地方での起業に向いている分野と不向きな分野とは?

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地方移住を検討している方の中には、移住先で自分に合う仕事が見つかるか不安だという方も多いのではないでしょうか?

移住先の地方では、家賃などの固定費や生活費は安く済みますが、その分平均給与も都市部に比べると低くなりがちです。このような背景を踏まえ、地方移住を検討している方の中には、移住先で地元企業に就職するのではなく「起業」という道を選ぶ人もいます。

そこで今回は、地方移住による起業に向いている分野と不向きな分野について解説していきます。

地方移住による起業の特徴

まずは地方移住による起業の特徴を解説します。

・家賃などの固定費が安い
・余っている空き家や土地が多い
・都市部よりも少子高齢化が進んでいる
・都会の流行が少し遅れて入ってくる傾向にある

これらの特徴は、考え方によってはメリットにもデメリットにもなり得ます。

地方移住による起業を検討している方は、自分の強みや経験値とこれらの特徴を掛け合わせたビジネスモデルを考えることが、成功への第一歩となります。

地方での起業に向いている分野

ここからは地方での起業に向いている分野について解説していきます。

どんなビジネスでも絶対に成功するという裏技はありませんが、少なくとも地方での起業に対する向き不向きを理解しているだけでも、失敗する可能性は減らせるかもしれません。

農業

地方移住で農業とは短絡的だと思うかもしれませんが、地方移住での起業に農業が向いている理由は、新しく農業を始める方に向けた支援制度が充実しているからです。

例えば、農林水産省が行っている「農業次世代人材投資資金」では、「準備型」として先進農家などで研修を受けられる就農希望者に年間150万円(最長2年間)が交付されます。また、「経営開始型」として最大で1,000万円の設備投資費用を無利子で融資してもらえる制度などもあります。

他にも、地方自治体によっては、就農希望者に対して無料で「農業インターンシップ」や「現地研修バスツアー」を開催している場合もあり、新たに農業を始める方にとっては手厚い支援制度が数多くあります。

参照:熊本県新規就農支援センター「新規就農支援制度

ここ数年では、自然農法という肥料や農薬を使わない「地球にも人にも優しい野菜作り」をする移住者も増えています。この自然農法の多くは、大きなビニールハウスを建てるなど、大規模な設備投資をせずに小規模でも始めやすいと、農業初心者にも人気です。

耕作放棄地も多くあり、高齢で農業を辞める方から安く農業機器を譲ってもらえる可能性も高いので、移住者が起業するには向いている分野だと言えます。

6次産業化

6次産業化とは、ある特定の地域における生産(1次産業)と加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)の魅力を掛け合わせた商品開発のことを言います。

「6次産業化=その地域の魅力を発信すること」とも言えるので、地方移住による起業の醍醐味とも言える分野です。

多くの生産者の方々は野菜を作ったり、魚を獲ることには知識も経験もありますが、加工したり販売することに使う時間や労力は割けないというケースが多く見られます。

この6次産業の商品が人気になり、全国に知れ渡ると、その地域の知名度や人気の向上にも繋がるため、地方自治体としても、この6次産業化に関する様々な支援制度を行っています。

参照:長崎県6次産業化サポートセンター

食品加工設備を導入する資金が調達できないと考える方には、地元の加工会社に委託製造を依頼するという選択肢もあります。

地方の魅力的な生産物を加工して全国に向けて販売する6次産業化のビジネスは、外からの視点を持つ移住者にこそ強みを発揮できる分野として注目されています。

飲食店

地方に移住をして、ゆっくりとした場所でカフェを開きたい!と夢見る方も多いのではないでしょうか?

