中小企業とは何か? その定義とメリット・デメリットを徹底解説

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日本の法人の多くは中小企業ですが、「中小企業」の定義をご存じでしょうか。

中小企業にはきちんとした定義があり、その要件には資本金額や従業員数が関係しています。中小企業は、大企業に比べて経営資源が少ない等のデメリットもありますが、税制や補助金などの法律上のメリットもあります。

今回は「中小企業」の定義からメリット・デメリットに関して徹底紹介します。

中小企業の定義とは

中小企業の範囲に関しては、中小企業基本法によって定義されています。日本の企業のほとんどは中小企業であり、全体の99.7%を占めており国の経済において重要な役割を果たしています。

そして業種別では「資本金」と「従業員」を基準に以下のようになっています。

中小企業のメリット

税務上の優遇措置がある

法人税法の優遇措置を受けられるのは、法人税法上の中小法人です。中小法人の定義は、中小企業の定義とは異なり、”資本金の額が1億円以下で、かつ資本金5億円以上の大法人に支配されていない法人”です。

以下が代表的な優遇措置になります。

法人税率の軽減

法人税の税率は23.2%ですが、中小法人では所得のうち年800万円以下の部分については税率が15%と軽減されています。800万円を超える部分の税率は、原則どおり23.2%です。

欠損金の繰越・繰戻

青色申告書を提出する法人は、税務上の赤字(欠損金)を翌年度から10年間繰り越すことができます。繰り越した欠損金は将来の課税所得と相殺でき、税負担を軽減することができます。大企業の場合には、相殺できる金額が課税所得の50%相当額が限度とされていますが、中小企業の場合には、課税所得の全額を相殺できることとされており優遇されています。

交際費等の損金算入の特例

法人が支出した交際費等のうち、接待飲食費の50%(限度額)を超える金額は税務上の経費(損金)に算入することができません。ただし、中小企業の場合は、「800万円までの交際費等」または「接待飲食費の50%」のどちらか有利な方を限度額として選択することができます。

消費税の免税事業者

前々年度の課税売上が1,000万円以下であれば、消費税を納める義務が免除されます。ただし、前々年度の課税売上が1,000万円以下であっても、前年度の前半の半年間の課税売上が1,000万円を超えたのであれば、消費税を納める義務が発生します。

裁量が大きい

中小企業は社員数が少ない分、ある程度アイディアや希望が通りやすいというメリットがあります。また一人ひとりとコミュニケーションが取りやすいため、円滑なチームワークを築くことができるでしょう。上司や経営陣との距離も近いので、実力を発揮したい方に向いていると言えます。

幅広い仕事に携われる

中小企業は社員が少ない為、一人の社員が複数の仕事を掛け持ちすることが少なくありません。一見すると大変なように思えますが、多くの仕事を経験できる分、「社会人としての成長が早まる」という面があるのです。

大企業の場合は、社員ひとり一人に任される仕事の量が細分化されています。その為、決められた仕事以外は行うことができず、物足りなさを感じるかもしれません。

特に若手社員であれば基本的な仕事しかできないことが多くなる為、早く成長したい人にとって裁量が大きいことはメリットと考えられるでしょう。

仕事の全体の流れが理解できる

中小企業の場合、プロジェクトを組むにしても規模が小さい為、担当するプロジェクト全体を見回すことが出来ます。全体感を捉えられることでチームメンバーとの連携も取りやすくなり、業務を的確に効率良く行えるようになります。

また全体像を把握することで担当者として責任感を持って行動できるようになります。

事業がスピーディーに進む

中小企業は規模が小さい為、意思決定までの承認スピードが早いことが特徴です。意思決定が早いことで、新事業に素早く進出することができます。場合によっては、先行者利益を得ることができ、会社に大きな売上をもたらすこともあります。また逆に「売上が立たない」と判断すればすぐに撤退し、リスクを最小限に抑えることも出来ます。

深い人間関係が構築できる

中小企業は社員が少ないので、必然的に社員同士の交流が多くなり、和気あいあいとした雰囲気が生まれることが多いです。社内の風通しが良いと、社員がイキイキと働けるので、「仕事の生産性の向上」や「離職率の低下につながる」といったメリットも生まれます。

中小企業のデメリット

給料が少ない

1つ目のデメリットは、給料が少ない点です。

企業における経営資源三要素は「人」、「モノ」、「カネ」と言われますが、中小企業の場合、大企業と比較して経営資源が少ないです。会社によって違いはありますが、一般的には経営資源が少なければ、従業員への還元もなかなかしづらくなってしまいます。

人手不足になりやすい

これもまた経営資源三要素に関係することですが、中小企業の場合、大企業と比較して「人」が少ないです。

例えば体調不良や出産などで一時的もしくは長期間人が抜ける場合は、人手不足になりやすいです。

ですので日頃からメンバーとの交友は常にとっておき、誰か一人抜けたとしても対応できるように密に連携しておくことがとても重要になってきます。

休暇が取りにくい

2つ目の「人手不足」に重なることですが、人材が少ない分、一般的に中小企業の場合は、大企業と比較して休暇が取りにくいです。人が少ないことで、一人当たり抱える仕事量が多くなります。その為、長期休暇などで抜ける場合は、きちんとした引継ぎ作業を行わなければいけません。

また長期休暇を取得すると仕事が溜まってしまうことを嫌がってあえて取得しないといったケースも発生しやすくなります。

事業が安定しにくい

大企業は、ブランド力や技術力によって大きな売上、利益を確保して安定した事業形態を取っています。しかし、中小企業の場合は、経営資源が少ない為、ちょっとしたキッカケで事業が傾くことがあります。

ですので中小企業は、戦略として大企業が行うことが出来ないニッチな領域に素早く攻めることで一定の売上、利益に繋げることが出来れば、小さいながらも事業を安定させることが出来るでしょう。

社会的な信用が低い

信用は会社の売上に直結します。会社に対して社会的な信用があることは、ビジネスの拡大においてメリットとなります。

例えば、車を買おうと思った時に「トヨタ自動車」の商品であれば信用できるといった形で、人は信用できるものに安心してお金を払います。このように大企業は、一定のブランド力があることで信用を得て大きな売上、利益を獲得しています。

一方で中小企業は、まず多くの人に知ってもらう必要があり、どんなに技術力があってもビジネスを拡大するのに時間がかかります。しかし、最近ではSNSの普及に伴って圧倒的に浸透速度が上がったので、今後はあらゆるところで取り入れるべきでしょう。

まとめ

今回は中小企業における定義からメリット・デメリットを徹底解説しました。

中小企業には、きちんとした定義があり、税金の面で優遇されることも多々あります。経営資源が少ない中でも、多くの事業に関わったり、スピード感を重視してあらゆることを実行に移すことで大企業以上に活躍できる場を広げることが出来ます。中小企業における正しい戦略と目標を持って行動するようにしましょう。

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