本シリーズの第3回目は、育児休業に関する助成金についてです。
第1回目は“産前・産後休業/育児休業の制度的枠組み”について、第2回目は“産前・産後休業/育児休業関連の給付を受けるための受給要件と申請手続き”についてご説明いたしました。これら出産・育児に関する社会保険制度は、健康保険/雇用保険に加入する従業員に対するワークライフバランスを保険的側面から制度保障するものとも言えます。一方、ワークライフバランスを念頭に、従業員の職業生活と家庭生活の両立を支援するための取組を実施した事業主等に対しては、助成金制度があります。今回は、その中の1件をご紹介いたします。
◆育児休業等支援コース
Ⅰ.育児取得時・職場復帰時
「育児復帰支援プラン」※2を作成し、プランに沿って労働者に育児休業を取得、職場復帰させた中小企業事業主に支給されます。その要件と支給額は、以下になります。
※2育児復帰支援プラン:厚生労働省HP「育休復帰支援プラン策定マニュアル」参照
<注意!>休業取得前に、「育休復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得、職場復帰を支援する措置を実施すること」を明文化し、全労働者へ周知することが必要です。
<支給額>育休取得者の職場支援の取組をした場合 19万円<24万円>が「職場復帰時」に加算されて支給されます。
<注意!>「育児取得時・職場復帰時」は1企業2人まで支給(無期雇用者1人、有期契約労働者1人)
Ⅱ.代替要員確保時
育児休業取得者の代替要員を確保し、休業取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主に支給されます。その要件と支給額は、以下になります。
<注意!>支給対象期間は5年間で、支給人数は1年度当たり10人までです。
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安倍政権は、「残業時間の法律による上限設定」の法的整備を進めております。一方、人手不足が進む企業では長時間労働解消の実現に向けて「業務効率化」や「生産性向上」にまで踏み込で検討しなければなりません。生産性を向上させるからこそ、労働時間の短縮が可能となります。
この一助として、スキルの高い人的資源の確保があるかと思います。せっかく企業内教育で育てた上げた人材を、出産・育児を機会に失ってしまうのは、企業にとって大きな損失とも言えましょう。
今回のシリーズでご紹介しました、社会保険制度・助成金を活用して、企業内の「人財」を確保して頂ければと思います。出産に関する社会保険制度にご関心をお持ちの方は、ぜひ北青山社会保険労務士法人にご相談ください。