採用マーケティングとは?

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企業を成長させるために、人の採用を欠かすことはできません。自社にマッチした優秀な人材をどれだけ採用できるかによって、企業の成長の度合いは大きく変わってくるといえます。しかし、社会環境の変化によって、良い人材を確保することは、かつてないほど難しくなってきています。

そういった状況の中、注目の採用手法となっているのが採用マーケティングです。

この記事では、採用マーケティングとはどのようなものか、なぜ注目されるようになったのか、導入のメリットやプロセスなどについてキーワードの解説も含めてご紹介していきます。自社の採用方法を考える参考になることがあるかと思いますので、ぜひ最後までお読みください。

採用マーケティングとは

採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの考え方や手法を取り入れ効率的で効果的な採用をしていくことを言います。

従来の採用活動では、アナログな説明会や面談によって応募者を見極めようとしていますが、その過程で応募者に合った情報やメッセージが伝わらず、取りこぼしや採用後のミスマッチが発生していました。現在の売り手市場の人材マーケットでは、こうした採用活動ではロスが多いことから、見直しを求められるようになってきています。

商品販売で用いられているマーケティングプロセスは、採用活動と共通する点も多くあり、最近のIT技術を活用することで今までにない成果を挙げるようになってきていることから、採用にも取り入れることが試みられるようになりました。採用マーケティングは、厳しい採用環境でも効果的な人材獲得ができる手法として急速に広まってきています。

採用マーケティングが注目される背景

採用マーケティングが注目されていることには、具体的にどういった背景があるのか、その要因を探ってみましょう

採用環境の変化

少子化の傾向が進んだこともあり、優秀な人材確保の競争は厳しくなってきています。また、新卒採用においては、新卒採用ルールが撤廃され、採用活動が長期化することで、より効率的で効果の高い採用活動が求められるようになりました。

これまでのマイナビやリクナビに代表される求人サイトに頼った採用では、採用コストが大きくなりすぎることも問題となっています。

応募者のニーズの多様化

新卒や若手人材層においては、仕事に求めるものが多様化していることで、それにしっかりとマッチした企業が選ばれるようになってきています。応募者の価値観に合った企業の在り方が求められることから、そうしたニーズに対応した企業側からの発信が重要になってきました。

IT技術の向上

これまでの企業からの発信は、マスコミ媒体などを通じて、広く受け入れられるようなメッセージでしたが、IT技術の向上と一般社会への浸透によって、今まで出来なかったような個別発信が可能になってきています。採用の入り口も多様になり、その入り口の特性に応じた施策が可能になってきています。

採用マーケティング導入のメリット

採用マーケティングを導入することによって、これまでの採用活動と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。比較して確認してみましょう。

採用数増

これまでの採用活動は、広く浅く発信する施策がとられていましたが、それでは自社のターゲット層に刺さりにくくなっています。採用マーケティングの導入によって、応募者のニーズや特性に応じてアプローチすることが可能になり、採用数を増やすことができます。

ミスマッチング減

より多くの人に伝えようとすると当たり障りのないメッセージとなるため、その仕事や職場環境が応募者のニーズに応えるものかどうか、入ってみないとわからないものとなっていました。採用マーケティングのプロセスによって、応募者と企業側がお互いに求めるものをすり合わせることができるようになるため、ミスマッチングを減らすことができます。内定辞退や早期退職によるロスの防止につながります。

コスト削減

採用側と応募側のニーズに合致した採用活動となるため、無駄な広告費など採用活動のコストを減らすことができます。また、ミスマッチを防ぐことによって、採用後のロスを少なくしトータルで費用を抑えた効果的な採用が可能になります。

採用マーケティングに用いられるキーワード

採用マーケティングで導入されているマーケティング手法について、主なキーワードから解説していくことにしましょう。

ファネル

ファネルとは、じょうご・漏斗のことをいいます。広い入り口から徐々に絞り込まれて出口に向かうことから使われている用語です。

人が何かを買う場合には、まず商品を認知し、自分の嗜好とのマッチング、他社商品との比較、予算と価格の検討といった段階を経て実際に購入に至ります。マーケティングでは、それぞれの段階ごとに合った施策を講じることで効果を高め、より多く次の段階に進められるものとして施策が設計されています。

