中小企業向け、プロジェクトマネジメントの基礎知識

経営お役立ち情報

最近よく耳にする「プロジェクトマネジメント」。コロナ禍でデジタル化が加速し、時代の変化に追いつくための様々なプロジェクトが推進されています。時間や予算、人員に限りがある中で、「今あるリソースで最大の成果を得たい」と願うのはデジタル以外の分野のビジネスでも同様でしょう。欧米では当たり前となっているプロジェクトマネジメントですが、日本では効果的に導入できている企業の数はまだ限られており、プロジェクトの成功率が低くとどまっている原因とも言われています。

今、なぜプロジェクトマネジメントが重要視されているのでしょうか?ここでは、その背景や必要な基礎スキルを解説していきます。

なぜプロジェクトマネジメントなのか

プロジェクトマネジメントとは、与えられたリソースや時間の中で、できるだけ高い成果を目指してプロジェクトの進行・管理をしていくことです。プロジェクトを開始する企業は、目標としている納期や品質、予算などがあるはずです。その目標を達成するために、計画作成や人員配置、意思命令系統の構築を行い、プロジェクトの進捗やリスクなどをコントロールするのがプロジェクトマネジメントです。

プロジェクトマネージャーがプロジェクト全体を俯瞰して管理することにより、生産性が高まったり、納期や予算の効率化にもつながるというメリットがあります。結果として、問題や課題にも早期に対応できるようになり、リスクを抑えることにもつながります。

欧米企業に比べ日本企業では、場当たり的な対応が強い傾向があるとされています。加速するデジタル化とグローバル化により、日本の企業も、積極的にプロジェクトマネジメントを取り入れるべき時期を迎えているといえるでしょう。

PMBOK:5つのプロセスを理解する

プロジェクトマネジメントを効果的に行うために、PMBOKという考え方があります。これはProject Management Body of Knowledgeの略で、プロジェクトマネジメントに必要なノウハウを体系的にまとめたものです。

PMBOKでは、QCD管理を目標として掲げています。QCDとは、品質・費用・納期のことで、つまり、できるだけ高品質、低コスト、早い納期を目指すということです。このQCD管理の実現のためには「5つのプロセス」があるとPMBOKでは説いており、その理解と実行がプロジェクトの効果的な進捗管理や目標達成につながります。

立ち上げプロセス

プロジェクトを開始するために、必要な情報を洗い出して定義するのが「立ち上げプロセス」です。
具体的には、下記の4つの動きがあります。

① プロジェクトの目的設定
② 目標、予算、成果の定義
③ プロジェクト憲章の作成
④ ステークホルダー(利害関係者)の特定

プロジェクト始動前の準備ともいえますが、ここでしっかりとした準備をしておくことで、プロジェクト全体の効率化や目指すべき目標の精度が高まります。

計画プロセス

プロジェクトの立ち上げプロセスで、目指すゴール(目的や目標)が決まったら、次は「計画プロセス」に移行します。目的や目標を達成するために、具体的な作業計画を作成していきます。ここでは、目標定義をブラッシュアップしたり、プロジェクトを実施する際に必要なアクションの一連の流れも規定していきます。

実行プロセス

「実行プロセス」では、作成した計画に基づいて、リソースを調達し、実際にプロジェクトを実行していきます。リソースとは、プロジェクトを完了するために必要なすべての資産のことで、設備や資金から人材まで、さまざまなものが含まれます。また、実行の結果によっては、内容を再調整する必要も出てくる場合もあります。

監視・コントロールプロセス

このプロセスでは、実行中のプロジェクトが計画通り遂行できているかどうかを「監視・コントロール」します。プロジェクト計画と差異が発生していないかを、定期的にチェックし、状況に応じて是正を行うプロセスです。

終結プロセス

「終結プロセス」は、プロジェクトの最終段階です。これまでに行ってきた「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」がきちんと完了したことを確認し、プロジェクトを正式に終結させるプロセスです。ただ終了させるだけでなく、プロジェクトの実行中に得られた情報や経験を保管し、今後のプロジェクトへ生かしていくことも重要とされています。

特に知っておきたい知識エリア

プロジェクトの開始から終了までの一連のプロセスにおいて、さまざまな分野のマネジメントが存在します。プロジェクトを成功に導くために、特に知っておきたいプロジェクトマネジメントの知識エリアをご紹介します。

