労働分配率を計算して固定費を適正化!財務分析STRACのススメ

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人件費(固定費)の適正化のために知りたい労働分配率

固定費といえば、地代家賃、減価償却費、リース料などさまざまありますが、なかでも特に大きな支出が人件費です。

適正な人件費の算出にお困りの経営者も少なくないものと思います。

そこで、今回は適正な人件費を算出するために使える財務指標「労働分配率」についてご紹介します。

「従業員にしっかりと給与で還元したい」
「利益を圧迫しすぎていないか心配だ」
「給与を上げたのはいいけれど、生産性が上がっているのかが不安」

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ適正な人件費についておさえておきましょう。

労働分配率とは?

労働分配率は、過去の会社の人件費の割合を検証したり、今後の人件費を決めたりする際に利用される財務指標のひとつです。労働分配率をみれば、企業の付加価値がどのくらい人件費にあてられたかがわかります。自分の会社が適正に運営できているのかは、経営者なら誰しも気になるポイントです。

そこで今回は、

・労働分配率の計算方法
・どのくらいの労働分配率にすべきか
・労働分配率が高いとはどういうことなのか
・逆に労働分配率が低いとはどういうことなのか

について、説明させていただきます。
自社の人件費(固定費)を適正に保つための理解に役立てていただければ幸いです。

労働分配率の計算方法

労働分配率は、粗利(付加価値)に対する、固定費に含まれる人件費のことをいいます。
数式で表すと下記のようになります。

労働分配率=人件費÷付加価値×100

付加価値とは、企業が新たに生み出した価値のことを言います。
その新しく生み出した価値を、給料や賞与などの人件費などにどれだけ還元されているかがわかる指標として労働分配率が使用されています。

具体的な付加価値の算定方法は、「控除法」と「加算法」があり、

「控除法」の計算は

付加価値 = 売上高 - 外部購入価値

で求めるため、売上総利益(粗利)をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。

「加算法」の計算は

付加価値 =経常利益+人件費+減価償却費+金融費用+賃借料+租税公課

で求めます。

また、弊社では、控除法を用いて労働分配率を計算しています。労働分配率の計算を、難しく感じる方もいらっしゃるでしょう。そんな方に提案したいのが、財務分析STRACを使用することで労働分配率をイメージしていただく方法です。STRACは、Strategy Accounting(戦略会計)のことを言い、西順一郎氏の「戦略会計 STRACⅡ」に出てくる表のことをいいます。売上高から変動費を差し引くことで付加価値を計算し、人件費÷付加価値×100で労働分配率を求める方法です。

STRACは、年間売上高、変動費、利益、人件費、税金などを表に埋め込むことで、お金の流れを視覚的に把握し、粗利率や労働分配率を算定することができます。決算書を用意して、数字を組み込むことで、自然と労働分配率の計算を行えます。

労働分配率の計算が「イマイチぴんとこない」という方は、この表を利用して計算することで、会社のお金の流れを理解するとともに、会社の中にある粗利、人件費、そして労働分配率を簡単に把握することができるでしょう。

労働分配率の目安を知ろう

労働分配率の目安は一般的に、50%といわれています。

しかし、各業種により異なるため同業の労働分配率を調べることにより、より具体的な目安を知ることができます。

各業種の労働分配率の目安を知る方法としては、中小企業白書の労働分配率を参考にするといいでしょう。中小企業白書では、企業規模別の労働分配率の推移を確認しましょう。そうすることにより、自社の規模感にあわせた労働分配率を把握することができます。

競合企業の労働分配率が気になる場合は、上場会社であれば、公式HPのIRの項目から有価証券報告書が確認できます。その有価証券報告書の中から、必要な財務情報を把握しましょう。気になる会社の労働分配率を人件費÷売上総利益で算出すれば他社の分析をすることができます。

また、ざっくり同業他社の労働分配率を知りたい場合、経済産業省の「企業活動基本調査速報」に製造業、卸売業、小売業など、業種ごとの労働分配率が集約されているので、これを参考にしてもいいでしょう。

上記方法により労働分配率が判明したら、自社の労働分配率と比較してみましょう。

自社の労働分配率が、目安より高かった場合、逆に低かった場合は、人件費を適正値にするための施策を考える必要があります。

労働分配率が高い場合

労働分配率が高いと、従業員の給与水準が高いということを意味します。そのため、従業員の士気をあげ、離職率をおさえる効果が期待できます。反面、労働分配率が高いと利益を圧迫することになるため、経営に支障をきたす可能性があります。そのため、労働分配率が目安よりも高い場合には、これを下げて目標に近づける必要があります。

労働分配率を下げるには、付加価値を増やすか、人件費を抑えるという2通りのやり方があります。

付加価値は、会社の売上を上げたり、仕入れ値や外注費をおさえたりすることで改善することができます。また、社内の生産性を上げる工夫をして、時間当りのアウトプットを増やすことも効果的です。

人件費を抑える場合は、効率化を進めて残業や人員を削減したり、不要な業務の棚卸を行ったりすると良いでしょう。

ただし、むやみに給与など人件費をさげると、従業員の士気を下げたり、従業員の離職につながったりするため、削りすぎには注意が必要です。

労働分配率が低い場合

労働分配率が低い場合は、従業員の給与をおさえていることを意味するため、会社の経営の面では順調といえるでしょう。

この場合、少ない人員で生産性をあげているとも捉えることもできますが、低賃金で従業員が働いている可能性も示唆しているため、その原因を明確に把握する必要があります。労働分配率が低い理由が従業員の生産性が高いからか、それとも低賃金で従業員を雇っているか客観的な判断ができない場合、労働生産性について確認することをおすすめします。

労働生産性の計算方法は

労働生産性=付加価値÷労働投入量(従業員数)

で求められます。

この場合、労働者一人当たりの付加価値が算出できるため、同業他社などと比較して、自社の生産性が高いかを確認してみるといいでしょう。

しかしここで気をつけなければいけないのは、生産性が高く、労働分配率が低すぎた場合です。

同業他社と比べて労働分配率が著しく低い場合、同業他社の給与水準が高い可能性があり、従業員が離職しそちらの会社に流出してしまいかねません。低ければ必ずしもいい、というわけではなく、ここでも同業他社の人件費より下がりすぎないように調整することも大切です。

労働分配率が適正な値になるように、常に意識をしていきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は労働分配率の

・計算方法
・目安
・労働分配率が高いとはどういうことなのか
・労働分配率が低いとはどういうことなのか

についてご紹介しました。

労働分配率は、高すぎても、低すぎてもメリット・デメリットがあるため、自社が定めた適正な値にすることが求められます。労働分配率の適正値を把握できれば、売上高から人件費を推測して、人件費総額を求め、人員の補充、従業員の年収、賞与などの経営判断を的確に行うことができるようになるでしょう。今期は計画よりも労働分配率が低かったので、最後に賞与を支給することで労働分配率を調整し、従業員の労働意欲をあげる、などの施策を行うことも可能となります。

しかし、労働分配率は、景気の動向や、労働組合との交渉による給与水準の変化、団塊の世代の退職など複数の要因により上下したり、企業ごとに状況も異なるため、分析も判断も、難しく感じる方も少なくありません。

弊社では、このような労働分析をはじめとする財務分析を、STRACを使って可視化し、お客様が理解しやすく説明させていただいています。
STRACを使用することにより、人件費を下げるだけではなく、付加価値をあげる観点で労働分配率の調整を行うことをご提案いたします。
STRACでの労働分配率や財務分析に興味をお持ちでしたら、ぜひ弊社にお問い合わせください。

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