使用人に住宅を無料で貸与しても、その住宅の貸与により受ける経済的利益について課税されない場合があるとのことですが、どのような場合でしょうか。
職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべき者に貸与された住宅等がこれに該当します。
解説
所得税関係
給与所得者でその職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべき者が、その指定する場所に居住するためにその使用者から家屋の貸与を受けたことによる経済的利益については、給与等として課税しないこととされていますが、具体的には、次に掲げるような住宅等がこれに該当するものとして取り扱われています。
(1)船舶乗組員に対し提供した船室
(2)常時交代制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するために常時早朝又は深夜に出退勤をする使用人に対し、その作業に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(3)通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする看護婦、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な使用人に対し、その職務に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(4)次に掲げる家屋又は部屋
(イ)早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住込み使用人に提供した部屋
(ロ)季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に提供した部屋
(ハ)鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含む。)に勤務する使用人に対し提供した家屋又は部屋
(ニ)工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋
消費税関係
管理人の給与等の人件費、貸与する住宅等が借上げ社宅である場合の保証金・敷金・賃借料、火災保険料等の非課税取引又は不課税取引に該当するものは課税仕入れに該当しません。
なお、今回のケースのように、職務遂行上やむを得ない理由で無料で貸与している場合、課税仕入れに該当するその住宅の修繕費等の維持管理費用等が、課税売上げにのみに要する費用又は非課税売上げのみに要する費用若しくは課税売上げと非課税売上げに共通して要する費用のいずれに該当するかは、入居する使用人の従事内容が課税売上げに関する業務であるかどうか等に応じて、判定することになります。