社外取締役とは?導入の注意点

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社外取締役の具体的な役割についてあまり知られてないかもしれません。しかし2019年の会社法改正により上場企業においては、社外取締役を設置することが義務付けられています。

この記事では社外取締役について詳しく解説するとともに、導入の4つのメリットと3つのデメリットを紹介します。また、社外取締役を導入する際の注意点についても解説しますので、社外取締役について知りたい方はぜひ最後までお読みください。

社外取締役とは

社外取締役とは、言葉の通り社外から迎える取締役のことを指します。会社との利害関係のない人が取締役になることで、客観的に会社の経営を行なうことができます。

会社法第2条15号においても、「当該株式会社または子会社の取締役や従業員でなく、かつ10年間当該株式会社またはその子会社においてその経験がないこと」などの要件が書かれています。

日本で社外取締役は2002年から導入されており、その後、社外取締役を選任しない場合は株主総会でその理由を説明することが義務付けられました。更に、2019年の会社法改正により、上場企業においては社外取締役2名以上の選任が義務化されています。

それだけ、社外取締役の役割が大きなものになっているのです。

社外取締役を導入するメリット

実際に社外取締役を導入する際のメリットは、以下のようなものがあります。

・経営の透明性が向上する
・経営層の視点を多様化できる
・経営に特定の分野の専門性を追加できる
・対外的に企業経営を監視する仕組みがあることをアピールできる

社外取締役を導入するメリットについて、それぞれ説明します。

経営の透明性が向上する

社外取締役を導入することにより、経営の透明性が向上するというメリットがあります。会社と利害関係のない社外から取締役を導入することで、経営を監視しチェックすることが可能になります。

社外取締役がいない場合は、経営において不祥事が発生してしまう可能性もあります。しかし、社外取締役がいれば、会社の利害や文化に縛られることなく公正な判断ができるので、不正の防止につながり、経営が正しい方向に進んでいるのか、適切な監視機能が働くことが期待できます。

経営層の視点を多様化できる

社外取締役を導入すれば、経営の視点を多様化できるというメリットがあります。社外取締役は、その会社とは異なる分野での経験があるので、社内の取締役とは異なる視点での経営が期待できます。

例えば、ITに関する企業の場合、不動産や小売業などの異なる業界で経験した人物を社外取締役に任命することで、経営に多様な視点が加わることになるのです。

経営に特定の分野の専門性を追加できる

法務や税務、マーケティング、ITなどの専門性を持った人材を社外取締役にすることで、経営に専門性をプラスできたりさまざまなシーンで経営判断の参考にすることができるといったメリットがあります。

例えば、新規事業を考案したときにどのように消費者へリーチしていけばいいかということを、マーケティングの得意な社外取締役に相談することが可能なのです。

対外的に企業経営を監視する仕組みがあることをアピールできる

社外取締役がいると、対外的に企業経営を監視する仕組みがあることをアピールできるメリットがあります。つまり、社会にコーポレートガバナンスが機能している企業という印象を与えることが可能なのです。不正の無いクリーンな会社であるというイメージを作り上げ、売上アップに繋がっていくのです。

社外取締役を導入するデメリット

社外取締役を導入するデメリットは、以下のようなことがあります。

・コストの負担が増える
・必ずしもコーポレートガバナンスが強化されるとは限らない
・経営を知らない人が務めることが多い

社外取締役を導入するデメリットについて、それぞれ説明します。

コストの負担が増える

社外取締役を導入すると、その分のコスト負担が増えるというデメリットがあります。通常の取締役以外に、社外取締役も設ける場合、その分の人件費がかかります。

2018年の朝日新聞の調査によれば、東京証券取引所の第一部上場企業の社外取締役の報酬平均は、663万円で、800万円以上が3割、最高金額は3,944万円となっています。

それだけの金額が、社外取締役の導入のコスト負担となっているのです。

必ずしもコーポレートガバナンスが強化されるとは限らない

企業の不祥事を防ぐというコーポレートガバナンスが、必ずしも強化されるとは限らないというデメリットがあります。社外取締役が存在していても、コーポレートガバナンスが強化されない場合があるのです。

2011年に巨額損失隠蔽事件のあったオリンパスには3人の社外取締役がいたり、その他の大企業においても、社外取締役がいたにもかかわらず不正事件が発生したことがあります。つまり、社外取締役がいたとしても、不正を防止できない場合があるのです。

経営を知らない人が務めることが多い

社外取締役導入のデメリットとして、経営を知らない人が務めることが多いということがあります。一部上場企業の社外取締役は、5,000人ほどいますが、その約半数が経営者や元経営者で、半数は弁護士や税理士、大学教授、官僚OBなど経営を知らない人が務めています。

経営を知らない人が、社外取締役を務めていると経営に対する判断が鈍り、会社の舵取りがうまくいかない場合があります。

社外取締役を導入する際の注意点

社外取締役を導入する場合の、注意点は以下のようなことがあります。

・経営者の強いリーダーシップが必要
・社外取締役は、会社内部の実情を把握しにくい

社外取締役を導入する際の、注意点をそれぞれ説明します。

経営者の強いリーダーシップが必要

社外取締役を導入する際の注意点として、経営者の強いリーダーシップが必要ということがあります。社外取締役を導入することで、様々な分野からの意見が生み出されますが、その際にそれらをまとめ、会社の経営を舵取りするリーダーシップが必要です。

社外取締役は、様々な分野から入ることが多いですが、それらの多様な意見をまとめ経営を引っ張っていく人が必要なのです。

社外取締役は、会社内部の実情を把握しにくい

社外取締役は、会社内部の実情を把握しにくいということがあります。社外取締役は社外から会社を経営していくため、客観的な視点で見られる一方で、社内で無用な軋轢を生んでしまう可能性もあります。

変化の激しい時代に対応できる社外取締役

変化の激しい時代に対応できる社外取締役は、とても大切な役割を果たしています。社外取締役を導入することで、自社にはない視点や戦略をプラスできます。激しい変化の時代に、その変化についていくためには新しい経営の方法を導入していく必要があるのです。

コーポレートガバナンスを強化するというだけでなく、会社に新しい価値をもたらす社外取締役を導入することを進めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

社外取締役は今後大企業だけでなく、中小企業においても導入されることが期待されています。社外取締役のメリットを理解し、うまく活用して会社の経営をより多面的なものに変えて行けます。

社外取締役を設置する場合には、社外取締役に十分な情報を提供し、社外取締役を生かせる経営陣が必要になってきます。

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