ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは、「事業で利益を生み出し、企業価値を高めるための仕組み」のことを指します。
「どのような顧客にどのような価値を、どのような形で提供するのか」
「どんな企業と連携し、どのような体制で提供するのか」
「どれだけの費用をかけ、どれくらい収益を得るのか」
など、具体的に仕組み化することがビジネスモデルの大きな役割です。
ビジネスモデルを構成する4要素
ビジネスモデルは、基本的に以下の4つの要素から構成されます。
1. Who ~顧客は誰なのか~
2. What ~どんな価値を提供するのか~
3. How ~どうやって価値を提供するのか~
4. Why ~なぜ利益が生まれるのか~
それぞれ詳しく解説します。
Who
Whoでは「価値を提供する顧客は誰か」を明確にします。
顧客を明確にすることは、ビジネスは、自社が提供する商品やサービスを利用する消費者がいてこそ成立するものですから、非常に重要な要素です。ターゲットとなる顧客の性質やニーズについて把握するためにも、できるだけ具体的に想定しておくようにしましょう。
ここで検討する顧客は、すでに顕在化している顧客だけでなく、潜在的な顧客層も含めて考える必要があります。
What
Whatでは「顧客にどのような価値を提供するか」を決定します。
ターゲットとなる顧客の視点に立ち、どのような価値を提供すれば喜んでもらえるかを考えることが重要です。「顧客視点で見る価値」「顧客が支払う対価が製品やサービスで得られる価値に見合っているか」を明確にすることを意識しましょう。
How
Howでは「どのようにして価値を提供するか」を明確にします。
これまでに明確化した顧客と価値をどのようにして届けるか、その手段や仕組みについて検討しましょう。具体的には、集客方法や材料の調達方法、製造方法など商品やサービスを用意する段階から、顧客のもとへ届けるまでの一連のプロセスを具体化していきます。
また、このHowでは顧客をリピーター化し、何度も利用してもらえる仕組みを検討する必要があります。
Why
Whyでは「価値が利益になぜつながるのか」について明確にします。
当然ビジネスですから、どんな価値を提供したとしても利益につながらなければ意味が有りません。これまでに明確化した「どの顧客にどんな価値をどのように提供するのか」がなぜ利益につながるのかを明確にすることが重要です。
主なビジネスモデル
世の中に存在するビジネスモデルは多種多様ですが、広く用いられている主なビジネスモデルについて、10種類をご紹介します。
物販モデル
物販モデルは、商品を製造し販売するとてもシンプルなビジネスモデルです。
米や野菜など、農家で作りそれを販売する第一次産業は最もわかりやすい物販モデルといえます。
商品の品質が成功を左右するため、商品そのものの品質や価値が、他のものと比べ差別化されていればいるほど成功確率はあがるでしょう。
小売モデル
小売モデルは、商品を仕入れ販売するビジネスモデルです。
物販モデルと異なり、自分で商品を製造せず、仕入れと販売価格との差額で利益を生み出すモデルです。コンビニなどが最もわかりやすい例でしょう。他社から仕入れた商品を販売するため、同業他社と商品自体の価値は差別化できないため、物販モデルよりも利益率は低くなる傾向にあります。
商品の品揃えやポイント制度・割引(価格競争)など、顧客にとっての利便性向上が成功のカギとなるでしょう。
広告モデル
広告モデルは、顧客がターゲットとする顧客層の目に触れる場所に広告を掲載し、広告主から広告料を得ることで利益を上げるモデルです。
テレビCMや新聞広告欄、インターネットでのアフィリエイト広告などが具体例です。最近ではSNSやYoutubeなど、インターネットを介した広告提供が主流になっています。
広告モデルでは、広告主がターゲットとしている顧客層にいかに広告を届けるかが重要となります。多くの人の目に触れる場所やコンテンツを作ることが成功のコツと言えるでしょう。
サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルは、一定のサービスを提供する対価として月額料金を得るビジネスモデルです。
携帯電話やHulu、Netflixなどが代表例で、継続的に安定した収益を得ることができるため、スタートアップ企業・大手企業ともに積極的に取り組んでいるモデルです。
いかに顧客を多く集め、長期的に利用してもらえるかが成功のカギを握ります。最近ではインターネットの発達により、顧客の加入・離反も激しく最新の顧客ニーズを常に反映できなければ、収益が思うように得られないこともあります。
フリーミアムモデル
フリーミアムモデルとは、サービスの一部を無料で開放し、有料コンテンツへの誘導を図るビジネスモデルです。
電子書籍の1話無料や、Huluの1ヶ月無料サービスなどがこのモデルの代表例です。
一度便利なものを利用してしまうと、続けて利用してしまう顧客心理をうまく利用したビジネスモデルと言えるでしょう。
マッチングモデル
マッチングモデルとは、商品やサービスを提供する人と利用したい人をマッチングさせることで、仲介手数料を得るビジネスモデルです。
不動産仲介業、転職エージェント、クラウドソーシングなどがこれにあたります。
レンタルモデル
レンタルモデルは、一定期間の間、特定の商品やサービスを借りることに対して対価を得るビジネスモデルです。
レンタルDVDやレンタカーなどが代表的なビジネスモデルです。
サブスクリプションモデルと混同されがちですが、大きな違いは商品やサービスが特定されているかどうかです。
例えば、レンタカーであれば特定の車を一定期間借りることを指します。
一方でサブスクリプションは、一定期間の間、車を利用できることを指しますから、期間内であれば別の車に乗り換えることも可能になります。
従量課金型モデル
従量課金型モデルとは、ユーザーが利用した分だけ料金を課金するビジネスモデルです。
電気やガスなどの使用料金などがこのモデルの代表例です。
ライセンスモデル
ライセンスモデルは、自社で開発した商品やサービスを権利化し、他社に提供することで利益を得るビジネスモデルです。
