知るためには、経営者が貸借対照表を読み解く力をつけることが重要です。損益計算書から売上や利益を確認するだけではなく、貸借対照表も確認する習慣を身に着けていただければ幸いです。

<参考文献>
・小宮一慶(2017)『経営者の教科書』ダイヤモンド社

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