働く人を活かす ~組織づくりの3つのポイント~

経営お役立ち情報

以前「経営者の仕事は、企業の方向づけ、資源の最適配分、人を動かす、の3つである。」という記事を書きました。今回は3つ目の「人を動かす」という部分にスポットを当てます。

働く人を活かす3つのポイント

良い会社をつくるためには、働く人たちを最大限に活かす必要があります。特に採用難が続く昨今では、従業員一人一人の能力や活躍が、会社全体の業績を大きく左右します。

働く人を活かすには、3つのポイントがあります。「働く人の基礎力を高める」「働く喜びを感じられる組織にする」「働く人の実力と組織力を高める」です。

ポイント① 働く人の基礎力を高める

中小企業では特に一流大学を卒業した学生や、名門の体育会系で鍛えられた優秀な人材を確保することが難しいのが現状です。そのため、会社の中で基礎の部分から鍛えていく必要があります。

具体的には「良い仕事とは何か考えて、実行できる」ような人材に育てていかなくてはなりません。「良い仕事」には「お客様に喜んでいただけること」「周りの仲間が喜んでくれること」「工夫すること」の3つの視点があります。お客様からの電話に2コール以内に出る、整理整頓をキチンとする、など小さな行動でも構わないので、常に「良い仕事」ができるように習慣づけ
ることが大切です。

ポイント② 働く喜びを感じられる組織にする

人を理屈で動かすことは非常に困難です。また、「お金」や「地位・役職」を与えることで人を動かすことはできるかもしれませんが、このやり方では「お金」や「昇進」が目的となってしまい、仕事が手段となってしまいがちです。一部の人たちはある一定水準の所得を得たら、「もういいや」となってしまいます。

働く人を動かすためには、「この人についていけば幸せになれる」を思ってもらうことが重要です。会社が提供できる「幸せ」には2種類あります。「働く幸せ」と「経済的な幸せ」です。「働く幸せ」は働くことでお客様や周りの仲間に喜んでもらえることによる幸せで、「経済的な幸せ」は会社から給料をもらい、豊かに生活できるようになることです。

大切なのは提供する幸せの順番です。①働く幸せ、②経済的な幸せ、という順番で提供しなくてはなりません。経済的な幸せを優先すると「金の切れ目が縁の切れ目」という状態になってしまいます。働く幸せを感じながら良い仕事を重ねていくうちに、結果として会社の売上が上がり、社員の給与も増えるという状況が理想的です。

ポイント③ 働く人の実力と組織力を高める

組織づくりや、人の活かし方について、経営学者のピーター・ドラッカーは「マネジメントとは、人間にかかわることである。その機能は、共同して成果をあげることを可能にすることである。強みを発揮させ、弱みを意味のないものにすることである。実は、組織の目的もこれである」と語っています。

経営者やリーダーには人の長所や短所を理解して、適材適所に配置して、会社・チーム全体としてのベストのパフォーマンスを引き出すことが求められます。従業員や部下のダメなところは指摘しなくてはなりませんが、ダメなところを強化しても「普通の人」になるだけです。いかにその人の長所を活かせるかを考える必要があります。

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「社員が働かない、成長しない」と感じておられる方も少なくないと思います。今一度、ご自身の会社が、働く喜びを感じながら、良い仕事を実践できるような環境になっているのか見直してみてはいかがでしょうか。

<参考文献> 小宮一慶(2017)『経営者の教科書』ダイヤモンド社