医療法人を設立するには?ハードルが高いと言われている設立方法を徹底解説

経営お役立ち情報

起業を計画される方の中には、法人を設立しようと思っている方も多いことでしょう。

法人にはいろいろな種類があります。株式会社・一般社団法人・財団法人などが代表的なもので、それぞれ設立の方法が違い特徴も様々です。これは、法人の種類ごとに法律が異なっているためです。

なかでも、医療法人はハードルが高いといわれています。医療法人は地域の医療を担うという社会的責任の重要性があり、「医療法」に基づく規制があるからです。また、一般の株式会社などと比べると、出資の方法など根本から考え方が違うので、戸惑う面も多いと思います。

しかし、医療法人の設立は必要な知識さえもっていれば、時間はかかりますが専門家の手を借りずとも十分可能です。この記事では医療法人とは何かということから医療法人設立の手順までしっかりと解説していきます。

医療法人とは何か

医師がたった一人で診療所を開設し、医療を提供している状態では、地域での医療提供体制として不安が残ります。医療を法人化する目的とは、適切な規模で医療提供体制をしっかりと確保して国民の健康保持に寄与するということがあります。

医療が医療法人によって行われることにより、次のような利点が考えられます。

1.資金の確保が容易になる
2.医療機関等の経営に永続性をもたせ、一人で医療をする際の経営困難を緩和する。

高度な医療機器の購入を可能とし、流行性の疾患や災害、重篤な事例が発生した場合の医療提供体制を確保するには、法人として組織化することが必須だと言えるでしょう。

医療法人設立の原則

医療法人は、自ら経営基盤を強化しつつ、提供する医療の質の向上を図り、運営の透明性を確保して、地域における医療の担い手としての役割を積極的に果たすよう努めることとされています。(医療法第40条の2)

このように、医療法人の目的とは原則として医療事業を行うことです。医療の提供には「社会のため」という公益性が重視される側面がありますが、公益事業のようなところまでは求められていません。むしろ経営基盤を安定させるために、利益を出すことは良しとされているのです。

医療法人ができないこととは

利益を出すことが良しとされる医療法人ですが、公益性が重視されるという側面から、事業上の制限もあります。

まず、株式会社のように利益を配当してはいけません。医療法人で剰余金が出た場合、配当はせず、繰り越します (医療法第54条) 。目的は医療ですから配当はせず、利益は将来の医療のために使わなくてはならないのです。

また株式会社の場合、経営を多角化するためにほかの事業に着手することも可能ですが、医療法人は病院や診療所などの本来業務と介護施設・医療関係の教育機関などの付帯業務をおこなうとなっており、医療から逸脱してはいけないことになっています。

医療法人の設立認可申請

では、医療法人設立の手順を見てみましょう。まずは前提条件から解説します。ここでは、病院または診療所を新設するための土地・建物・機械・器具備品はすでにそろっているものとします。

まず、医療法人を設立申請ができる人は医師・または歯科医師となります。

医療法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。(医療法46条の5第1項)

医療法人には、社団と財団の2種類があります。
社団医療法人は、財産の形態が「拠出」によるもの、財団医療法人は「寄附」によるものとされており、ここが大きく違うところです。

社団医療法人は多くの場合、社員が土地・建物、機械・器具などを拠出し、これを基本財産として設立します。
財団医療法人は、これら設立時の財産を「寄附されたもの」として設立します。イメージが良くなって社会的信用性は増すことが考えられますが、寄附に対して贈与税がかかります。

現在の医療法では、社団でも財団でも拠出や寄附をした人に対して配当などの還元は行えませんし、古い制度による持分ありの医療法人を除けば、解散したからと言って出資した分は戻ってきません。

そのせいか、日本のほとんどの医療法人は社団医療法人になっています。

社団は3人以上の社員による設立が必要です。社団で設立するときには、社員総会を開催して定款を定め、設立時に決定すべき事項を決議し、議事録を作成する必要があります。
設立時に社員総会で決議すべき事項とは次の通りです。

・設立趣旨の承認
・設立時社員の確認
・定款案の承認
・基金拠出申込み及び財産目録の承認
・役員及び管理者の選任
・設立代表者の選任
・診療所又は病院、介護老人保健施設の建物(土地)を賃借する場合はその賃貸借契約書に関する承認
・リース契約があれば法人への引継ぎの承認
・設立後2年間(または3年)の事業計画及び収支予算の承認
・役員報酬を記載する場合はその旨と役員報酬総額の予定額

これら決議事項は都道府県知事に設立の申請をする際に必須とされる事項です。設立の申請には社員総会の議事録の写しも提出する必要があります。

財団は1人でも設立できます。財団で設立するときには、基本事項である「寄附行為」を定め、設立者が2名以上いる時には設立時に決定すべき事項を決議して、その決定事項を確認できる書面(設立趣意書など)を作成します。

