知らなきゃ損!雇用保険の基本手当のお話

労務お役立ち情報

離職後、収入が無くなってしまった方にとって、収入源のひとつとして重要なのが雇用保険の基本手当です。

「失業手当」と言った方が、一般的に馴染み深いかと思いますが、正式には「基本手当」と呼ばれています。この基本手当を受給できるかどうかは、離職後の生活や転職活動に大きな影響を与えるといっても過言ではありません。

しかし、

基本手当って何? 失業手当? 聞いたことはあるけど、どうやったら受けられるの?

と疑問に思っている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回はこの「基本手当」について解説していきます。

1. 基本手当とは?

基本手当は、雇用保険の被保険者であった方が離職した場合において、生活の安定を確保するとともに、求職活動を行いやすくするために支給される手当のことです。
この基本手当を受けることにより、生活費の心配をすることなく、求職活動に集中することができます。

では、基本手当を受給するにはどのような条件があるのでしょうか?

2. どのようなときに基本手当を受給できる?

雇用保険に加入していれば、離職した際に必ず基本手当が受けられると思われがちですが、
実際はそうではありません。
受給するためには、雇用保険の被保険者であったことの他に、大きく分けて2つの条件があります。

条件① 失業状態であること

就職しようという積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、就職できない場合を「失業」の状態といいます。

つまり、病気療養中であることや、妊娠中であることなどを理由にすぐに就職できない方は、
ここでいう失業には当てはまらず、基本手当を受給することができません。

しかし、ハローワークで手続きを行えば、受給することができる場合もあります。
➡<詳細は後述>

条件② 離職日以前の2年間に、被保険者期間が12か月以上あること

ここで言う「12か月以上の被保険者期間」とは、賃金の支払い基礎となった日数が11日以上ある月を1か月として数え、該当する月が12か月以上ある、ということです。
つまり、雇用保険に12か月間加入していたというだけでは不十分であり、賃金の支払い基礎日数の確認が必要なのです。

➡賃金の支払い基礎日数は、賃金が発生した日のことを言います。
有給休暇を取得した場合や、会社からの休業命令によって休業となった日に関しても、
その日に対して賃金(休業手当)が発生している訳ですから、「1日」として取り扱い
ます。
遅刻や早退をしてしまった日についても、賃金が発生している為、上記と同様に「1日」として取り扱います。

しかし、この条件②には例外があります。
解雇や倒産などの理由により離職となった方については、離職前の1年間に被保険者期間が6か月以上あれば、受給することが可能です。

上記のように、解雇や倒産といった会社都合により離職した方を、特定受給資格者といいます。どのような方が特定受給資格者になるのかについては、以下のリンクをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000371608.pdf

※雇用保険の改正情報:
条件②の支払い基礎日数について、2020年8月1日より労働時間が80時間以上ある月も1か月としてカウントされるようになりました。➡<詳細は後述>

3. 受給することができる日数

基本手当は、失業している期間中ずっと受給できる訳ではありません。
基本手当が受給することが可能な日数(以下、所定給付日数)は、離職理由や被保険者期間、年齢などによって細かく決められています。

詳しくは、以下のリンクをご覧ください。
https://www.jinji.go.jp/kenkyukai/koureikikenkyukai/h21_21/h21_21_bettenn/h21_21_03betten_012.pdf

4.受給開始時期と受給期間

基本手当①

基本手当の支給は、失業認定後すぐに受給できるわけではありません。
上記のように、離職理由によって支給の開始日が異なります。

また、受給期間は、原則として離職の翌日から1年間です。
その間に、前項3.の所定給付日数分を限度として支給されます。
所定給付日数がまだ残っていても、受給期間外になってしまうと、給付が受けられなくなってしまうので、注意が必要です。離職後、なるべく早くハローワークで求職の申し込みの手続きをするようにと言われるのは、このためです。

2.の①でも少し触れましたが、この受給期間の規定には例外があります。
病気療養中であることや、妊娠中であること等を理由に、離職日の翌日から原則として、1年間である受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合は、受給期間延長の手続きを行うことで、働くことができない日数を受給期間に加算することができます。
この手続きを行うことにより、最大3年間受給期間を延長することができます。

※雇用保険の改正情報:
給付制限期間については2020年10月1日より2か月に短縮されます。
(5年間のうち2回まで)➡<詳細は後述>

5.ケーススタディ

ここまで基本手当の概要についてお話しました。
それでは、基本手当の実際の受給について、ケーススタディを通して、より具体的に
見ていきましょう。

【事例1】
A社に勤務している正社員であるBさん(30歳)は、このたび一身上の都合により退職することにりました。(条件①は満たしています)
Bさんの勤務状況
・雇入れ日 :2012年4月1日
・退職予定日:2020年9月30日
・離職理由:自己都合による離職
・1日8時間勤務 週5日 雇用保険加入
このような場合、受給資格や給付制限の有無や給付日数はどのようになるでしょうか?

⑴受給資格の判定・・・・離職前の2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あるため、受給条件②を満たしています。
⑵所定給付日数・・・・・給付日数表より、90日
⑶給付制限の有無・・・・自己都合による退職ですので、給付制限はあり

【事例2】
A社では、コロナ禍による業績悪化のため、やむなく有期契約労働者であるCさん(45歳)について次の契約更新をせずに雇止めとし、契約満了の30日以上前に本人に通告しました。Cさんは1年更新の有期雇用契約をこれまで3回更新し、通算4年間勤務したことになります。現行の雇用契約書には「更新することがあり得る」と記載されていました。本人は、次の契約更新を望んでいましたが、会社の状況等を詳しく説明し、納得してくれました。
Cさんの勤務状況
・初回雇入れ :2016年10月1日
・今期契約期間:2019年10月1日~2020年9月30日
・離職理由  :労働契約満了による離職
・1日6時間勤務 週4日 雇用保険加入
このような場合、受給資格や給付制限の有無や給付日数はどのようになるでしょうか?

⑴受給資格の判定・・・・離職前の1年間に被保険者期間が6ヵ月以上あるため、受給資格は満たしています。
※「期間の定めのある労働契約の更新により、3年以上引き続き
雇用される場合において、当該労働契約が更新されないことにより
離職したもの」に当たるので、特定受給資格者となります。
(詳しくは、特定受給資格者の範囲についてのリンクからご覧ください)
⑵所定給付日数・・・・・給付日数表より、180日
⑶給付制限の有無・・・・会社都合による退職ですので、給付制限はなし

6.雇用保険法の改正について

令和2年3月31日に公布された「雇用保険法等の一部を改正する法律」の改正内容の内、
被保険者期間の計算方法の改正が令和2年8月1日付で適用されます。この改正により、従前の「賃金の支払い基礎となった日数11日以上ある月を1か月として数え、該当する月が12か月以上必要」という要件に加え、賃金の支払い基礎となった労働時間が80時間以上ある月も1か月としてカウントされるようになりました。

つまり、8月1日以降の離職者に関しては、1日8時間労働で労働日数が10日の場合にも
1か月としてカウントされるようになります。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000642296.pdf

また、令和2年10月1日以降に離職された方について、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月に短縮されることになりました。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000655465.pdf

毎月給与から差し引かれている雇用保険料。

会社を辞めた場合、雇用保険の基本手当を、どのようなしくみで受給できるのかを知っておくことは労働者にとっても、会社にとっても大事なことかと思います。改正情報も含め、しっかりと確認しておきましょう。

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