アニメやキャラクターの版権、プロ野球球団のグッズなどがこれにあたります。
認知度が高まったり、人気のある商品やサービスを生み出せば、高い収益を得られるだけでなく、他業種への展開でさらなる市場の拡大にも期待できるでしょう。
コレクションモデル
コレクションモデルは、商品を分割し徐々に販売することで、ユーザーにコレクションさせることで収益を継続的に得るビジネスモデルです。
デアゴスティーニが最もわかりやすい事例です。
ビジネスモデルの作成方法
次に実際にビジネスモデルの作成方法について、見ていきましょう。ビジネスモデルを作成する際は、基本的に以下の4つのステップで進めます。
● 【STEP1】市場環境を分析する
● 【STEP2】ターゲットを選定する
● 【STEP3】商品・サービスを検討する
● 【STEP4】顧客への提供プロセスを考える
【STEP1】市場環境を分析する
ビジネスモデルを検討する場合、まずは参入しようとしている市場の状況を把握しておく必要があります。
ビジネスモデルを検討する際には、これまでにない新しい発想を意識してしまいがちですが、まずは既存のビジネスモデルがどんなものかを知っておく必要はあるでしょう。その他、市場環境や競合の状況などもしっかりと分析しておくようにしましょう。
【STEP2】ターゲットを選定する
市場分析ができたら、ビジネスモデルの基礎となる「誰に商品・サービスを提供するのか」を検討します。
この際に想定する顧客像はできるだけ具体的に想定することが重要です。年齢や性別、仕事内容や家族構成など、ペルソナを具体的に設定することで、どのような商品・サービスに価値を感じるか、潜在的なニーズはなにかを想定します。
【STEP3】商品・サービスを検討する
顧客層が想定できたら、次は商品やサービスの内容を検討します。
自社が提供する商品やサービスが、顧客にどのような価値を提供し対価を得られるかを検討します。この際、自社の強みを活かしたものになっているか、競合他社と差別化できているのかを意識するようにしましょう。
【STEP4】顧客への提供プロセスを考える
商品・サービスが検討できたら、次はどのように顧客に提供するかを検討します。
具体的に商品・サービスの認知度向上のための広告宣伝や、継続的な利用を促す仕組みなどを意識するようにしましょう。
【STEP5】収益構造を考える
最後は、どのように儲けるかです。
いくら顧客に満足してもらえるものを提供できても、利益を稼げなければ意味がありません。目標となり利益を設定し、ビジネスを継続していけるような構造を検討します。
ビジネスモデル作成時に意識するポイント
しっかりと収益をあげられるビジネスモデルを作るには、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。
継続的に儲けられる仕組みか?
1つ目のポイントは継続的に儲けられる仕組みかどうかです。
せっかく検討したビジネスモデルも利益を稼げなければ意味がありません。商品やサービスを提供するのに必要なものの調達ルート、ノウハウが個人に依存していないかどうかなど、長期的に稼ぎ続けることができるかどうかを確認するようにしましょう。
他社に簡単にマネされないか?
2つ目は、他社に簡単にマネされるものではないかです。
ビジネスモデルが多様化している現代において、明確に特徴がある画期的なビジネスは難しくなっていますが、最低限でも独自性や他との違いが明確になっている必要はあるでしょう。
提供する価値は最大化されているか?
3つ目は提供する価値が最大化されているかどうかです。
この場合の価値とは、商品・サービスそのものではなく、その商品・サービスを購入した人が得られるものを指します。
有名な話で「町では100円でしか売れない水でも、砂漠に行くと1,000円で売れる」という話があります。つまり、提供される商品・サービスは購入する人の状況や感情などの需要により、価値が変動するということです。
価値の最大化とは、自社の商品・サービスを適切な状況で、適切な顧客に提供できているかをチェックすることを指します。この提供価値が最大化されていないと、どんな商品・サービスでもビジネスモデルとして成立しなくなってしまいますので、注意しましょう。
ビジネスモデル作成のメリット
ビジネスモデルを作成すると、利益を稼ぐこと以外にも以下のようなメリットがあります。
事業理解が深まる
1つ目は事業への理解が深まることです。
ビジネスモデルを検討する際には、自社の事業環境を深く分析する必要があります。自社の強みや競合他社との比較、顧客層などさまざまなことを多角的に検証することが必要です。ビジネスモデルを検討することで自社に対する理解も同時に深まるでしょう。
自社やビジネスの問題点が明確になる
2つ目は、自社やビジネスの問題点が明確になること。
ビジネスモデルでは、前述した「Who」「What」「How」「Why」のビジネスに必要な4つの要素について検討し、利益につなげる構造を検討していきます。これらの作業過程で、現在の収益構造のどこに問題点があるか、自社の弱みはどこかなどが明確になるので、より洗練されたビジネス展開が可能になります。
事業の原点に戻れる
最後のメリットは、事業の原点に戻れることです。
事業は進めていく過程で、規模の拡大や顧客との関係性などのさまざまな事象が起こります。いつの間にか、当初目指していたビジネスの方向性を見失ってしまうことも少なくありません。ビジネスモデルを作成していれば、いつでも当初のビジネスモデルやその目的に立ち返ることができ、軌道修正が可能になります。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回はビジネスモデルについて、要素や作成方法、メリットなどを詳しく解説しました。
ビジネスモデルは継続的に利益を稼いでいくための仕組みです。
新たなビジネスモデルを作成し利益を拡大することはもちろん、既存の事業についてビジネスモデルを見直せば、事業理解が深まりより効率的な利益構造に改善することにも繋がります。
まずはこの記事を参考に、既存ビジネスのビジネスモデルを見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。