障害者法定雇用率の引き上げについて

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障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があります(障害者雇用促進法43条第1項)。

今回は、今後、段階的に引き上げられる障害者法定雇用率について解説していきます。

障害者雇用率の算定方法

令和5年度からの民間企業の障害者法定雇用率は2.7%とされていますが、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては従来の2.3%で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げられることになります。

つまり、令和5年度においては常用雇用している従業員が43.5人以上、令和6年度から40人以上、令和8年度からは37.5人以上の事業主が対象になります。

障害者雇用率の算定対象となるのは、身体障害・知的障害・精神障害などの障害があり、心身の障害があるために、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な者で、原則、障害者手帳を持っていることが要件で、手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となり、計算式は以下のようになります。

【障害者である従業員の数 ÷ 従業員の数=障害者雇用率】

計算式での「障害者である従業員」は、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者1人で0.5人、重度身体障害者・重度知的障害者1人で2人として数え、重度身体障害者・重度知的障害者かつ短時間労働者の場合には1人として数えます。「従業員の数」も同様に、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者1人で0.5人として数え、20時間未満の労働者はカウントしません。

障害者の法定雇用率は企業ごとで適用になるため、事業所が複数ある場合でも、企業全体で満たしていれば問題ありません。グループ会社の場合は原則として親会社・子会社それぞれで法定雇用率を達成させなくてはなりませんが、一定の要件を満たす子会社であれば特例子会社制度が適用されます。

参照:厚生労働省「特例子会社制度の概要

障害者雇用納付金制度

法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金(不足1人あたり月5万円)が徴収されます。現在のところ、100人以下の中小企業からは徴収しておりません。

また、法定雇用率を達成している企業に対しては、調整金(超過1人あたり月2万7千円)、報奨金(超過1人あたり月2万1千円)を支給しています。

参照:厚生労働省「障害者雇用納付金制度の概要

障害者雇用に関する届出

該当する事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。

その時期になると該当する事業所に必要書類が送付され、7月15日までに届け出ることが必要です。なお、その際にはプライバシーに配慮した障害者の把握、確認を行うようにする事が求められます。

参照:厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン 概要
   厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン

まとめ

障害者雇用状況が改善されない事業主に対してはハローワークからの行政指導が行われ、対応を怠ると最悪の場合は社名が公表されます。社名公表によって企業イメージが悪化し、企業の業績や人材確保などに影響を与えます。この機会に障害者雇用制度の理解を深め、障害者雇用に関する助成金や税制優遇措置など活用しながら、社内体制を見直してみてはいかがでしょうか。

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