「MAっていうけど結局何ができるのだろう?」
「MAを導入して、どのようにうちのビジネスが変わるのかな?」
MA(マーケティングオートメーション 以下、MA)という言葉をよく聞く方も多いでしょう。なんとなくわかった気になってしまっているこの言葉。本当に理解し、取り組んでいる企業は意外と少ないものです。
一方で既に本格的にMAを導入、運用している企業の中には、MA導入を機に大幅な売上アップを果たしている企業もあります。今回の記事を読むことで、MAで効率的に売上をアップをする方法を理解できるでしょう。
MAとは?理解する上での3つのポイント
MAとは文字通り日本語に訳すと「マーケティング活動の自動化」という事になります。しかし本文では、より明確なイメージを皆さんに持っていただけるようにMAを「非対面で顧客を創造」し、「維持する仕組みをつくる事」と定義します。
この定義の中で重要なキーワードは3つ。それは「非対面」「顧客の創造・維持」「仕組み化」です。
ポイント1:非対面
非対面での顧客フォローがMAにおける一つ目のポイントです。なぜなら、従来の対面での対応が通用しなくなったからです。
対面での代表的な取り組みは営業活動でしょう。インターネット普及前には営業活動のような顧客との対面でのコミュニケーションが購買プロセスを進める上で重要な要素でした。しかしながらインターネットが普及した昨今、顧客が何らかの製品やサービスの購入を検討し始めた時、対面でのコミュニケーションが起点にならないことが多々あります。以下のような『購買プロセス』を取るのが一般化してきているからです。
1 インターネットで購入を検討している製品やサービスに関して調査
2 十分調べ終わった後にセールスマンや店舗に問い合わせ
従って顧客から営業マンに声がかかった時にはすでに導入を決めているか、購買候補を絞っているというのが現実なのです。つまり顧客から声がかかった時にはほぼ勝負が決まっているともいえます。
ポイント2:顧客の創造・維持
多くの店舗、会社では顧客に対して定期的にメール配信を行い、自社の製品・サービスを紹介しています。しかし、いくらメールを配信しても、配信したメールをきっかけに問い合わせや検討に進む顧客は1%にも満たない場合もあります。
多くの顧客は、今必要な情報を自身の方法で収集したいのです。従って顧客に対して購買を促すメールを配信することは、購買につながらないことはもちろん、大量のメール配信は受信を拒否されることにもつながります。その結果、メールを配信すればするほど、メールの配信先が減る、という皮肉な結果になりかねないのです。
だからこそ顧客を創造・維持するためには、企業は顧客が真に必要とする情報を提供し、比較検討しやすい環境を整えることが重要なのです。
ポイント3:仕組み化
今顧客から求められていることは、前述の通り顧客に必要な情報を提供し、比較検討しやすい環境を整えることです。そのためにはまず、検討プロセスに応じたコンテンツを準備していくことが重要です。
コンテンツとはWeb上で掲載されるホワイトペーパー・ブログ・動画、ウェビナーや展示会等で作成された資料・講演内容等、企業が発信する顧客にとって有益な情報の総称です。コンテンツを充実させたうえで、自社サイトの訪問顧客やウェビナーを視聴してくれた見込み顧客に対し次に案内すべき適切なコンテンツを自動的におくる仕組みが必要になります。
この仕組み化を実現するツールがMAツールなのです。
MAツールできること
それでは「仕組み化」を実現するMAツールの5つの基本機能をご説明します。
リード管理機能
リード管理機能とは将来の見込み顧客(リード)を管理する機能です。
具体的にはリードの基本情報・オンライン行動履歴・オフライン行動履歴といったデータを全て統合し、データベース化します。この機能は他の4つの機能を支える重要な機能と言えます。
リードジェネレーション機能
リードジェネレーション機能とは、リードを大量に獲得するための機能です。
代表的な例としては自社のサイトに製品やサービスの資料を掲載し、興味を持ったリードが資料をダウンロードする際にリードナーチャリング(見込み顧客育成)につながるように個人情報(氏名/メールアドレス/電話番号等)を獲得する機能が挙げられます。
