経理人材の不足が顕著 特に地方で深刻化

経理お役立ち情報

中小企業において、経理人材の不足が顕著になってきています。労働人口の減少という構造的問題に加え、仕事に対するマイナスイメージ、専門知識を持つ人材が限られていることなどが原因として挙げられます。

特に、大都市への人口集中で過疎化が進む地方では、影響が大きいとされています。業績が悪化し、経営者へ業務が集中することで、採用にコストや時間をかけられなくなり、さらに人手不足が慢性化するという負の連鎖に陥っている企業もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大で、就職・採用では売り手市場が薄れたと見る向きもあります。一方で、コロナ禍においても完全失業率は3%前後で推移しています。多くの経営者は、買い手市場の実感を持っていないのではないでしょうか。

そこで、経理人材が特に地方において不足する原因やパターンを探った上で、実際に取り組まれた人手不足の対応事例を見ていきたいと思います。

経理人材が不足する原因は

経理人材が不足すると、企業に大きなダメージを及ぼします。入出金の管理や決算処理、確定申告の作業に支障が出るだけでなく、月次決算や試算表の作成が滞り、十分な経営管理ができなくなります。

さらに、事業主自らが経理業務を行うことで、負担を抱え込むこととなり、本来の業務がなおざりになることも考えられます。

それでは、どうして経理人材は不足に陥ってしまうのでしょうか。

労働人口の減少

日本の生産年齢人口(15歳から64歳)は、年々減少を続けています。

厚生労働省のまとめでは、1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2015年の国勢調査では7,629万人と、20年間で12%以上も減少しています。その後も減少が続き、2040年には5,787万人、2060年には4,418万人となり、1995年の約半分にまで減ると予想されています。

生産年齢人口が減れば、労働の意思と能力を持つ人口である労働人口が減少し、当然経理のスキルを持つ人材も減少します。少ない人材を企業間で取り合う事態に陥ることになるのです。

マイナスイメージ

経理の仕事に対しては、どうしても「地味で目立たない」「冷たい」「機械的」というイメージがつきまといます。簿記という世界共通ルールに則った、変革よりもルールを守ることを重視した仕事なので、ある意味仕方ありません。ルーチンの業務が中心で成長を感じられないと捉え、敬遠をする人もいるようです。

さらに、決算処理の時期に業務が集中しオーバーワークとなるイメージがあることもマイナス要因に挙げられます。日本の企業は3月末締めの企業が多く、他の社員が花見をするのをよそに残業をする、といったこともあるようです。

また、経理は将来AI(人工知能)に取って代わられるという見方も強まっています。野村総合研究所と英国オックスフォード大学との共同研究では、「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」として、会計監査係員と経理事務員が挙がっています。このため、将来性の無い仕事とみられ、さらに敬遠されることもあるようです。

専門的な人材が少ない

ルーチンワークが多いとされる一方、経理の仕事は簿記など専門的知識を要します。さらに、会計基準や税法は毎年のように改正がされていて、その都度学ばなくてはいけません。また、電子商取引、インボイス制度など、業務はさらに複雑化しており、これらに対応できる専門的人材はどうしても限られてしまいます。

他職種と比べ採用が後手になる

社内的な理由として、経理は他の職種と比べて採用がどうしても後手になるということがあります。

販売業なら営業社員、メーカーなら工場のライン従業員というように、多くの企業は収益を上げる事業部門の採用に傾注しがちです。間接部門の宿命かもしれませんが、経理部門には潤沢に人材が投入されません。その結果、経理業務が属人的になるという弊害が生まれます。

より深刻な地方の人材不足

人材不足は、地方でより深刻です。

2020年の完全失業率を都道府県別にみると、最も低かったのは島根県の1.4%で、福井県、岐阜県がそれぞれ1.6%で続くなど、地方が上位を占めています。一方で最も高かったのは大阪府3.4%で、次いで沖縄県の3.3%、東京都3.1%でした。失業率が低いことは職にあぶれている人が少ないことを意味するので喜ばしいのですが、企業にとっては人材確保が難しいことを意味します。

さらに、日本商工会議所が2019年に行った「人手不足等への対応に関する調査」では、人材が不足していると回答した企業を対象に複数回答で理由を聞いたところ、「立地地域に求めている人材がいない」と答えた企業が6割以上に達し、他の理由を大きく引き離しました。

