法人登記の方法 会社設立を目指す方向けに手順を丁寧に解説

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法人登記とは?

法人登記とは、法人(会社)が重要事項を法務省の地方組織である法務局に登録し、一般に開示できるようにすることをいいます。

法人には、株式会社のほか、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)、一般社団法人、一般財団法人、特例有限会社、NPO法人などがありますが、今回はそのうち、株式会社と、合同会社・合資会社・合名会社などの持分会社が行う法人登記の方法について説明します。

法人登記により、会社の商号(会社名)や本社の所在地、代表者の氏名や住所、事業の目的など、会社に関する取引上の重要事項が法務局に登録されます。そして会社の概要を誰でも閲覧可能となることで、会社の信用度が高まり、安心して取引を行えることにつながります。

法人(会社)設立の手順

法人登記を行うために決めるべきこと、用意するものの概要は以下です。

会社の商号を決める

商号を決める際には「同一所在地に同一の商号があると登記できない」ことに注意します。また、別の事業をイメージさせるような商号や、他の有名企業と関連があると誤解を生じさせるような商号も避けましょう。

詳しくは過去記事「会社名の決め方 パーフェクトな会社名のためのルールとポイント」をご覧ください。

事業目的を決める

会社が具体的にはどのようなことをするのかを「事業目的」として明確に設定します。この事業目的は当然のことながら、適法であることが必須です。事業目的は登記簿に記載され、どのような活動をする会社なのかが明らかになります。

資本金の額を決める

資本金とは会社の運営のための資金のことです。

たとえ資本金が1円でも会社を設立することはできますが、資本金の額は会社にどれだけ体力や持久力があるかの指標にもなるものですので、慎重に決める方がよいでしょう。

会社の運営が軌道に乗るのには時間がかかることも想定して、3ヶ月〜半年程度は利益がなくても会社を運営していかれるくらいの額にしておくとよいでしょう。

なお、資本金が1000万円以下であれば消費税の免税を受けられますが、1000万円を超えていると消費税の課税対象になるため、この点には注意する必要があります。

役員の報酬額を決める

一般的に役員とは、取締役、監査役、会計参与といった、会社の経営上の重要事項の決定を行う役職をいいます。役員に支払われる報酬を役員報酬といいます。

役員報酬の金額は、会社を運営していく上での基本的なルール「定款 」または株主総会による決議で決めなければなりません。

経費にすることができる役員報酬

以下の役員報酬であれば原則として経費にすることができます。

・定期同額給与…事業年度を通じて毎月同じ金額を支払う場合の役員報酬
・事前確定届出給与…所定の時期に所定の金額を支払う旨をあらかじめ定めて事前に税務署に届出をして支払う役員報酬
・利益連動給与…会社の業績に役員の給与額を連動させる役員報酬

法人用の印鑑を作る

会社を設立したら、会社の代表印として「法人実印」を作成しておきます。登録申請ではこの印鑑を使用します。

定款を作成し認証を受ける

ここまで準備ができたら、会社の組織・活動について定めた、会社の根幹となる規則、定款を作成します。株式会社の場合には公証役場での定款認証が必要です。

全ての株式会社の定款には、必ず書かなければならない「絶対的記載事項」を明記する必要がありますが、それ以外についての決まりはありません。

定めておくことで会社を運営しやすくなるような事項を「相対的記載事項」として、そのほか必要に応じて、会社法に則った範囲内での「任意的記載事項」を記載できます。

定款認証が不要な合同会社の定款は比較的作りやすいのですが、出資者である社員の氏名および住所や、出資の目的とその価格、社員を有限責任社員とする旨など、合同会社ならではの記載が必要です。

絶対的記載事項

絶対的記載事項の詳細は以下です。

・商業目的…会社は定款に記載した事業のみを行えます。
・商号(会社名)…商号中に株式会社、合同会社など、会社の種類を入れる必要があります。
・本店の所在地…定款には市区町村までの「最小行政区画」までを記載する必要があります。賃貸契約書に法人不可の記載がある賃貸契約物件の場合は、本店と定めることができないため注意が必要です。
・発起人の氏名または名称および住所…株式会社の設立に際しては、実際に設立手続きを行う発起人が必要です。その発起人の氏名、住所を記載します。ここで、絶対的記載事項ではありませんが、発起人の引受株数も記載します。
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額…出資する額、もしくは最低額を記載します。株数を記載する必要はありません。ただし、会社の成立までには発行可能な株式数を定めておきます。

資本金の払い込み

ここまで準備ができたら、以下の手順で資本金の払い込みを行います。

まずは発起人の銀行口座に資本金を振り込みます。その後、銀行通帳の表紙、裏表紙、資本金の入金が記載されたページのコピーをとって資本金が振り込まれたことを証明する払い込み証明書を作成して、法人の実印を押印します。
法人(会社)の設立完了後に法人名義の口座を開設し、発起人の銀行口座の資本金を法人名義の口座に移します。

そしていよいよ設立登記申請です。

法人設立登記申請の方法

設立登記申請に必要な書類を用意する

・設立登記申請書…申請書は法務局ホームページからダウンロードできます。必要事項を記載し、収入印紙を貼り、押印します。
・定款…作成した定款の謄本を一部、用意します。
・登録免許税納付用台紙…登録免許税分の収入印紙を貼り、提出するための台紙を用意します。
・発起人決定書…発起人が、商号や事業の目的、本店所在地などの決定事項を記した書面をいいます。
・代表取締役等の就任承諾書…発起人でない人が代表取締役になる場合には代表取締役の就任承諾書が、取締役になる場合には取締役の就任証明書が必要になります。
・取締役の印鑑証明書…取締役が複数の時には全員分が必要ですが、取締役会を設置している場合には代表取締役の分があれば大丈夫です。
・出資金の払込証明書…出資金の払い込みを行なった旨を証明する書類です。
・印鑑届出書…会社の実印となる代表者印を法務局に届け出るための書類です。

法務局に登記申請をする

原則として、会社の本店所在地を管轄する法務局に出資金の払い込みから2週間以内に、会社の代表取締役が申請を行います。直接法務局に出向いて申請する方法の他に、郵送やオンラインでも申請可能です。

登記申請書が法務局に収受された日が会社設立日となります。書類に不備がなければ、申請を行って1週間から10日ほどで登記が完了します。

なお、会社設立日を月初めの1日を避けた2日にした上で期末を1年後の月末にすれば、第1期の法人住民税が11ヶ月計算となり、1ヶ月分お得になるのはちょっとした裏技です。

まとめ

本記事では法人登記の方法について解説をしました。煩雑な作業の連続ですが、大まかなところはご理解いただけたのではないでしょうか。

とはいえ、慣れない、さじ加減の難しい、作業量も多い一連の手続きを、自らの力だけで行うのには大変な手間と労力を要するのは想像に難くないことでしょう。

キャシュモグループでは、法人登記を始め会社設立時の様々な手続きをお手伝いします。また、設立後の経理代行や税務・労務顧問、経営支援コンサルタントといったサービスも提供します。法人登記をはじめ、会社設立に関するお悩み全般、どうぞお気軽にご相談ください。

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