中小企業の人材エージェント活用法

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企業を成長させるためには、優秀な人材の確保が欠かせません。しかしながら近年は人手不足が顕著になり、中小企業ではなかなか大手に太刀打ちできず、採用活動に苦戦している会社も少なくないようです。これまで求人広告だけで募集をしていたけれど、いまひとつ成果につながらず何か他の手段も検討すべきと考えている経営者の方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、中小企業の人材エージェント活用法をご紹介いたします。中小企業が採用活動で苦戦する理由を解説し、そういった状況でも人材エージェントを活用して採用につなげるにはどうしたらいいのか、といったことを考えていきます。今後の採用活動の参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

人材エージェントとは

今まで求人といえば求人広告しか使ったことがない、という経営者の方も少なくないでしょう。まずは、人材エージェントの仕組みと業界の状況について見ていきましょう。

人材エージェントの仕組み

人材エージェントは、人材採用したい企業と、転職先や就職先企業を探している人材をマッチングさせるサービスを行っています。求人している企業に求職人材を紹介し、雇用されれば報酬が得られる成功報酬形態となっています。報酬額は採用された人の年収の30%~40%程度が相場です。人材エージェントは企業側からのみの報酬で、求職者から報酬をもらうことはありません。

求職者は、人材エージェントを利用することで、非公開求人を紹介してもらえたり、求職活動のノウハウを教えてもらったりしながら、自分の希望に合った企業に売り込んでもらうことができます。

人材エージェント業界の状況

人材エージェントの業界では、マイナビエージェント、リクルートエージェント、doda、パソナキャリアといった大手が有名ですが、人材エージェントの会社は全国で17,000社あり、その多くは中小規模の会社です。

人材エージェントの種類としては、大きく分けると「総合型」と「特化型」の2種類があります。総合型は、業界や職種を幅広く扱っており、大手企業によって運営されています。特化型は、ITや金融など業界に特化したものや、若手・中堅など年齢層に特化したもの、プログラマーや経理など職種に特化したものなど様々な形でサービスを提供しています。

人材エージェントを使うメリット

人材エージェントを使うことは、求職者にとっては無料で企業を紹介してもらえたり、人材業界のプロから転職活動のノウハウを教えてもらえたりするというメリットがありますが、企業にとってはどんなメリットがあるでしょうか。

応募者の質が高い

人材エージェント経由で応募してくる人は、すでに人材エージェント側で面談しており、バックグラウンドやスキル等を把握していて、企業側のニーズにある程度マッチしています。エージェント側のスクリーニングによって絞り込まれているため、求人広告からの応募よりも質の高い応募者を紹介してもらうことができます。

採用側の時間と手間が省ける

求人広告で募集をかける場合は、応募者の対応から面接の設定、採用条件の調整等採用までには多くの時間と手間がかかります。人材エージェントを利用することでその時間と手間を肩代わりしてもらうことができます。特に、採用に関わるスタッフの人数が限られている会社では、その分を他の業務に振り分けることができます。

また、人材エージェント側にある程度候補になる人材のストックがある場合には、スピーディーに採用につなげることができます。

マッチング率が高い

人材エージェントでは、事前に求職者と企業側相互のニーズを把握したうえで紹介しているため、マッチング率は求人広告に応募してきた場合と比較して高いといえます。また、求職者に企業側の情報をしっかりと提供しているので、採用後の離職率も抑えることができます。

中小企業が採用で苦戦する理由

近年の少子化の影響もあって、企業の採用はかなり厳しい状況が続いています。その中で中小企業は、大手企業に対抗できず苦戦していることが多いようです。ここでは、中小企業が採用活動で苦戦する理由について考えてみました。

知名度が低い

求職者が会社を選ぶ際に、どうしても知名度のあるなしで判断する傾向があります。仕事のやりがいや面白さでは勝っていると思っても、知名度がないということで同じ土俵で戦えないということがあります。

条件で負けている

中小企業が頑張って大企業との競合するところまで持ち込めたとしても、採用条件で比較されると、給与だけでなく勤務条件や福利厚生など諸々の条件で負けています。正直なところ、まともに勝負して勝つことは厳しいです。

