中小企業に必要なグループ経営とは?メリット・デメリットや実践方法を解説

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中小企業は経営資源に限りがあるため、少しでも効率的な経営を行うことが、事業全体の収益アップへのポイントとなります。また、中小企業はその規模感から、少しの失敗が大きなダメージになってしまう場合も多くあります。事業継続がむずかしくならないよう、日頃からリスク分散について考えておくことも大切です。

限られた資源の効率的な活用や、リスク分散に役立つのがグループ経営です。

今回は、グループ経営に興味があるけれども具体的に良くわからないという方に向けて、グループ経営について解説していきます。

グループ経営で実現できること

グループ経営とは、親会社を筆頭に、傘下に資本関係のある子会社を持って「企業グループ」として活動する経営モデルです。企業グループという、より大きな企業集団で活動しますが、親会社が決めた経営方針や経営哲学を子会社も踏襲していくことが特徴です。グループ経営では、下記のようなことが実現できます

・経営の効率化:迅速な意思決定ができる
・経営リスクを分散できる:事業ごとのリスクをそれぞれの子会社に分散できる
・グループ全体のブランディングと企業価値の向上:グループ全体で統一的な意思決定ができ、ブランディングや企業価値の向上が図れる

グループ経営のメリット4つ

グループ経営のメリットを具体的に紹介していきます。

意思決定がスピーディーになる

グループ経営の最大のメリットは、意思決定が迅速になることです。

傘下の子会社は自社の事業に集中でき、親会社はグループ全体の意思決定に特化することができます。このように、子会社は担当事業の実務に、親会社はグループ全体の方向性を決定することに分業していくことで、迅速で効率的な経営が可能となります。

ライバルとの競争がし烈な市場では、迅速で効率的な体制は大きなアドバンテージとなります。特に、素早い対応が求められるようなビジネスにも向いていると言えます。

経営リスクを分散できる

2つ目のメリットは、経営リスクを分散できることです。

親会社の傘下にある子会社は、それぞれが法人として独立した関係にあります。ですので、万が一、業績の悪化や損害賠償、業務停止命令など経営の基盤を揺るがすような事態が起きたとしても、グループ内の他の企業まで波及することはありません。

旬なビジネスモデルは、年々めまぐるしい速度で変化しています。昨年まで調子のよかった事業が、ある日突然、目処が立たなくなってしまうことは珍しくありません。さまざまな事業展開を行うグループ経営では、このようなリスクを分散できるのです。

従業員のモチベーションアップや労働環境の改善ができる

グループ経営では事業ごとに会社を構えるため、それぞれの会社に「子会社の社長」が存在し、役員や部長などのポジションは会社の数だけ必要です。一方、1社のみの会社では、従業員が目指せる社内のポジションの数に限りがあります。グループ経営では、最終的に社長のポジションまで目指すこともできることから、向上心の高い従業員のモチベーションアップにつながります。

また、事業や業種によって会社を分けることで、それぞれの事情にあった労働条件や人事制度を柔軟に取り入れやすくなります。事業内容に応じた勤務時間などの労働環境の改善が図れ、優秀な人材を確保しやすくなります。

人材は中小企業の大切な資産です。従業員が向上心をもって働きやすい環境を持てることは、経営全体にもプラスに働くでしょう。

M&A対策ができる

グループ経営は、M&Aで有利に働くことが増えます。すでに事業ごとに会社が分かれているので、M&Aで事業を手放す際には、譲渡したい事業を切り離すだけでよく、会社全体が消滅する心配はありません。また、逆に、外部の企業を新たにM&Aで買収する際にも、買収した企業をそのままグループ傘下へ取り込むだけでよく、比較的受け入れやすいことがあげられます。

M&Aは中小企業における投資戦略として、近年メジャーになってきている選択肢のひとつです。このような対策ができることもメリットといえるでしょう。

グループ経営のデメリット3つ

グループ経営について、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。ここではデメリットについて紹介していきます。

対立や隠蔽の可能性

グループ経営では、会社を分けることにより、子会社が自社の利益追求だけに集中してしまう場合があります。本来は、親会社が決めた経営方針に子会社も従うべきですが、子会社独自の方針で運営したいばかりに対立が起きたり、必要な情報を隠蔽する可能性があります。

このようにグループ会社どうしの関係性に軋轢が起きてしまうと、連携や協力体制を発揮しにくくなってしまいます。また親会社と子会社の間に、上下関係なども生まれがちで、経営の障害となってしまう場合もあります。

企業の維持コストが増加する可能性

いくつもの会社に分けることにより、これまでシンプルだった体制が複雑化し、維持費用が増えてしまう場合があります。

また、経理や総務などは、それぞれの会社ごとに必要です。グループ全体で重複する部門があることで、その部分の人件費や税理士費用なども大きくなってしまうでしょう。子会社を設立する際は、運営や維持ができるだけ複雑化しないようにしたり、バックオフィス業務のコストを抑える努力が必要になります。

経営レベルの業務ができる人材が多く必要

グループ経営のメリットとして、「子会社の社長や役員などのポジションが多い」ということをあげましたが、逆にいうと、「ポジションの数だけふさわしい人材が必要」ということです。

経営にまで携わることのできる優秀な人材は、そう多くはないものです。また、育成や採用にも、多大な時間や費用がかかり、現実的に難しい場合もあります。経営レベルの業務ができる人材が確保できそうになければ、グループ経営は避けた方が良いこともあります。また、ポジションが増える分、人件費が増えることにも注意が必要です。

まとめ

リスクやコストを抑えて効率的な経営をしたい、ブランド力をつけて他社と差別化できる競争力をつけたい…中小企業が抱える経営の課題はさまざまですが、グループ経営が組織力の強化に有利に働くことは多くあります。

ここまでにメリットやデメリットなどもご紹介しましたが、目指す経営スタイルのひとつとしてグループ経営も選択肢に入れてはいかがでしょうか。

キャシュモでは、財務・税務・経理の専門家が、中小企業が抱えるさまざまな経営課題へのアドバイスを提供します。グループ経営に限らず、経営に関するお悩みは、是非キャシュモへご相談下さい。

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