医療法人設立認可は都道府県知事

医療法人の設立を認可するのは、都道府県知事になります。設立が認可された後にも、院長が交代したり、定款を変更したりする際には変更届も都道府県知事に対して申請を行います。

設立は、都道府県知事の認可を得た後、法務局で登記をした後、初めて医療法人として法的に設立することとなります。

申請の手順

医療法人の設立ができる時期は決まっています。ほとんどの都道府県では年に2回(5月と11月)受付期間が儲けられていますので、都道府県庁の担当部局に問い合わせて確認をする必要があります。

手順をご説明します。

1.
最初の手順として書類を作成する前に、都道府県庁の担当部局に相談をし、事前協議をします。医療法人の設立は各都道府県に設置されている医療審議会の審議事項です。医療法人でやりたいと思っていることと、行政の思惑とが大きく異なっていると設立はスムーズにいかなくなります。事前協議が済んでいないと申請へ進めないルールになっているところがほとんどだと思いますので、事前協議は最初に行うべき必須の手順だと考えてください。

2.
事前協議の際に教えてもらったとおりに申請書と必要な書類をそろえて提出をします。提出期限が定められていますので必ず期限までに提出するようにしましょう。都道府県によっては仮申請書というものを提出したのちに、修正指示があり、それから本申請を受け付けるところもあります。

3.
提出した申請書は医療審議会で審査され、認可されると認可書が交付されます。この間2か月~3カ月かかる場合もあります。医療審議会が開催される日があらかじめ決まっているため、それに合わせての認可となります。

4.
認可書を受け取ったら、それで終わりではありません。認可書に認可された日付が書いてありますので、これをもって法務局に設立登記をします。設立登記が終わったら、登記簿謄本をもって登記された旨を都道府県知事に届け出ます。登記された日が設立日となり、医療法人の設立は完了します。

申請書チェックリスト

以下に、都道府県知事に申請する際、提出しなければならない資料のチェックリストを作成してみました。これは、都道府県によって異なります。詳しくは各都道府県の担当部局で事前協議の際によく確認をしてください。ここでは多くの都道府県に共通しているもののみのリストを掲載します。

・設立趣意書 ※法人名の由来を説明する。
・定款又は寄附行為
・設立総会議事録
・設立時の財産目録
・財産の内訳明細書 資産 負債
・不動産登記簿謄本
・不動産評価書
・銀行等の拠出金保管に関する証明書等
・負債の残高証明及び債務引継承認願,借入金契約書
・金銭消費貸借契約書
・資金返済計画書
・診療報酬の請求書
・拠出申込書
・基金募集事項等の通知について 基金引受申込書 基金の割当ての決定について 基金拠出契約書
・開設する診療施設の概要及び案内図,敷地図,建物平面図
・常勤医師及び非常勤医師の履歴書
・常勤医師及び非常勤医師の医師免許証の写し
・診療に従事する医師又は歯科医師の状況
・医療従事者名簿
・設立後2年間の事業計画書
・設立後2年間の予算書
・設立者及び役員一覧表
・役員の就任承諾書
・設立者及び役員の履歴書
・設立者及び役員の印鑑証明
・設立者全員の代表者への委任状
・管理者就任承諾書
・賃貸借契約書及び賃貸人の所有を証する登記簿謄本
・その他の参考資料 入外来患者数及び調剤数に関する資料 過去2年間程度の財務諸表等
・付表

設立後の手続き

医療法人が設立出来たら、医療法人とその代表者名をもって各種の活動ができるようになります。

診療所や病院の開設手続き、支払基金、労働保険、社会保険、税務署、市町村などに様々な手続きが必要になります。銀行口座もそうです。当面の運用資金に借入が必要になるかもしれません。

まとめ

医療法人の設立は、その設立の是非を都道府県の医療審議会が審査するということもあり敷居の高い印象があります。しかし、各都道府県のホームページにはその申請方法や様式など必要な情報がすべてそろっていますので、直接、担当者に聞きながら進めれば専門家の手を借りることなく設立は可能だと思います。

医療法人はその高い公益性から、行政とよく話し合いながら運営しなければならない場面が良くあります。設立の時から十分に相談をし、行政はもちろん、地域から認められ、信頼される形を作ることが、医療法人にとってたいへん重要なことになります。

これらのことを念頭に置いて、医療法人の設立にチャレンジしてみてください。

キャシュモでは、経験豊富な財務コンサル・税理士・社労士がワンストップで、医療法人を始めとした法人の設立や、設立後の各種の課題へのアドバイスを提供します。医療法人設立に関するお悩みは、ぜひキャシュモへご相談下さい。

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