組織設計の基本

経営お役立ち情報

先月号では「従業員を認める(褒める)ことにより、モチベーションを高めて、創意工夫ができる人に育てましょう」という内容で、人材育成の切り口から組織の作り方を取り上げました。組織に関することにお悩みの経営者様が多いようでしたので、今回は組織設計の基本をまとめてみました。

◇組織が成立するための3要素
経営学者のバーナードは組織が成立するためには以下の3つの要素が必要であると定義しました。
共通目的
貢献意欲
意思疎通

共通目的」はこのページでおなじみの表現を使うのであれば「ミッション」です。従業員が「世の中に対してどのように貢献するのか」といった内容に共感できていないと、それぞれがバラバラな方向を向いてしまうので、まとまりません。
貢献意欲」はモチベーション、「意思疎通」はコミュニケーションです。従業員一人ひとりが組織の、あるいは一緒に働く仲間の役に立とうすることはもちろんのこと、従業員同士や管理者と何らかの意思疎通がなければ、組織は成立しません。
組織に関して悩みがある場合は、まずこの3つの要素について問題がないか見直すことをオススメします。

◇組織の設計原則
実際に組織を設計する上では以下の5つの原則を知ることが重要です。

①  専門化の原則 分業して、特定の業務に特化することで、効率的な業務の遂行が可能になる。
②  権限責任一致の原則 構成員に与える権限と、負わせる責任はバランスが取れていないといけない。
③  統制範囲の原則

(スパン・オブ・コントロール)

一人の管理者が管理監督できる人数には上限があるため、階層管理体制を設ける必要がある。
④  命令統一性の原則 指示・命令を出す管理者を特定しておかないと、組織の秩序が保てなくなる。
⑤  例外の原則

(権限委譲の原則)

日常反復的な業務に関しては、権限を与えておくことにより、組織のトップは例外的なことの対応に専念すべきである。

中小企業の経営者が特に意識したいのは、「③統制範囲の原則」と「⑤例外の原則」です。

経営者自身で何十人も管理監督することは不可能です。「人が増えなくて困っている」「ある人数までは増えるが、それ以上にはならない」というのは経営者の誰しもが経験する悩みではないでしょうか?自分以外の管理者を育成しない限り、この悩みからは解放されません。

経営者の3つの仕事を覚えていますでしょうか?「企業の方向づけ」「資産の最適配分」「人を動かす」でした。極論を言えば、営業も、経理も、社長がすべきではありません。重要な意思決定などに集中できる組織に成長させていくことが重要です。

今回はやや学問的な内容になってしまいましたが、何十年もの間、原理原則として学ばれている内容ですので、参考にして実務に活かしていただけると幸いです。

<良い会社チェックリスト>

□組織成立要素を3つとも満たせていますか?

□自分以外の管理者を育成できていますか?

□日常的な業務はできるかぎり従業員に任せていますか?

 

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