採用活動においても考え方としては同様で、広く認知させて、興味や嗜好に合った発信で集めた応募者から比較・検討・応募へ進めさせます。採用マーケティングでは、それぞれの段階(ファネル)で指標となる目標を設定し、それに向けた施策を講じていくことで効果を高めるというプロセスをとります。

ペルソナ

ペルソナとは、自社の商品を購入する顧客の仮想的な人物像のことで、商品に合った年齢・性別・嗜好・興味・家族構成・生い立ち等を設定し、そこに合うマーケティング施策を考えていきます。採用活動においても、まずは自社に応募してほしい人物像をしっかりと設定することが重要になります。

採用マーケティングでは、ここで設定したペルソナに最適な発信媒体やメッセージの内容を検討していくことになるので、ここがずれていると効果が薄れ、思うような結果を得ることができません。採用ターゲットのペルソナ設定という最初の段階が、非常に重要なプロセスといえます。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、顧客が商品の購入を決めるまでに思考や感情、行動がどのように移り変わるのかを分析することで、そのプロセスに合った施策を実施することによって、如何に購入に結び付けるかを検討します。

採用活動においても段階ごとの応募者の心理状態や行動の傾向をつかみ、プロセスに適したアプローチをしていくことで、離脱数を減らし、次の段階へ効果的に進めさせることができます。

チャネル

チャネルとは、集客するための経路のことです。購入する顧客が入ってくる流入経路はどこなのかを見極め、有効なチャネルを増やしていくことが売り上げの増加には必要になります。またチャネルに応じてそこに適した発信をしていくことがより多くの販売につながるため、チャネルの分析も大切になってきます。

採用マーケティングでも、様々なチャネルを設け、そのチャネルから来る応募者の特性に応じて施策を打っていくことによって、有効な採用を確保していくことができます。

採用マーケティング導入プロセス

ここまで採用マーケティングがどういったものかをご紹介してきましたが、実際に自社で取り入れるとすれば、どのようなプロセスが必要なのか、ということをご説明してきます。

自社分析

採用活動を効果的に行っていくために、まずは自社の分析をしっかりとやっていくことが重要です。経営理念や事業内容、商品やサービスを改めて分析し、強みと弱みを洗い出していきます。その際には、社外からの意見や調査を取り入れることができれば、さらに有効になるでしょう。

ペルソナ設定

自社の分析結果をベースにして、採用すべき人物像や興味を持ちそうな人、応募につながりそうな人などを考えていきます。詳細なペルソナの設定をすることで、採用ターゲットを明確にしていきます。

ニーズ調査

自社が求める人材のペルソナが、入社したいと思う会社像、仕事内容、働き方を調査していきます。
そのペルソナが自己実現タイプであれば、早い段階から責任ある仕事を任せてもらえることがポイントとなり、ワークライフバランス重視タイプであれば、残業時間が少なく有休がとりやすいことなどが大切になります。これまでに採用した人材からモデルを抽出したり、アンケート形式のヒアリング等によって情報を収集します。

アプローチ手法企画

これまでのペルソナ設定やニーズ調査を踏まえ、誰に対してどんなメッセージをどういう形で発信するのが有効かを検討していきます。その際には、ファネルを意識しプロセスに応じたアピールをしていくよう設計をします。

施策の実施と改善(PDCA)

ファネルとペルソナに応じた施策が、実際に効果があったのか、検証作業を繰り返し行っていきます。IT技術が進んだことで、集計や分析がしやすくなってきています。検証結果をもとに改善案を検討し、改めて施策を実施していくというPDCAサイクルを回していくことで、自社に最適な採用マーケティングの手法を構築することができます。

まとめ

少子化傾向は今後も続くことから、優秀な人材の確保するための戦略が、企業の成長に欠かすことができなくなってきています。求職者や学生の価値観が多様化していく中で、自社にマッチした人材を集めるためには、採用マーケティングは有効な手法といえるでしょう。これからの採用活動の参考にしていくことをおすすめします。

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