雇用保険法が一部改正されます

労務お役立ち情報

雇用保険法改正法が令和6年5月17日に公布されました。

多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずることが目的とされております。

今回は主な概要について触れていきます。

雇用保険の適用拡大

雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(2028年10月1日施行)。

雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる必要があるという現状を踏まえて、現在は週の所定労働時間20時間以上になっている加入要件を週の所定労働時間10時間以上に見直されます。
適用拡大により、新たに500万人程度の加入が見込まれます。

また、被保険者期間の算定や失業認定基準、法定の賃金日額の下限額及び最低賃金日額に関しても見直されます。


(引用:厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要)

教育訓練給付金の給付率引き上げ、自己都合退職時の給付制限期間短縮など

教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(2024年10月1日施行)。
※教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。


(引用:厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要)

正当な理由なく自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(2025年4月1日施行)。
※正当な理由なく自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。

正当な理由なく自己都合の退職者は2か月間失業手当を受け取れない給付制限期間に関し、改正後は1か月に短縮され、リ・スキリング(学び直し)をしていれば制限を解除し、円滑な労働移動を促進します。


(引用:厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要)

育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保

男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化するため、2022年雇用保険法改正法の附則の規定を踏まえ、
・2024年度から、国庫負担割合を現行の1/80から本則の1/8に引き上げる。
・当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、本則料率を2025年から0.5%に引き上げる改正を行うとともに、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する。
(現在の雇用保険料率(一般の事業は15.5%)は当面維持するが、財政が悪化した場合16.5%に改定できる仕組み)

参照:厚生労働省令和6年度の雇用保険料率について

その他

その他には、教育訓練支援給付金の給付率や就業手当、就業促進定着手当についてなどの改正があります。

参照:雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要

まとめ

今回の改正は、労働力人口が今後も減っていく中で、働き方の変化への対応や、個々のスキルを上げて成長産業への労働移動を促すことが色濃く出ていると言えます。
また、中小企業にも確実に影響がありますので、社内の状況の把握や従業員への説明など早めに取りかかることをお勧めします。

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