出産に関する社会保険制度 ~第2回 産前・産後休業/育児休業に関する受給要件と申請手続き~

労務お役立ち情報

前回は、産前・産後休業/育児休業の制度的枠組みについてご説明いたしました。
今回は、その給付を受けるための受給要件と申請手続きについて具体的に見ていきたいと思います。

1保険給付

「産前・産後休業/育児休業期間中の保険給付の枠組み」(図1)

◆出産一時金(図1-①)
出産一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産された時に、協会けんぽに申請することで、1児につき42万円が支給されます。その受給要件等は以下になります。

・出生後は、「健康保険被扶養者(異動)届」を忘れずに提出しましょう。

◆出産手当金(図1-②)
被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。その受給要件等は以下になります。

◆育児休業給付金(図1-③)
育児休業給付は、被保険者が1歳又は1歳6か月未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、受給資格の確認を受けることができます。その受給要件等は以下になります。

2保険料免除制度
◆産前・産後休業期間中の保険料免除
産前産後休業期間(産前42日、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。

*保険料の免除を受けた期間であっても、年金受給に関しては、保険料を支払った期間として取り扱われます。

◆育児休業期間中の保険料免除
育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準じる休業)期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。

我が国の女性の労働力率は、20代半ばと50代前後に二つのピークを持ついわゆるM字カーブを描くことが知られています。

これは、出産・育児を機に一度職場を離れ、育児が終わってから職場復帰をする女性が多いことを示しており、欧米に比べますと日本の労働社会の大きな特徴とも言えます((図2)。近年、「働き方改革」のもと、生産性向上による長時間労働の削減、働きやすさのための多様な働き方、労働力不足に伴う人材の確保、等が叫ばれる中、出産・育児を機会に女性が非労働力化してしまうのは、会社にとっても社会においても、大きな損失とも言えます。

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健康保険、雇用保険には、出産・育児期間中に関する所得保障制度が用意されていますので、社内で培った人的資源を確保するためにも有効に活用してみてはいかがでしょうか。

次回は、ワークライフバランス支援するための取組を実施した事業主等に対して支給される助成金についてです。