リーン・スタートアップ 限られたリソースで成功確率を最大化する

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リーンスタートアップとは?

リーンスタートアップとは、できるだけコストや時間をかけず、最低限の機能を備えた製品やサービスを市場に投入し、顧客の反応を得ながら改善していく手法です。

「リーン(lean)」には、痩せた・細い・脂肪のないという意味があります。

スタートアップは、事業の見通しが立てづらく、想定外のことが発生したり、開発者の思い込みや情熱が邪魔をし、時として無駄が発生します。

リーンスタートアップは、これらの無駄を徹底的に削ぎ、顧客の反応を的確に捉えながら新規事業開発を行うことを目指します。

リーンスタートアップとMVP

リーンスタートアップにおいては、MVP(Minimum Viable Product)が非常に重要な役割を果たします。

MVPとは、顧客のニーズに合わせた最小限の機能を持つ製品やサービスのことを指します。

このMVPの開発において、顧客のニーズを的確に反映した機能をいかに精度良く実現するかがリーンスタートアップの成否を分ける重要なポイントです。

リーンスタートアップの手法

リーンスタートアップは以下の4つのステップで構成されています。

  • 仮説構築
  • 計測
  • 学習
  • 意思決定

仮説構築

仮説構築では、製品やサービスのアイデアの元となる顧客ニーズについて仮説を立てます。

市場動向や顧客ニーズ、自社の技術力などを元にビジネスアイデアを仮説としてまとめます。

計測

次のステップは計測です。このステップでは、完成したMVPをターゲットとしている顧客層の一部に提供し、フィードバックを得ます。

提供先は、アーリーアダプターと呼ばれる流行に敏感な顧客層への提供が、良質なフィードバックを得るために最適だと言われています。

この段階で重要なのは、MVPの機能を極力絞り無駄なく計測ステップに進むことです。

あくまで、この段階は顧客の反応を見ることが目的ですので、機能を盛り込みすぎたり時間をかけ過ぎれば時間やコストの無駄に繋がります。

学習

次の段階は学習です。計測結果を元にMVPの改善点を学習し、必要に応じて製品やサービスの改良や方針の軌道修正をします。

この段階で立てた仮説が誤っていたり、思うような反応にならなかった場合は、その原因を
明確化し改善方法を検討します。

意思決定

学習で仮説に対する誤りや改善点などが整理できたら、それを元にプロダクト製品やサービスのを開発を継続するかどうか、意思決定します。

仮説やMVPの改善点が見つかった場合には、仮説構築からやり直すことになります。根本的な仮説が誤っていた場合には、仮説そのものを変更し方針転換することも必要になります。この方向転換をピボットといいます。

仮説が誤っていた場合の大きな方針転換、場合によっては撤退をしても大きなダメージを負わない点はリーンスタートアップの強みです。

リーンスタートアップとMVPのメリット・デメリット

では、次にリーンスタートアップやMVPのメリット・デメリットについて解説します。

メリット

まずはメリットです。メリットには以下のようなものがあります。

コストや時間をかけずに計測できる

リーンスタートアップで開発するMVPは完成品ではなく、試作品です。必要最小限の機能のみに絞り開発するため、コストや時間をかけず顧客のフィードバックを得られます。

顧客のフィードバックを元に改善を繰り返していけば、最終的な製品やサービスのコストも抑えられ、より市場に受け入れられる製品やサービスを提供できるようになるでしょう。

