労働者の仕事と育児の両立を推進するため、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」の中に盛り込まれ、令和7年4月1日から、育児休業と併せて受給できる「出生後休業支援給付」と育児休業後に育児短時間勤務をしたため賃金が低下した場合に受給できる「育児時短就業給付」が同時に創設されます。
今回は創設される2つの給付について解説していきます。
出生後休業支援給付の創設【令和7年4月1日施行】
男は仕事、女は家庭という考え方が少しずつ変わり、男性の育児休業取得率は47.5%(23年6月公表)に達し、取得率は伸びています。しかし、厚生労働省の統計では1日休んだだけでも「育休取得した人」として取得率に含めていることもあり、男性が育児に参加している割合としてそのまま受け取ることはできない現状です。育児にしっかり携わることがきる十分な期間を取得し、配偶者をサポートできるようにしていく必要があります。
出生後休業支援給付は、通常の育児休業給付に「休業開始時賃金の13%相当額」が上乗せされる給付金制度です。現在は、一定の条件を満たせば育児休業中に休業前の賃金の67%(181日以降は50%)の育児休業給付を受けられますが、最大28日間、出生後休業支援給付が13%上乗せされることで、給付率が80%に上がります。(育児休業開始から28日間の手取りが実質100%になります)
以下の①、②の両方の要件を満たす必要があります。
①子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に育児休業を取得すること
②被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得すること
※令和7年4月1日以降に上記要件を満たした方が支給対象となります。
引用:厚生労働省「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が公布され、雇用保険制度が変わります」
育児時短就業給付の創設【令和7年4月1日施行】
現状では、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して給付する制度はありません。育児期を通じた柔軟な働き方を推進するため、令和7年4月から、育児時短就業給付が創設されます。育児時短就業給付は、被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の最大10%を支給する制度です。
※令和7年4月1日以降に上記の時短勤務を開始する方が支給対象となります。
引用:厚生労働省「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が公布され、雇用保険制度が変わります」
まとめ
今回は創設される2つの給付制度を解説しましたが、今後も仕事と育児の両立を推進するための改正が続きます。労務の担当者はしっかり動向を把握していく必要がありますので、分からない事柄は社会保険労務士など専門家にご相談ください。