ミッション・ビジョン・理念の考え方(第2回)

経営お役立ち情報

第2回は「ミッション、ビジョン、理念」に関する基本的な考え方をお届けしていきます。
前回は「経営の仕事とは、①企業の方向づけ②資源の最適配分③人を動かすことである」というお話をしました。
今回は、そんな経営の仕事の根本にある「ミッション、ビジョン、理念」が経営者の方々にとってどれほど重要かをお伝えできればと思います。

1.ミッション、ビジョン、理念とは

前回の記事より、会社が存続、繁栄していくためには、まずは「企業の方向づけ」を行うことが必要でした。つまり、会社の内部要因や外部要因を考え、戦略を立てることです。しかし、それだけでは不十分で、会社としては、経営者の立てた戦略通りに社員に動いてもらう必要があります。それが「人を動かす」という仕事です。
人が動くには、どう動くかの基本となる考え方が重要です。どういった指針のもとで人を動かすのかといった考え方を会社は確立し、社員に浸透させる必要があります。その考え方が「ミッション、ビジョン、理念」です。
ここで「ミッション、ビジョン、理念」の違いを簡単に定義付けをしていきます。

MVC①

「ミッション」とは、会社の使命や存在意義(目的)のことで、例えば「社会に貢献する」などです。
「ビジョン」とは、会社のあるべき姿や将来像です。例えば、「日本一の会社になる」などです。
「理念」とは、会社の行動規範です。

これらは、混合して使われることも多いのですが、経営者の方々には、この「ミッション、ビジョン、理念」を立てていただくこと、そして、従業員にこの考え方を浸透させ、徹底させることが非常に重要です。
特に、「徹底できているか」が重要で、ミッションやビジョンを立てて満足している経営者の方もいらっしゃいますが、徹底の違いが業績の大きな差を生む場合もあります。会社はお金儲けをしたいから利益を出しているのではありません。もし、儲けることが「会社の目的、存在意義」になってしまっては、働いている人が続かなくなってしまうでしょう。

会社は何のために存在しているのかというミッションやビジョンを根本において戦略を立案し、その考え方を貫きながら経営ができているかが非常に重要です。
そんな、ミッションやビジョンに基づいた戦略を「グランド・ストラテジー」と言ったりもします。

2.ビジョナリー・カンパニー

ミッションやビジョンに関するこんな調査があります。経営書の名著の1つである、「ビジョナリー・カンパニー」では、ビジョナリー・カンパニー(ミッションやビジョンををきちんと持っている会社)とそうでない会社の60年間の投資利回り、つまり、どちらの株を買えば儲かるかを比較調査しました。

MVC②

結果として、ビジョナリー・カンパニー(ミッションやビジョンををきちんと持っている会社)のほうが、そうでない会社よりも6倍以上も投資収益が高くなったのです。つまり、お金儲けだけが目的となっている会社よりも、ミッションやビジョンを追求し、徹底できている会社の方が、長期的な投資利回りが高かったという事です。そして、長期的な投資利回りが高かったということは、会社自体もそれだけの収益をあげているということになり、結果的に「儲かっていた」ということです。

このように「結果的に」儲かったということがとても重要です。お金儲けを目的とするよりも、ミッションやビジョンを確立し、徹底するほうが、実は結果として会社は儲かるのです。
会社が特に問題なく事業を行っているうちは、嫌な会社でも、嫌な上司がいても、給料さえ払えば、ある程度従業員はついてきてくれます。しかし、会社が傾き始め、給料も満足に払えなくなったとき、従業員が会社のために働いてくれるかどうかは、社長や会社の志、つまり、会社のミッションやビジョンが確立しているかどうかにかかってきます。それが、お金のため、社長の高級車を買うためとなったら、仕事を頑張ろうと思う従業員などまずいないでしょう。
だから、経営者として、ミッションやビジョンを確立し、徹底することが重要なのです。

3.自分の目が黒いうちは、ミッションやビジョンを変えるな

ミッションやビジョンの重要性の話をすると、経営者の方々はミッションやビジョンがなければいけないと思って、焦って形だけのものを発表してしまう傾向にあります。
変化が起こりやすい世の中で、ミッションやビジョンが確立、徹底できていなければ、会社が長期的に上手く行かないのも事実ですが、安易に作ると上手く行かないのも事実です。つまり、ミッションやビジョンを作るにあたっての社長の信念が重要です。自分の目が黒いうちは、絶対に変えることのない信念をまずは持ち、その信念をもってミッションやビジョンを作成するのです。つまり会社のミッションやビジョンを作ることは、企業内部の人以外の誰も肩代わりできないことであり、特に経営者が先頭に立って自分の信念を表明していくことが重要です。

4.経営者はミッションやビジョンの体現者であれ

「ミッションやビジョン」を作ったものの、従業員に徹底させる方法がわからない、徹底できていない
となった時は、どうすればよいでしょうか?

答えはシンプルです。作った「ミッションやビジョン」をまずは、経営者自身が信じ、先頭に立って実践することです。「ミッションやビジョン」は経営者自身が信念を持って
実践することで初めて意味があります。自分自身が徹底できそうもない「ミッションやビジョン」なのであれば、初めから作らないほうがよいでしょう。社長など幹部社員は、ミッションやビジョンの体現者でなければなりません。自分たちの言動がそのミッションやビジョンにかなったものであることが重要です。下の人たちはとてもよくそれを見ており、経営者は常に見られている意識を持って行動することが重要です。

いかがだったでしょうか?
ミッションやビジョン、理念がどれだけ重要かご理解いただけたかと思います。
次回の記事では、具体的な戦略立案について詳しく説明していきます。

お楽しみに!

参考文献:小宮一慶「経営者の教科書」,ダイヤモンド社(2017年)

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