消費税の軽減税率制度に関するQ&A<消費税シリーズ第4回>

税務お役立ち情報

いよいよ今月10月より、消費税率が10%に引き上げられ、軽減税率制度が導入されました。軽減税率制度は、事業者だけでなく、個人の方の日常の買い物等にも関係するものです。軽減税率制度への理解を深めていただくため、今月号では、国税庁が公表している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」より軽減税率に関する事例をご紹介します。

Q1 氷の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A1 「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるものであるかき氷に用いられる氷や飲料に入れて使用される氷などの食用氷は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
    なお、例えば、ドライアイスや保冷用の氷は、人の飲用又は食用に供されるものではなく、「食品」に該当しないことから、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

Q2 みりん、料理酒等の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A2 酒税法に規定する酒類は、軽減税率の適用対象である「飲食料品」に該当しません。したがって、酒税法に規定する「みりん」の販売は、軽減税率の適用対象となりません。
    また、料理酒などの発酵調味料(アルコール分が一度以上であるものの塩などを加えることにより飲用できないようにしたもの)やみりん風調味料(アルコール分が一度未満のもの)については、酒税法に規定する酒類に該当せず、「飲食料品」に該当しますので、その販売は軽減税率の適用対象となります。

Q3 ノンアルコールビールや甘酒(アルコール分が1度未満の者に限ります。)の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A3 ノンアルコールビールや甘酒など酒税法に規定する酒類に該当しない飲料については、軽減税率の適用対象である「飲食料品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

Q4 栄養ドリンク(医薬部外品)の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A4 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定する「医薬品」、「医薬部外品」及び「再生医療等製品」(以下「医薬品等」といいます。)は、「食品」に該当しません。したがって、医薬品等に該当する栄養ドリンクの販売は軽減税率の適用対象となりません。
    なお、医薬品等に該当しない栄養ドリンクは、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

Q5 自動販売機のジュースやパン、お菓子等の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A5 自動販売機により行われるジュース、パン、お菓子等の販売は、飲食料品を飲食させる役務の提供を行っているものではなく、単にこれらの飲食料品を販売するものであることから軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当することとされています。

Q6 飲食料品の譲渡に要する送料については、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A6 飲食料品の譲渡に要する送料は、飲食料品の譲渡の対価ではありませんので、軽減税率の適用対象となりません。
    なお、例えば、「送料込み商品」の販売など、別途送料を求めない場合、その商品が「飲食料品」に該当するのであれば、軽減税率の適用対象となります。

Q7 店内にイートインスペースを設置したコンビニエンスストアにおいて、ホットドッグ、から揚げ等のホットスナックや弁当の販売を行い、顧客に自由にイートインスペースを利用させていますが、この場合の弁当等の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A7 イートインスペースを設置しているコンビニエンスストアにおいて、例えば、トレイや返却が必要な食器に入れて飲食料品を提供する場合などは、店内のイートインスペースで飲食させる「食事の提供」であり、軽減税率の適用対象となりません。
    ところで、コンビニエンスストアでは、ご質問のようなホットスナックや弁当のように持ち帰ることも店内で飲食することも可能な商品を扱っており、このような商品について、店内で飲食させるか否かにかかわらず、持ち帰りの際に利用している容器等に入れて販売することがあります。このような場合には、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象となるかならないかを判定していただくこととなります。
    なお、その際、大半の商品(飲食料品)が持ち帰りであることを前提として営業しているコンビニエンスストアの場合において、全ての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問することを必要とするものではなく、例えば、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととして差し支えありません。

Q8 ファーストフード店において、「テイクアウト」かどうかは、どのように判断するのですか。

  • A8 軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食店営業等を営む者が飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいますが、いわゆる「テイクアウト」など、「飲食料品を、持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡」(以下「持ち帰り」といいます。)は、これに含まないものとされています。
    事業者が行う飲食料品の提供が、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」に該当するのかは、その飲食料品の提供を行った時において、例えば、その飲食料品について、その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定していただくことになります。

Q9 菓子と玩具により構成されている、いわゆる食玩は、軽減税率の適用対象となりますか。

  • A9 食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの)は、次のいずれの要件も満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。
    ① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)が1万円以下であること
    ② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
    したがって、ご質問の商品が①及び②に該当する場合には、「飲食料品」に含まれることから、その販売は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。

Q10 当社は、飲食店を経営しています。当社では、ハンバーガーとドリンクとおもちゃで構成されるセット商品(500 円:税抜き)を持ち帰り用に販売しています。このセット商品の販売は、顧客がメニューからハンバーガーとドリンクを選択することができるため、一体資産ではなく、一括譲渡に該当しますが、おもちゃは非売品なので対価を設定していません。この場合、おもちゃの対価はどのように計算すればよいですか。なお、セット商品のハンバーガーとドリンクは、単品で販売する場合、ハンバーガーは販売価格 300 円(税抜き)、ドリンクは 250 円(税抜き)です。

  • A10 一括譲渡においては、税率の異なるごとに資産の譲渡等の対価の額を合理的に区分する必要があります。
    ご質問のセット商品は、おもちゃが非売品であるため、例えば、セット商品の売価から実際に販売されている商品の単品の価格(ご質問の場合はハンバーガーの売価 300 円とドリンクの売価 250 円の合計額 550 円)を控除した後の残額を非売品の売価とし、おもちゃの売価を0円とすることも合理的に区分されたものと考えられます。
    また、実態として、おもちゃが付かない場合でもセット商品の価格が変わらない場合には、おもちゃの対価を求めていないと認められますので、非売品の売価を0円とすることも合理的に区分されたものと考えられます。

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軽減税率の導入によって、軽減税率対応か否かで支出の額が2%変わることになります。2%安くなるのであれば店舗で飲食せずテイクアウトしよう、と考える人も増えるのではないでしょうか。軽減税率は複雑ですが、8%と10%の見分け方の基準を理解しておくことが重要です。軽減税率を正しく理解し、8月号でご紹介した「キャッシュレス決済のポイント還元」も活用しながら、増税後の生活に役立てていただければと思います。