【労務Q&A】労働者の募集および採用の際に年齢制限を行うことが認められる場合とは

労務Q&A

募集における年齢制限はどのような場合に許されますか?

例を挙げ解説します。

解説

労働者の募集および採用の際には、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。このとき、上限(65歳未満のものに限る)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。(高年齢者雇用安定法第20条第1項)

定年が60歳の会社が、60歳未満の人を募集する場合

(省令第1条の3第1項第1号)

定年がある場合で、かつ、期間の定めのない労働契約である場合に、定年年齢を上限として年齢制限をすることが認められる例外事由です。

労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合で、18歳以上の人を募集する場合

(省令第1条の3第1項第2号)

労働基準法その他の法令において、特定の年齢層の就労が禁止・制限されている業務については、年齢制限をすることが認められる例外事由です。

長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

(省令第1条の3第1項第3号のイ)
※ここでいう「若年者等」とは、基本的には、35歳未満の若年者を想定していますが、必ずしも35歳未満に限られるものではありません。ただし、定年を定めている場合、勤続可能期間が極端に短くなるような上限年齢を設定して募集・採用することは認められません(おおむね45歳未満を目安)。

新卒者などを一括採用し長期間雇用継続するなかで、自社内でのキャリア形成を図り、定年やその後の継続雇用を経て退職するという日本の雇用慣行との調和を図るため設けられた例外事由です。

また、新卒一括採用という雇用慣行のなかで、雇用情勢の悪化に伴い、特に就職の厳しい時期に正社員になれなかった年長フリーターやニートの増加といった、近年の若者をめぐる雇用問題に配慮して設けられた例外事由です。そのため、対象者の職業経験について不問とし、新卒者以外の者について新卒者と同等の処遇にすることを要件として期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、例外的に上限年齢を定めることが認められます。

技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

(省令第1条の3第1項第3号のロ)

技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種について、特定の年齢層が相当程度少ない場合に、期間の定めのない労働契約で募集・採用するときの例外事由です。 事例としては、【電気通信技術者の人数が20~29歳が10人、30~39歳が2人、40~49歳が8人】という会社が「電気通信技術者として、30~39歳の人を募集」する場合が挙げられます。

芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

(省令第1条の3第1項第3号のハ)

芸術作品のモデルや、演劇などの役者募集・採用において、表現の真実性などが求められる場合、特定の年齢層の人に限定して募集・採用することが認められます。 事例としては、【演劇の子役のため、○歳以下の人を募集】が認められる例として挙げられます。

逆に、【イベントコンパニオンとして、30歳以下の人を募集】の場合は、特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供などが目的であり、芸術・芸能の分野に該当しない場合として認められません。

60歳以上の高齢者または特定の年齢層の雇用を促進する政策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する場合

(省令第1条の3第1項第3号のニ)

60歳以上の高齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。
特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇い入れ助成金など)を活用するため、その施策の対象となる特定の年齢層に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。
事例としては、【60歳以上の人を募集】・【(特定求職者雇用開発助成金の対象者として)60歳以上65歳未満の人を募集】が認められる例として挙げられます。

まとめ

2007年10月1日より施行された改正雇用対策法によって募集における年齢制限は原則禁止になりました。年齢制限ができないことによって求人募集が難しくなったと言えますが、採用目的を明確にすることで本当にその年齢制限が必要かどうか見えてくるはずです。

今後も労働力人口が減少していく中で優秀な人材を確保するには、年齢ではなく、その人の本質を見極める事がより重要になってきます。求人募集するにあたり、本当に適した人材はどのような人物かを現在の労働市場などを考慮した上で再考してみてはいかがでしょうか。

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