また、開発コストや労力を抑えているため、失敗時の経営ダメージを最小限に抑えられる点も大きなメリットです。

リリース期間を短縮でき市場で優位に立てる

最低限の機能を備えたMVPをいち早く市場投入することで、先行者利益を得られる点もメリットです。

スタートアップは、いち早くこれまでにない製品やサービスを提供できるかが成功のカギです。

MVPの早期市場投入は、市場での自社の優位性に繋がり、事業の成功確率を飛躍的に高めてくれるでしょう。

いち早く顧客の声を拾える

常に市場にリリースしながら、顧客のフィードバックを受けるため、製品やサービスに対する顧客の声をいち早く拾える点も大きなメリットです。

リーンスタートアップでは、フィードバックによる改善が前提の手法のため、顧客ニーズをすぐに反映し、より広く顧客に受け入れられる製品開発が可能です。

デメリット

次にデメリットです。デメリットには以下のようなものがあります。

うまくいかないこともある

リーンスタートアップは、製品の市場投入と顧客ニーズの反映で成功確率を高めていく手法ですが、うまくいかないことももちろんあります。

当初の想定と顧客の反応が大きくかけ離れ、軌道修正が難しくなってしまい、撤退を余儀なくされることも少なくありません。

また、市場投入を暫定的に行うため先行きが見えない懸念が高まってしまい、ゴールを見失うケースも考えられます。

MVPコストが高いサービスには不向き

リーススタートアップは、ビジネスモデルの構築に有効な手法ですが、製品やサービスの性質により、向き不向きがあります。

リーンスタートアップは、構築・計測・学習を短期間で何度も繰り返すことで、製品やサービス・サービスを改善していく手法です。

1度のMVP開発コストが大きすぎると、改善の繰り返しに会社が耐えられないなど、企業体力によっては失敗に終わることもあります。

試すうちに目的がずれる

MVPの施策、検証を繰り返すうちに当初の目的からずれてしまう可能性もあります。

仮説検証の繰り返しは、本来市場に受け入れられる製品やサービスの開発にあります。しかし、MVPを繰り返すことで、MVP開発自体が目的化してしまうと、事業の成功は望めません。

また、顧客のニーズを聞きすぎるあまり、製品やサービスの本質的な狙いが大きくずれてしまい、長期的な成功に結びつかないケースもあります。

リーンスタートアップは時代遅れ?

時代遅れと言われている背景

2008年に提唱されたリーンスタートアップの手法は、近年時代遅れだとも言われています。

結論からいうと、リーンスタートアップの手法は未だ有効な手法の1つです。では、なぜ時代遅れだと言われているのでしょうか。その理由について詳しく解説します。

SNSの拡散力が強まり顧客の見切りが早くなっている

1つ目の理由は、SNSの拡散力が強まり、顧客の見切りが早くなっている点です。

TwitterやInstagramなどのSNSの拡散スピードが早く、MVPの初期投入段階で評判が拡散さされてしまいます。

特に、顧客の関心が強い製品やサービスの場合、初期段階で悪いイメージがついてしまい、顧客のフィードバックすら得られなくなってしまうことも少なくありません。

ピボットによる信頼の低下

ピボットによる信頼低下も、時代遅れだと言われる所以です。

リーンスタートアップにおいて、顧客ニーズを取り入れた改善や大きな方向転換(=ピボット)は珍しいことでは有りません。

しかし、顧客目線でみると繰り返される方針転換は、企業に対する疑念や信頼性の低下につながる恐れがあると言われています。

高度な技術力を必要とする製品はイニシャルコストがかかる

近年の製品やサービス開発においては、技術力が大きな価値となっています。

しかし、テクノロジーの取り込みにはコストや時間がかかることも多く、リーンスタートアップの肝である、MVPコストの極小化の実現が難しくなります。

テクノロジーを全面に押し出した製品やサービスにおいては、むしろスタート段階でコストを掛けたほうが成功確率は高まるという考え方もあります。

リーンスタートアップは未だ有効な手法

冒頭で述べた通り、リーンスタートアップは有効な手法の1つです。

ただし、近年の顧客動向やテクノロジーの変化を受け、有効でないケースも考えられます。

例えば「参入するビジネスがオープンな環境なのかクローズドな環境なのか」によっても、大きく変わってしまうでしょう。

しかし、リーンスタートアップが重要視するのは「顧客のニーズにあった市場に受け入れられるプロダクト製品やサービス・サービスの開発・提供」にあります。

この本質的な目的はビジネス開発において重要であり、これを堅実に実行していくリーンスタートアップは事業立ち上げにおいて有効な手段となるものです。

まとめ

今回はリーンスタートアップについて、手法やメリット・デメリット、時代遅れと言われている理由について詳しく解説しました。

近年では顧客ニーズは多様化し、顧客思考のスピードも早くなっています。企業の提供する製品やサービスはこれらの変化を敏感に取り入れ、改善していくことを求められています。

開発負担を最小限としながら、顧客ニーズを元にした改善を繰り返すことで成功確率を最大化するリーンスタートアップの手法は、事業開発を進める上で有効な手法の1つです。

リーンスタートアップの手法や本質的な目的を理解し、自社の事業開発に役立ててみてください。

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