では、地方の中小企業が人材不足に陥る原因は、どのようなところにあるのでしょうか。

大都市への人口の集中

人材不足は、地方でより深刻です。
2020年の完全失業率を都道府県別にみると、最も低かったのは島根県の1.4%で、福井県、岐阜県がそれぞれ1.6%で続くなど、地方が上位を占めています。一方で最も高かったのは大阪府3.4%で、次いで沖縄県の3.3%、東京都3.1%でした。失業率が低いことは職にあぶれている人が少ないことを意味するので喜ばしいのですが、企業にとっては人材確保が難しいことを意味します。
さらに、日本商工会議所が2019年に行った「人手不足等への対応に関する調査」では、人材が不足していると回答した企業を対象に複数回答で理由を聞いたところ、「立地地域に求めている人材がいない」と答えた企業が6割以上に達し、他の理由を大きく引き離しました。
では、地方の中小企業が人材不足に陥る原因は、どのようなところにあるのでしょうか。

コスト、時間がかけられない

地場産業の斜陽化、地域経済の沈滞化で、企業の業績が上がらなければ、求人広告料や人材紹介エージェントへの報酬など、採用にかけるコストも少なくなってしまいます。また、経営者や採用担当者が業務過多になることで、採用方法の工夫や見直しの作業に十分時間が取れないといったことに陥ります。

離職者が多い

大都市よりも少子高齢化が進む地方では、必然的に従業員に占めるベテラン労働者の割合が高くなります。家庭の事情や自身の健康などを理由に従業員が退職しても、後任が見つからないといったケースが多く発生しています。

また、職場環境の整備や社員教育に十分投資ができなければ、せっかく採用した社員がより条件の良い企業に転職したり、大都市の企業に流出してしまったりといったことも発生します。

求人形態の多様化

近年では、就職、転職サイトを利用して仕事を探すことが当たり前となってきました。地方でも大都市の企業の採用情報を簡単に入手することができます。そのため、地方の雇用環境の売り手市場化に拍車が掛かっています。

採用方法についても、オンラインでの面接などが当たり前となりました。新しい採用方法に柔軟に対応していくことが企業に求められています。

人手不足への対応事例

人手不足に対し、地方の企業はどのように対応しているのでしょうか。日本政策投資銀行が2020年にまとめた事例などを参考に、取り組みを見ていきたいと思います。

リクルート方法の工夫

三重県伊勢市の外食・ITサービスの会社では、三重から遠く離れた人材を登用し、早くからインターネットを使ったリモート勤務に取り組んでいます。リモート勤務やテレワークはコロナ禍をきっかけに多くの企業で普及しました。

また、新潟県の建設会社では、地元にUターンする人材をターゲットに採用を行っています。同様の手法は、企業と同じく人材不足に悩む地方自治体でも取り入れられています。

離職防止

広島県福山市の造船会社では、新しい独身寮を建設。就職希望者の増加だけではなく、企業に定着する効果も期待しています。

また、石川県七尾市の有名旅館では、年間12日の休館日を設定。休みが取りづらいとされる宿泊業界において、従業員の働き方改革に取り組んでいます。

人材育成制度の充実

岩手県のドラッグストアチェーンでは、医薬品の販売で必要な登録販売者の資格取得を後押しするため、社内に講師を呼んでの勉強会などを積極的に開き、社員のスキル向上に取り組んでいます。

人材育成制度が社内にとどまらない例もあります。浜松市の社会福祉法人では介護人材の裾野拡大を図るために、一般人向けの介護員養成研修を実施しています。岡山県玉野市では、大手造船会社と市内の関連会社、中小の協力企業が一体となり、熟練職人が若手社員に対し溶接などの技術を承継する塾を開いています。

省力化

人材の採用、育成ではなく、機械を導入したりアウトソーシングしたりする例もあります。ホテルのフロントに代わるセルフチェックイン機、スーパーのレジ打ちに代わるセルフレジなどが挙げられます。

まとめ

地方企業における人手不足の対応事例を見てきましたが、大がかりな投資を要するものや、すぐには成果が出ない取り組みもあります。

その点、経理人材の不足については、業務プロセスを専門業者に外部委託することで、すぐに省人化の効果が表れます。人手不足が深刻な地方の中小企業こそ、経理のアウトソーシング化を検討してみてはどうでしょうか?

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