平成24年度までに、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主は、現在は経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められていますが、その経過措置が2025年3月31日をもって終了します。
今回は高年齢者雇用確保措置について解説していきます。
高年齢者雇用確保措置とは
高年齢者雇用安定法第9条は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、定年年齢を65歳未満としている事業主に、高年齢者雇用確保措置として、下記の①から③のうちいずれかの措置の実施を義務づけています。
① 65歳までの定年年齢の引き上げ
② 65歳までの継続雇用制度の導入
③ 定年制の廃止
継続雇用制度とは
継続雇用制度とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。この制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年度以降、希望者全員を対象とすることが必要となっています。
経過措置の終了
経過措置終了までの流れは以下の通りです。
引用:厚生労働省「経過措置に基づく基準対象者に限定した継続雇用制度を利用している事業主の皆さまへ」
2025年4月1日以降は、高年齢者雇用確保措置として、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。(※経過措置の終了によって、2025年4月1日以降、65歳までの定年の引き上げが義務になるわけではありません。)
・定年制の廃止
・65歳までの定年の引き上げ
・希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
なお、経過措置終了前の就業規則において、経過措置終了後には希望者全員を65歳まで継続雇用する旨が定められていない場合は、経過措置終了に伴い、就業規則の変更が必要となります。