コロナに感染したらどうなる?!「傷病手当金」をわかりやすく解説

労務お役立ち情報

業務中に病気やケガになった場合は労災保険から給付が受けられますが、業務外のケガや病気で仕事を休んだ場合も一定条件をクリアすれば健康保険から給付が受けられます。それが『傷病手当金』です。病気やケガのために働くことができず、事業主から十分な給与の支払いを受けられない被保険者の生活を保障するために設けられた制度です。
最近では新型コロナウイルス感染症によって、仕事を休まざるを得なくなった方も沢山いらっしゃいます。この場合の受給要件等についても触れていきたいと思います。

傷病手当金の支給要件

以下4つの条件を全て満たすときに給付を受けることができます。

① 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
② 仕事に就くことができないこと
③ 連続する3日間(待期※)を含み4日以上仕事に就けなかったこと
④ 給与の支払いがない、または支払額が傷病手当金より少ないこと

※待期について
ケガや病気の療養のために仕事を休んだ日から連続して3日間の待期のあと、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
待期の考え方は、以下のとおりです。

ポイント
・公休日(土日・祝日等)や有給日についても待期に含めることができます。
・連続した3日間の待期が完成したら、何日か出勤してからの受給も可能です。

傷病手当金の支給額と支給期間

1)支給額について

1日あたりの金額=
支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

例)標準報酬月額の平均が20万円の場合・・・200,000円÷30日×2/3=4,447円
よって1日当たりの支給額は4,447円となります。
※「30日」で除したところで1の位を四捨五入します
※「2/3」を乗じた金額の小数点第1位を四捨五入します

■支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合
支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない方の支給額は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②標準報酬月額の平均額
※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額

2)支給期間について
支給開始した日から最長1年6ヵ月です。これは、1年6か月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても傷病手当金を受給することはできません。

資格喪失した後はどうなるの?

一年以上被保険者であった者については、資格喪失時に受給していた傷病手当金について、資格喪失後も同一の保険者から継続して受給できることとなっています。


注意すべき点

■資格喪失時に傷病手当金を受けている、または受ける条件を満たしていることが必要
※退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金を受給することはできません。

退職日には、療養中でも挨拶等を兼ねて出勤してしまうことがあるため、特に注意が必要です。

■退職後は断続して受けることはできません。1日でも「受給できない日=医師が労務不能と認めていない日」があれば、同一疾病で再び労務不能になったとしてもその後の傷病手当金は受給できません。

新型コロナウイルス感染症に罹患した場合

被保険者が新型コロナウイルス感染症により、療養のため会社を休み、事業主から報酬が受けられない場合も同様に傷病手当金が支給されます。
手続き方法や支給要件等は通常の傷病手当金の申請と同様です。

■自覚症状はないが、検査の結果「新型コロナウイルス陽性」と判定を受け入院している
■発熱などの自覚症状があり、療養のために仕事を休んでいる
等の場合についても、傷病手当金の支給対象となりえます。
医師の意見書等によっては、初診日前の自宅療養期間中も傷病手当金の対象となりえます。

一方で、
□本人には自覚症状がないものの、濃厚接触者になった等の事由において休暇を取得した場合、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されません。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。
厚生労働省通達はこちら

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傷病手当金は、条件さえ満たしていれば業務外のケガや病気等に幅広く利用できる制度です。最近では、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、いつ自分が会社を休まければならない状況になるかわかりません。急なケガや病気で収入が絶たれてしまうと誰しも不安になると思います。そんなときに労働者の生活を保障してくれるのが傷病手当金です。ただし、手続きをしないと受給できない制度ですので、もしもの時に備えて制度を理解していておくとよいのではないでしょうか。