役員報酬~法律上の定め方と報酬額~

税務お役立ち情報

4月になり新しい期を迎えられ、今後の役員報酬についてお考えの社長様も多いことと思います。

今回は、役員報酬の決め方が法律でどう定められているか、また報酬金額の決め方についておさらいをしていきます。

役員報酬は、法律でどう決まっているか?

会社法での役員報酬の定め方

会社からの委任契約に基づく役員の報酬、賞与等は、定款で定めるか株主総会決議によって定めることとされており(会社法361)、株主総会決議によって定めるのが一般的です。

法人税法での役員報酬の定め方

法人税法上は、以下の3種類のいずれかに該当する役員報酬のみ、損金に算入することとされています。

1. 定期同額給与
2. 事前確定届出給与
3. 利益連動給与

このうち、利益連動給与は非同族会社でのみ認められますので、ここでは定期同額給与と、事前確定届出給与についてふれることとします。

1. 定期同額給与
定期同額給与は、
①1月以下の一定の期間ごとに支給されること、
②各支給時期における支給額が同額であること、
の2つの条件を満たす給与のことです。
支給金額の変更は、事業年度開始の日から3ヶ月を経過する日までに行う、とされていますので、申告時の決算承認の株主総会決議と同時に、役員報酬決定の決議を行うことが一般的です。

2. 事前確定届出給与
事前確定届出給与は、
①各役員ごとにそれぞれに対する具体的な支給額、
②支給時期(日も定める)、
③届出書を提出期限までに提出すること、
を条件とした給与のことです。
届出書の提出期限は、事業年度開始の日から4ヶ月を経過する日と、事前確定給与の支給を定めた株主総会の決議の日から1ヶ月を経過する日のいずれか早い日とされています。

役員報酬の金額の決め方について

「定期同額給与」として、一定期間ごとに同額を支給するため、借入金の返済額などからに会社が出すべき利益を確認し、計画的に定める必要があります。また、「同地域、同規模、同業種の他法人」と比較して高額の報酬である場合に、高額と認められる部分が税務調査で否認される場合があります。

役員報酬Q&A

Q.当初役員報酬を0円としていましたが、期の途中から20万円ずつ支給することはできるのでしょうか。

報酬の増額が、事業年度開始の日から3ヶ月を経過する日までに行われている場合は、税務上も損金に算入することができますが、過ぎてしまってから増額した場合は、損金算入が認められません。

Q.期首当初よりも業績が悪化し、定めていた役員報酬を支給できないため、支給額を減額したいと思いますが、可能でしょうか?

業績が悪化した際の役員報酬の減額改定は、「経営の状況が著しく悪化した場合」に認められる場合があります。この「経営の状況が著しく悪化した場合」とは、
①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
とされています。単に業績が悪いため、というだけでは認められないため注意が必要です。

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役員報酬を定める際には、その期の利益の予測も含めた計画性が求められます。ご不明点等ございましたら、是非北青山担当者へお問い合わせください。

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