ハローワークの活用方法

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団塊の世代が引退、その後も生産年齢人口の減少も避けて通ることができない我が国では多くの業種で人手不足が問題となっています。また、人手不足解消の為に採用活動を行ったとしても早期に辞めてしまうという問題もあり、「労働力」に関する問題は今後も続くものと推察します。

今回は従業員を採用するにあたって無料で活用することができるハローワークの採用システムにフォーカスをあてていきます。

ハローワークでの採用のポイントと注意する点(先入観)

多くの場合、ハローワークを活用した採用は高年齢層しか応募がない、長期間働いたことがない方の応募が多いなどマイナスの印象を持たれています。

しかし、新卒採用後、定年まで同じ会社で働き続けるというビジネスパーソンは減っており、転職をしながら自身の市場価値を高めるという考え方が多くなっています。

前述のハローワーク採用時の「先入観」はまず、作成する求人票の記載内容に問題(例えば労働時間や勤務場所などの最低限の記載しかなく入社後の働く姿がイメージできない)があることが多く、一定程度以上の記載や写真を掲載し視覚的にもアピールすることで、若年層や有能なビジネスパーソンに訴求することは可能です。

拡大するハローワークインターネットサービス

2021年9月21日以降、旧来から整備されていたハローワークインターネットサービスの機能が大幅に拡大されました。

主な拡大機能として、オンライン職業紹介が挙げられます。オンライン職業紹介とは、これまで対面限定であった職業紹介がオンラインで受けられるサービスです。前提条件として「求人者マイページ」を開設する必要があり、一度ハローワークに訪問する必要がありますが、その後の手軽さを考えるとメリットは大きいと言えます。求人者マイページを開設後は一度ハローワークで受理された後に審査が行われ、情報公開されます。公開された後は希望条件等を総合勘案し、ハローワークから紹介が行われること、また、オンライン上で応募書類の受け付けも可能となります。実際に応募があった際には「マイページ」のメッセージ機能で応募者と面接日時を調整し、選考を行います。選考後はハローワークに選考結果を報告しなければなりませんが、マイページからも可能となっています。

もう一点、オンライン自主応募という新しい機能です。旧来、求職活動中の方はハローワークに訪問し入社希望の企業へアプローチをかけなければなりませんでしたが、実際に足を運ばなくてもオンラインで求職番号を取得できるようになりました。速やかに企業へアプローチをかけられ、よりスピーディーに求職活動ができます。一方、会社側の問題となりますが、実際にオンライン自主応募を受けるには「オンライン可」の状態にしておく必要があります。

まとめると、オンライン職業紹介は会社側がオンライン上で求人者の紹介を受けられる機能であるのに対して、オンライン自主応募は求人者がハローワークへ訪問することなくマイページ上で直接応募することができる機能です。

トラブルを回避する為の求人票作成にあたっての注意点とは

最もトラブルになるといっても過言でない点は「固定残業代」の表記の方法です。

固定残業代は多くの労働判例で紛糾しています。前提として、固定残業代を採用する場合、固定残業が何時間分の残業に相当するのか、また、基本給部分と分けて固定残業部分の金額はいくらなのかを明記する必要があります。当然、法規制に反するような時間の設定はすべきでなく、提出したとしてもハローワークから指摘が入ります。

求人票に記載する労働条件を全く見ずに会社名だけで応募するようなケースは稀です。求職者は必ず労働条件の確認後に応募することから、記載されている労働条件は応募の誘引になっていることは明白です。求人票の記載する労働条件はあくまで採用後の最初の労働条件であれば足ります。また、万が一、企業経営上の問題が生じ、求人票掲載時と異なる労働条件とならざるを得ない状態になった場合は最初の面接時に事情を説明するなどのフォローは必須となります。採用時までそのことを明かさなかった場合、トラブルに発展する可能性があります。

また、以前は土曜日出勤が皆無であったにもかかわらず、今後は土曜日出勤もあり得る場合は適正に補正しておかなければなりません。廃止した休暇制度が残っている場合も同様です。過去の求人票を再利用する場合、時間節約にはなりますがリスクも孕んでいる点を忘れてはなりません。ハローワーク提出前に社内でダブルチェックするなど、必要な対策を講じておきましょう。

更に、これまで電話やFAX、郵送物を通じて求職者からアプローチがあり応募を見落とすことはまれでしたが、オンラインの場合は定期的に求職者から新着メールが届いていないか確認する必要があります。万が一、確認が遅れた場合、既に他の会社から内定が出ているとったことも想定されます。確認する担当者を決め、その担当者が出張や休暇等で確認が難しい状態となった場合は代わりの担当者を決め、誰も確認していないという事態を回避する必要があります。

ハローワークからの採用で得られる助成金

代表的なものは「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」が挙げられます。

高年齢や障害を持つような、一般的なビジネスパーソンと比較して就職の間口が狭い方等をハローワークの紹介で採用した場合に活用できる助成金です。採用したものの途中で退職した場合は満額受給できない場合もあります。

ハローワークを活用した助成金での注意点

今後新たに創設される助成金も含めて「ハローワークからの紹介」が助成金受給の要件である場合、オンラインの場合は助成金の対象となりません。オンラインの場合、言うまでもなくハローワークの窓口に全く足を運ばずに求人者と求職者が雇用契約締結に向け直接連絡を取り合うため、ハローワークを介在する余地がなく、助成金の対象にはならないという理解です。

しかし、一度ハローワークを訪問し、紹介状を取得した後にオンラインで応募する場合、紹介状が出ていることから助成金の対象となり得ます。

まとめ

民間の求人媒体を活用する場合、有料となる場合も珍しくありません。ハローワークであっても民間の求人媒体に引けを取らない文字数の掲載が可能であり、知名度の点から勘案してもまずは活用しない理由は乏しいと考えます。また、2021年9月21日以降は機能が拡充され、より使い勝手がよくなっています。

また、ハローワークの求人票に掲載されているということはハローワークの審査にも通過しており、求職者目線でも一定の安心感はあると言えます。今後も続くことが予想される人手不足に備えてハローワークの求人を有効に利用しましょう。

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