知っているようで知らない経費シリーズ 交際費②

税務お役立ち情報

前回ご説明しましたとおり、交際費は費用の額として損金の額に算入するのが原則です。しかし、健全な取引慣行を確立するためなどから制限が置かれており、中小企業が全額損金に算入することができる額は、年間800万円までと定められています。

今回は、この800万円の枠を有効に使うために知っておきたい、交際費等に含めなくてもよいとされている経費について取り上げます。

交際費等に該当しない「飲食費」

交際費等のなかでも特に身近な飲食費ですが、1人あたり5,000円以下で、かつ一定の要件を満たしている場合には、交際費等に含めなくてもよいと定められています。

交際費に含めない飲食費は、実務上は「会議費」として全額損金計上することができます。

飲食費であって、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用 (措法68の66(4)-2)

飲食費として支出する金額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、政令で定める金額は、五千円とする。 (措令39の94)

1人当たり5,000円以下であるかどうかは、適用している税抜処理方式または税込処理方式に応じて算出した金額によって判断します。

・税込処理→1人あたり5,000円まで(税込み)
・税抜処理→1人あたり5,400円まで(税込み)

書類の保存要件

交際費等の範囲から1人あたり5,000円以下の飲食費を除外する場合の一定の要件として、次に掲げる事項を記載した書類を保存していることが必要とされます。

①その飲食等のあった年月日
②その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名、又は名称及
びその関係
③その飲食等に参加した者の数
④その費用の金額並びにその飲食店、料理店の名称及びその所在地
⑤その他参考となるべき事項

一の飲食等の行為を分割して記載すること、相手方を偽って記載すること、参加者の人数を水増しして記載すること等は、事実の隠ぺい又は偽装に当たりますのでご注意ください。

飲食費の範囲

一定の要件を満たせば交際費に含めなくてもよいとされている「飲食費」。ではこの「飲食費」とは具体的にどのような支出のことを指すのでしょうか。法律では以下のように定められています。

「飲食その他これに類する行為」には、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応の際の飲食の他、例えば、得意先、仕入先等の従業員等によって飲食されることが想定される弁当等の差し入れが含まれることに留意する。
(注)本文の飲食等に付随して支出した費用については、当該飲食費等に要する費用に含めて差し支えない。 (措法通61の4(1)-15の2)

たとえば、テーブルチャージ料やサービス料、飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要するお土産代なども、「飲食費等」に含まれます。

一方、「飲食費等」に該当しない費用もあります。

①ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
②接待等を行う飲食店等へ得意先を送迎するために支出する送迎費
③飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

これらの飲食費等には該当しない費用は、「交際費」として扱われるため、年間800万円までしか損金に計上することができません。

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中小企業にとって取引先との交際にかかる費用は、売上の維持向上のためにも必要不可欠な支出です。必要事項を記載した領収書を必ず保管し、交際費等に含めなくてもよい「飲食費」を上手く利用しましょう。

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