採用のリソースが限られている

中小企業の場合は、採用人数も限られていて、担当者も専門にやっておらず他の仕事と掛け持ちということはよくあります。さらに採用にかける予算が違います。中小企業では、予算が足りないため、思うような採用活動ができないということがあります。

採用のノウハウや情報が少ない

大企業では毎年、多数の採用を行っているため採用のノウハウの蓄積が豊富にそろっています。しかも多くの採用業者と付き合いがあり、そこから多様な情報が入ってくることもあるため、なかなか中小企業が太刀打ちするのは難しいといえます。

中小企業が採用で成功するには

採用活動において中小企業は、かなり厳しい環境の中でいい人材を取っていかなければなりません。ここでは、中小企業が採用で成功するために、取り組むべきことについてご紹介したいと思います。

自社にとってのいい人材を定義する

どの企業においても優秀な人材を採用したいという気持ちは同じようにありますが、誰が見ても優秀という人を中小企業が採用するのは難しいというのは明らかです。そこで考えるべきことは、他社ではそれほど評価されなくても自社にとってはいい人材を見つけるということです。そういった人材は、それほど競争なく採用できる確率が高いといえます。

そのために、まずやるべきことは、自社にとっていい人材とはどういう人なのか、を定義することです。これがしっかりできれば、人材の評価軸が他社とは違ってくるようになり、思わぬいい人材を採用できる可能性が高まります。

経営層を巻き込んで取り組む

採用活動は、自社の将来を左右する非常に重要な事柄ですが、経営者の中には、担当者や業者に任せておけば大丈夫だろうと安易に考えている人もいます。経営層に、採用の重要性と今の採用はこれだけ大変なのだと理解させると、会社としての取組が変わってきます。そのためには、採用活動に経営層を巻き込んで現場の感覚を感じてもらうことです。採用活動にどんどん経営層を参加させて、どうすればうまくいくか知恵を出し合うと成果が変わってくるでしょう。

このように、自社にとってのいい人材を定義し、採用活動に経営層を巻き込んでいったところで人材エージェントを活用すると、採用に大きな効果を得ることができます。自社のリソースでは不足している部分を、大きく補うパーツとなってくれるからです。

中小企業が人材エージェントを活用するには

中小企業では、人材エージェントをこれまで使ったことがないというところも多いでしょう。今後採用活動に人材エージェントを活用するにはどういうことを注意すればいいのかを考えてみましょう。

依頼する人材エージェントをしっかり選ぶ

人材エージェントは採用できて初めて報酬が得られる仕組みになっていますからどうしても採用数が多く人気が高い大企業からの依頼を優先しがちです。また担当者によってもかなり取組み方に違いがあります。まずは、依頼する人材エージェントをしっかり選ぶことが重要です。その際には、知名度よりも自社との相性ということを考えて選ぶといいでしょう。

自社の魅力をきちんと伝える

人材エージェントに依頼したけれども、あまり紹介がない場合に、自社の魅力がエージェント側にきちんと伝わっていないというケースがあります。ここができていないと、求職者にも伝わらず紹介にもつながりません。

一般的な条件の評価だけでなく、将来性や取り組んでいる仕事の面白さ、やりがいや雰囲気といった踏み込んだところまでアピールし、少しでも知ってもらう努力が必要になります。

人材エージェントに丸投げにしない

依頼する中小企業の中には、人材エージェントに対して、「依頼してやっている」「どんどん紹介してきて当たり前」「依頼したから後はよろしく」といった態度の所もあるようです。しかし、これではなかなか成果につながらないでしょう。

人材エージェントに依頼したとしても、企業側も一緒になってなんとか採用するという姿勢がないと、いい採用ができません。

まとめ

ここまで中小企業が人材エージェントを活用するにはどうすればいいのか、ということについて、いろいろご紹介してきましたが、いかがでしょうか。人手不足の世の中で、採用においては大企業が有利な状況ではありますが中小企業にもチャンスは以前よりも増えてきています。

企業と求職者の間に人材エージェントサービス会社が介することによって、求職者の選択肢に中小企業を入れることができます。特に中途採用の場合には、社会経験を積んでいくうちに多様な働き方に目が向くようになって、会社の規模に関わらず自分の価値観や働き方に合った職場を選ぶ人も増えています。そういった人材から自社を選んでもらえるよう、どんどん知恵を出し合いながら、進めていただければと思っています。

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