リードナーチャリング機能
リードナーチャリング機能とは、取得した個人情報とオンライン行動履歴・オフライン行動履歴を確認しながら、メール・電話での適切なアプローチを行い、より効果的にリードの購買意欲を高める機能のことです。
リードクオリフィケーション機能
リードクオリフィケーション機能とは大量のリードの中から、効率的に成約確度の高いリードを選び出す機能です。
具体的には顧客の属性や、行動履歴に応じて成約確度を表す点数をつけMAツールで自動計算、集計、蓄積していきます。このような点数をつけることをスコアリングといいます。
オートメーション機能
オートメーション機能とはまさしく自動化です。
代表的な例としては、ステップメールと言われるものがあります。これはあらかじめ準備した複数のメールをスケジュールに応じて順次配信し購買につなげていくものです。ここで重要なのが、シナリオ作成です。シナリオとは購入や問い合わせなどのステップメールの目的に至るまでの過程において、どのようにアプローチしていくかを設定した筋道のことです。このシナリオに応じてメール配信を自動的に行う事でリード一人ひとりに合わせて行うべき施策を効率化する、これがステップメールであり「オートメーション機能」といわれるものです。
MAツールを選定する上でのポイント
ここまで、MAの重要性とMAツールの基本機能をご紹介してきました。しかし一口にMAツールといってもPardot・Market・HubSpotなど様々です。MAツールにはそれぞれ特徴がありますので、自社の顧客の「購買プロセス」にあったMAツールを選定しなければなりません。
一般的にB2B企業では購買プロセスが長く、複雑な事が多く、セリングには必ず対面営業が必須といわれます。自社がそのような業態の場合は、スコアリング等の『リードクオリフィケーション機能』が充実したMAツールが最適であると考えられます。
一方B2C企業では購買プロセスが短く、比較的シンプルですが、対象顧客が多く、スピーディーなアクションを求められます。したがってシナリオ等の『オートメーション機能』が充実したMAツールが最適と言えるでしょう。
MAツールを導入する上でのポイント
それではMAツールを実際に導入する前にどのような準備が必要なのでしょうか?
それは他社に勝つための戦略策定です。戦略策定とはビジネスゴールから逆算して、顧客に対して購買に至るためにはどのようなプロセスが必要なのか、そのためにどのようなコンテンツが必要なのかを洗い出し、設計していく事です。
自社の販売部門や営業部門がもっているこれまでの成功パターンをモデル化し、必要なコンテンツを洗い出し、充実を図る、これが第一段階です。
そして、第一段階で設計されたプロセスと作成されたコンテンツをMAツールに実装する事が第二段階となります。この第二段階では以下のようなポイントがあります。
1.リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの実施のために業務を明確化する
2.設計した実行プロセスを基に、MAツールの管理画面の初期設定を行う
3.MAツールを動作させるためのCookie収集用のタグを設置する
4.MAツールとCRMなどの関連するシステムとのデータ連携や移行設定を行う
5.データクリーニングやワークフロー、スコアなどの追加設定を行う
6.リードナーチャリングの具体施策(シナリオ)への落とし込み、実行推進、結果の振り返りと戦略の見直しを行う
MAツールを初めて導入する企業にとってこれらの準備は大変かもしれません。昨今ではMAツールの導入・運用支援サービスを専門に行っている企業がありますのでそのような支援会社を利用する事も一案です。
まとめ
MAツールに関して、具体的な言葉の定義から機能までわかりやすく解説してきました。顧客の購買プロセスの変化に対応するためにはどの企業でもMAツールの導入が必須であるといえます。導入するにはいくつかのポイントを抑える必要はありますが、営業活動の生産性向上に大きく貢献するでしょう。