地方移住による起業に飲食店経営が向いている理由は「家賃などの固定費が安い」ことです。固定費が安いことで、東京都内で飲食店を1年間続ける予算で、地方ではそれよりも長い期間続けることが可能です。

飲食店の開業を目指している方は、ぜひ地方移住も合わせて検討してみてはいかがでしょうか?

webマーケティング

webマーケティングが地方移住による起業に向いている最大の強みは、場所に囚われない働き方ができることです。

地方は生活費が安いというメリットがありますが、同時に都市部に比べて平均給与が低いというデメリットもあります。しかし、webマーケティングの分野で起業すれば、生活費の安い地方に住みながら、給与の高い都市部の仕事をリモートで行うことが可能です。これを実現できれば、自由に使えるお金と時間にかなりの余裕が生まれます。

さらに、株式会社クラウドワークス「地方企業が持つ、経営課題に関する調査」によると、地方企業のうち93.3%が「デジタル革新」「イノベーション」などに何らかの課題を抱えていると回答しています。コロナ禍においてオンラインやデジタルへの対応の必要性が増している今こそ、地方でもwebマーケティングの分野は需要が増しています。

コンテンツ制作

コロナ禍になって地方企業でもYouTubeチャンネルの開設や、各種SNSの運用を始める企業が増えてきました。

しかし、現状はまだ手探りで進めている企業が多く、都市部で積極的に行われているような動画編集やSNS運用代行のサービスはまだ地方では活発的ではありません。動画の編集やSNSで使われる画像などの制作はリモートワークで行うことも可能で、先ほどのwebマーケティングの分野とも被りますが、地方にいながら都市部の仕事を請けられるのも魅力の1つです。

さらに、地方では横の繋がりが強く、1つの企業で成果を出すことができたら、他の顧客も紹介してもらえる可能性があります。そのため、まだ競合の少ないコンテンツ制作の分野もチャンスが大きいと言えます。

地方での起業に不向きな分野

続いて、地方移住での起業に不向きな分野について解説していきます。

少子高齢化や過疎化が進んでいることがデメリットとなり、不向きな分野になっているビジネスも多くあります。

絶対に失敗するということではありませんが、ここで紹介する分野での起業を考えている方は、不向きな理由をしっかりと把握し、ピンチをチャンスに変える施策を考えましょう。

イベント

新型コロナウイルスが流行する前の都市部では、毎日のようにどこかで様々なイベントが開催されていました。

しかし、地方でイベントを開いても、そもそも人口が少ないので、集客がとても大変です。都市部に比べるとイベント会場の費用が安いため、小規模に開催すれば赤字になることは避けられるかもしれませんが、大きく儲けるにはかなりハードルが高いと言えます。

地方でイベント事業を立ち上げようとしている方は、SNSでの集客に力を入れるなどの工夫が必要です。

貨物運送

貨物運送も新型コロナウイルスの影響でかなり需要が高まっている分野ではあります。

外出自粛が続き、買い物に行けないために、オンラインでの買い物が増えた方も多いでしょう。この需要が高まっている貨物運送の分野が地方では不向きと言える理由は、過疎化が進んでおり、家と家の間隔が広く、効率的に荷物を配達できないからです。

さらに、都市部のマンションのように宅配ボックスを設置している家も少ないため、再配達の割合も都市部と同等に多いです。貨物運送の多くは、荷物の配達1件ごとに労賃が発生するといった報酬体系なので、家と家の間隔が広く、宅配ボックスも設置されていない地方では不向きな分野と言えます。

飲食店

最後にご紹介する地方移住による起業に不向きな分野は飲食店の開業です。

先ほど、向いている分野でも紹介しましたが、飲食店の開業は、地方移住での起業に向いているとも言えますし、不向きとも言えるのです。その理由は、人口が少なく、集客がしにくいからです。

地方では家賃が安い分、集客がうまく行けば成功できますが、この集客のハードルが高いのです。地方では単身世帯率が都市部よりも低く、多くの方が自宅で家族と食事を取る傾向にあります。

地方で飲食店を開業する場合は、観光客向けに展開するのも良いですが、その地域に根ざして、その地域に住む方々の生活の一部にまで溶け込む必要があります。

まとめ

今回は、地方移住における起業に向いている分野と不向きな分野について解説しました。

せっかく地方に移住するのではれば、自分のやりたいことを仕事にしたいと思う方も多いと思いますので、移住先の地方の特徴を押さえつつ、起業プランを考えてみてはいかがでしょうか?

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