スコープマネジメント

「スコープマネジメント」とは、プロジェクトを実施する範囲(スコープ)を定め、その達成に必要な成果物とタスクを定義することです。目標達成に向けて、非常に大きな影響を与える分野といわれています。

スケジュールマネジメント

「スケジュールマネジメント」は、プロジェクトを成功させるために、スケジュールや時間の使い方を管理することです。単なる進捗管理だけでなく、時間あたりの生産性を向上させることも目的としていることもポイントです。

コストマネジメント

「コストマネジメント」は、プロジェクトに必要な費用を適切に見積り、予算内に収めるために管理することです。現実的な予算設定や、予算の範囲内での管理・調整を実施します。

リスクマネジメント

「リスクマネジメント」は、プロジェクトの実行に伴い発生する可能性があるリスクを管理することです。リスクは必ずしもマイナスなものではなく、チャンスでもあります。リスクを回避しすぎると、機会損失につながる場合も多いので、適切なバランスで管理・調整していくことが大切です。

ステークホルダーマネジメント

「ステークホルダーマネジメント」は、プロジェクトに関わるさまざまな利害関係者を管理することです。プロジェクトの実行には、社内・社外のさまざまなステークホルダーが関わり、プロジェクトの意思決定や成果に大きな影響を受ける対象でもあります。利害関係者にとって必要な情報を収集し、良好な関係を築いていくことが目的とされる分野です。

プロジェクトマネジメントに必要な基礎スキル

ここまでに、プロジェクトマネージメントに関する知識をお伝えしました。次は、プロジェクトを成功に導くために必要なヒューマンスキルを解説していきます。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは、論理的思考法のことです。プロジェクトを通して起こるさまざまな事象や問題について、感情や勘ではなく、客観的かつ体系的に理論立てて考えることを指します。ロジカルシンキングができると、ある事象が起きた時に、その原因特定や今後の展開が予測しやすくなります。問題解決がスムーズにできたり、生産性の向上などにもつながります。

コミュニケーションスキル

プロジェクトマネージャーは、利害関係の異なるさまざまな部門や立場の人と接する仕事です。プロジェクトの進行は、チームだけでなく、他の部署、経営陣、また外部の協力企業やクライアントなど、多岐にわたる関係者の協力のもとに成り立っていることが多くあります。異なる考え方を持つあらゆる相手に対して、円滑に意思疎通を図っていくためのコミュニケーションスキルが欠かせません。

ディレクションスキル

ディレクションスキルとは、業務進行や調整管理を行うスキル、つまりプロジェクトメンバーを動かしていく力のことを指します。プロジェクトマネージャーは、業務の進捗状況やメンバーのアサインに対しての責任があります。限られた時間の中で質の高い成果を生み出すためには、プロジェクトマネージャーがどれだけ効果的な指示ができるかに大きく左右されます。メンバーの能力やプロジェクトの状況に応じたディレクションスキルが大切です。

マネジメントスキル

ここでいうマネジメントスキルとは、プロジェクトの進行管理だけでなく、メンバーの管理、つまり人事的な側面も含みます。プロジェクトで高い成果を出すためには、人材の力を最大限に引き出していくことも重要です。そのためには、メンバーのモチベーションを上げる、教育・指導、フィードバックなど、上手な人材マネジメントが欠かせません。総合的なマネジメントができてこそ、与えられたリソースで高い成果を引き出せるのです。

目標管理スキル

プロジェクトマネジメントでは、目標の管理が非常に大切です。品質、コスト、納期などの要件に対して具体的な目標を設定し、それらを達成するために、計画・実行していく力が必要とされます。
また、プロジェクトマネージャーは個人的に動くわけではなくメンバーをまとめる立場にあるため、メンバーと目標を共有しながら目標達成に向けた進捗を管理する力も必要です。

まとめ

以上、プロジェクトマネジメントのプロセス、知っておきたい知識や基礎スキルについてご紹介しました。ビジネスのスピードが加速する現代で、時間・予算・人員などのリソースの限られた中小企業こそ、プロジェクトマネジメントの積極的な活用が効果的といえます。今まで、勘や感覚でマネジメントを行ってきたような企業は特に、このような論理的手法を利用することで、生産性の向上や精度の高い目標達成が見込めるでしょう。

ただ、ビジネスは人と人との間で生まれるものですので、コミュニケーションや人材のマネジメントなども欠かせない要素です。数字や手法だけに傾倒することなく、客観的な知識とヒューマンスキルをバランス良く組み合わせていくことが、本当の意味でのプロジェクト成功につながるといえるでしょう。

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