今はもう古い!経理の常識【現金出納帳編】

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昨今では、クレジットカード決済や銀行振込が主な決済手段となりました。しかし、金額は少なくなったとは言え、直接現金取引を行う機会がゼロという事業者は少数派ではないでしょうか?
今回は、少しでも現金取引があると作成が必要になってしまう「現金出納帳」について掘り下げていきます。

1.現金出納帳とは

現金出納帳とはすべての現金取引の内容(いつ・誰に・目的・いくら支払ったor受け取った)を記録する帳簿です。これにより、会社の現金を管理します。

必ず手元の現金の残高と帳簿上の残高が一致する事が重要ですので、毎日ないしは週に数回の頻度で現金残高と帳簿残高を照合する業務が必要になります。

よく混同されがちですが、厳密に言えば「小口現金出納帳」と「現金出納帳」の2種類があります。「小口現金出納帳」が、雑費などの少額の支払いに使用するのに対して、「現金出納帳」は会社が現金で支払ったり受け取ったりする行為に対して、管理・記録する役割を担っています。

2.なぜ必要になるのか

銀行での振込等は大金を取り扱うのに対し、直接現金取引は少額な場合が多いです。

現金精算される代表的な例
■ 営業や出張時の交通費(電車・バス・タクシー・新幹線代)の立替払いの精算
■ 文房具などの消耗品費の立替払いの精算
■ 郵送料や印紙購入などの数百円の立替払いの精算
■ 水道光熱費の支払いや通信費(電話代、インターネット代など)の支払
■ 上記のどれにも属さない、新聞代などの雑費

社内で出納帳を運用するには①現金出納帳を記録する担当者と②現金を管理する金庫番が必要になりますが、帳簿を付ける事で日々発生する現金取引の流れを可視化する事が出来ます。

3.現金出納帳の書き方

cash account book
出典:マネーフォワードHP

一般的な現金出納帳には日付・勘定科目・摘要・入出金の金額・残高をご説明します。

■ 日付
現金を支払ったor受け取った日付を記入します。ポイントは領収書に書いている日ではなく“支払ったor受け取った日付”を書く事です。領収書に書いている日付は摘要に書くようにしましょう。

■ 勘定科目
「水道光熱費」や「旅費交通費」といった費用の種類を記載します。

■ 摘要
「○○社より回収」や「役員Dへタクシー代支給」といった取引内容の詳細を具体的に記載します。(相手先・入金or支払内容)

■ 入出金の金額・残高
現金を受け取ったり補充した金額や、支払った金額を記載します。

■ 残高
前日の残高+当日の入金額-当日の出金額=残高となります。手書きの出納帳を付けている場合は、計算間違いに注意が必要です。

月の最初には、最初の業務「前月繰越」と記載して、前月の残高を「入金額」と「残高」に記入します。
月の最後には、摘要に「合計」、入金額と出金額の欄には「1か月の合計額」をそれぞれ記入します。次に、摘要欄の「合計」の下に「次月繰越」と記入し、締める直前の残高を「出金額」の欄に記入します。

4.実はリスク⁈現金出納帳のデメリット

社内で現金取引が存在する事業者はまだまだ多く、現金取引がある限りは【現金出納帳】が必要になります。現金の流れを可視化出来るなどのメリットはありますが、実はデメリットも多いのが事実です。

■ 都度の対応で担当者の業務が止まる
before
経費の立替を行った従業員は、領収書を添付して申請を行い、小口担当者から現金の受け取りを行います。

現金出納帳は会計報告に関わる大切な帳票なので、こまめに記帳しなければなりません。小口担当者からすると、小口精算が発生するタイミングはいつになるのか分かりません。ひとたび対応が必要になると、「出納帳への記帳」と「出金対応」、残高が合っているかの確認等の業務が発生し、コアな業務への集中が出来なくなるという弊害があります。

■ 不正リスク
人の手で現金の処理をするので、しっかりとした管理体制が無いと、現場では盗難や紛失などの不正が発生するリスクは高まってしまいます。

また、入金額と出金額を間違えて記載ミスをしていたため、現金と帳簿の残高が合わない事態が発生する事もあります。もし、税務調査の時で現金残高が出納帳の残高よりも少ないと「不正に現金を抜いたのでは?」と疑われる可能性もあるのです。

5.都度やらない仕組みが大切!

このように現金出納帳は、手間がかかり確認作業が多いので、管理する側にとっても申請側にとってもロスが多い仕組みです。しかし、現金取引が無くならない限り、「金庫番」「現金出納帳」「都度の対応」が必要になります。この仕組を廃止すると時間的なロスが無くなる等メリットが多いです。では、どのように廃止するのが良いのでしょうか?

廃止するためのポイントは以下です。
■ 従業員の立替期間を伸ばし、給与と併せて振り込む
月に1度まとめて精算の申請を行い、給与と併せて銀行振込で精算する事が好ましいです。金額が大きい備品などの購入の場合は、コーポレートカードを使用したり請求書払いで後払いにしたり、クレジットカード決済をしてもらう等、現金で買わないように工夫しましょう。そうすると従業員の負担も大幅に軽減されます。

■ クラウド経費精算システムを導入する
MVC②
クラウド経費精算システムを導入する事で、今までEXCEL等の手作業で行ってきた業務の効率が格段に向上します。
従業員側では、例えば面倒な交通費精算は利用経路を入力するだけで金額が自動計算されるので、申請にかかる時間が6分の1に削減されます。
管理者側ではデータチェックが楽になります。また、昨今では「電子帳簿保存法対応」しているシステムも増えています。これにより紙の保存が不要になり、データの一元管理も可能になります。

6.おわりに

現在、当たり前のように小口現金を使っている事業者からすると、一見難しく感じるかもしれません。しかし、思い切って小口現金自体を廃止することで、時間的なロスが無くなるだけでなく、経費に対する意識が高まり、経営が効率的になるのです。

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